動物循環器病学会学術誌
Online ISSN : 2432-5392
2 巻, 1 号
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Original article
  • Yoshimi Ukai, Shigeki Yamano, Takeshi Toyofuku, Takashi Kodama, Masam ...
    2018 年 2 巻 1 号 p. 1-5
    発行日: 2018/06/30
    公開日: 2018/09/27
    ジャーナル オープンアクセス

    Background. There are currently few reported studies on the use of third generation β-blocker carvedilol in cats. This report presents the cardiovascular effects of carvedilol in seven healthy adult cats.

    Materials and methods. Placebo or carvedilol (0.1, 0.2, or 0.4 mg/kg) was administered PO followed by isoproterenol infusion (0.04, 0.08, 0.16 µg/kg/min) 0, 3, 6, 12, and 24 h. During the isoproterenol infusion, heart rate (HR) and mean arterial pressure (MAP) were measured via a catheter inserted in the femoral artery. LV dP/dt was calculated by measuring the MAP and left ventricular (LV) pressure during infusion of isoproterenol (0.08 µg/kg/min) 3 h after administering 0.1 or 0.2 mg/kg carvedilol.

    Results. Significant differences (p < 0.05) in the blocking effect of carvedilol were observed up to 12 h after the administration of 0.1 mg/kg of carvedilol and 24 h after the administration of 0.2 and 0.4 mg/kg of carvedilol. The elevation of HR and LV dP/dt in response to isoproterenol were suppressed three hours after the administration of 0.2 mg/kg carvedilol. There was no significant difference in the change in MAP.

    Conclusion. Carvedilol at 0.2 or more mg/kg/day per os successfully blocked the β-adrenergic stimulus for 24 h in healthy conscious cats.

症例報告
  • 侭田 和也, 水野 壮司, 水野 祐, 原田 佳代子, 高野 裕史, 高橋 新音, 篠田 麻子, 陳 郁佳, 上地 正実
    2018 年 2 巻 1 号 p. 6-12
    発行日: 2018/06/30
    公開日: 2018/09/27
    ジャーナル オープンアクセス

    症例はジャック・ラッセル・テリア、9 歳2 カ月齢、未去勢オス。体重は8.2 kg であった。腹水貯留による努力性呼吸、失神を主訴に当センターを来院。身体検査所見として腹部の波動感、四肢の浮腫が認められた。胸部X 線検査において明らかな肺転移を示唆する所見は認められず、腹部X 線検査では腹部全域にわたり不透過性の亢進を認めた。心臓超音波検査において右心房内を占拠する腫瘤病変および三尖弁逆流、右心室容積の縮小、僧帽弁逆流を認めた。治療としてうっ血性右心不全の改善を目的に、体外循環下による右心房内腫瘤の減容積手術を実施した。また、術後に左心系への血流量増加により、僧帽弁閉鎖不全症が悪化することが予測されたため、僧帽弁修復術も同時に実施した。術中所見として、腫瘤は右心房壁および心房中隔と癒着し、前後大静脈への浸潤が認められた。なお、開胸時に右肺中葉の一部に出血痕が認められた。病理組織学的診断では、右心房内腫瘤は血管肉腫、肺の出血痕は初期の転移性病巣との診断を得た。病理診断後、ドキソルビシンによる補助化学療法を開始した。術後、臨床徴候は改善し、経過は良好であったが、術後50 日に腹水貯留、術後第57 日に胸水貯留による呼吸状態の悪化が認められた。胸水抜去により呼吸状態の改善が得られたが、術後第58 日に虚脱後、死亡が確認された。本症例は術後、再度腹水貯留が認められるまで一時的に右心不全徴候が消失し、良好な生活の質 (QOL) を維持することができた。心臓血管肉腫の右房内占拠により右心不全を呈した症例において、腫瘤の減容積手術はうっ血性右心不全の一時的な改善に有用であると考えられた。

診療ノート
  • 髙橋 新音, 竹内 さやか, 上地 正実
    2018 年 2 巻 1 号 p. 13-17
    発行日: 2018/06/30
    公開日: 2018/09/27
    ジャーナル オープンアクセス
    電子付録

    症例は、フランスのクリニックにて僧帽弁閉鎖不全症を診断され、JASMINEどうぶつ循環器病センターにて僧帽弁修復術(MVR)を受けるために来日した18.5 kg、ハウンド系のミックス犬、11 歳6 ヵ月(初診時)、未去勢雄であった。MVR 後の入院観察中に重度の肝酵素上昇を認めた。術後の合併症として入院中投与薬剤の影響及び血栓塞栓症が鑑別候補として挙がったが、検査の結果としてアムロジピンによる肝酵素上昇が疑われた。アムロジピン投薬を休止し、対症療法を実施した結果、肝酵素は正常範囲にまで低下し、その後肝酵素上昇の再発もなく良好に経過している症例を経験したため報告する。

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