一九五七年から一九七四年にいたる日米両国の工業品輸出成長率の差異は、両国産業の技術進歩の差異と正の関係をもち、また平均費用変化率の差異と負の関係をもっている。この結果は、比較的高い技術進歩率が比較的に低いコストをもたらし、輸出競争力の改善となって、輸出成長率が比較的に高くなるという本稿の仮説をかなり良く説明している。
ここでは、需要面を無視しているが、本稿のようにかなり長期にわたる輸出競争力の分析ではそれほど大きな障害ではないと考えられる。また為替相場の輸出に与える影響も無視している。しかし、円の対ドルレートは一九七一年から変動し始めているので、本稿の研究対象期間では、為替レート変動の影響を無視しても結論にはそれほど影響しないと考えられる。
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