本稿の目的は,インターネット上での自殺に関する報道の現状を明らかにし,その結果を先行研究と比較
することで,インターネット上の報道の特徴と問題点を明らかにすることである。2010年7月から10月に Google
News からリンクされた見出しに「自殺」という語を含むテキストベースの報道記事1,310件を対象とし,その中か
ら国内の自殺報道として分類された543件の内容を詳細に分析した。その結果,記事の平均文字数は402字(標準偏
差=301)であった。記事の中で自殺の手段に触れているものは67.4%あり,そのうちの17.5%は行動を想起させ模
倣を招きかねないほど具体的な記載がなされていた。その一方で,読者が利用可能な援助サービスについて言及し
ている自殺報道記事は全体の1.3%のみであった。また,自殺者の精神障害への言及がなされていた12.5%の記事の
うち9割以上がうつ病のみに言及していることから,うつ病が他の精神障害に比べニュースバリューが高い可能性
が示唆された。
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