リカード本人の貿易理論は,4つの数字,貿易利益,交易条件等,ほとんどのトピックの解釈において,テキストブックで教わるリカード・モデルとは異なるものだったことが明らかにされてきた。現代的解釈の大枠は,トレンズやJ.S.ミルらによりつくりかえられたリカード理論をもとに,ハーバラーらによって仕上げられたものにすぎない。もはやリカード・モデルにリカードの名前を冠する合理的な理由はほとんど存在しえないのである。
リカード貿易理論は, 多くの誤解にまとわれているが, 新しい解釈と新しい国際価値論とにより, その理解は一新している。新しい国際価値論は, 多数国多数財で投入財が自由に貿易されるという状況設定のもとに構築されている。それは, 原材料・部品等の国際的ネットワークを通して国際価値連鎖(GVCs)がいかに形成されるかを示す分析枠組みであり, 現代のグローバル化された世界経済の基礎的分析理論を提示している。
本稿の課題は, 「リカード・マルクス型」と名付けられた新しい貿易理論のフレームワークを提示することにある。これは, 固定的技術係数をもつ3部門投入産出型モデルで, 労働力と天然資源のみを本源的生産要素とする。従来の貿易論と異なり, 資本主義貿易国は一般的に, 資本集約的部門に比較優位を持たない限り, 貿易によって利潤率を高めることができず, したがって特化を進めることもないことが結論付けられている。
汚染排出枠の削減が及ぼす効果に関する分析は, 重要で興味深い。Chao and Sgro(2008)は, 非貿易財を含む2財3要素小国開放経済モデルを構築し, 最適汚染税に関する分析を行ったが, 排出枠の変化が厚生や財生産, 要素報酬に及ぼす効果を十分分析しなかった。本稿では, コブ=ダグラス型効用関数の下で, 排出枠の減少が交易条件に及ぼす効果を分析し, それにより経済厚生や財生産, 要素報酬に及ぼす効果を, 間接効果を含めて包括的に検討する。
まず世界銀行の基準に基づいて下位・上位中所得国を分類した。その後OECD諸国が各中所得段階にいる年数に基づいて中所得国の罠の閾値を定義した。その結果下位中所得国は36か国中16か国, 上位中所得国は40か国中7か国が中所得国の罠にいると結論づけた。最後にSystem GMMで貿易多様化・高度化について成長分析した結果, 貿易多様化はGDP水準に影響がない一方で, 高度化はすべての発展段階で正の影響が確認された。
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