年金研究
Online ISSN : 2189-969X
ISSN-L : 2189-969X
8 巻
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  • 下島 敦
    2017 年 8 巻 p. 1-
    発行日: 2017/07/14
    公開日: 2017/08/04
    ジャーナル フリー

     我が国の公的年金制度において平成16年制度改正により導入された有限均衡方式は、導入当初から厚生労働省社会保障制度審議会年金数理部会からその問題点が指摘されている。有限均衡方式の問題点は、当初財政見通しの推計対象外であった遠い将来期間の財源不足が次回以降の財政検証・財政再計算において新しい財政見通しに次々に組み込まれ、構造的に後発債務が発生し続けるという仕組み上の問題である。しかし、そのような有限均衡方式の仕組み等その特質については、一般国民はおろか、社会保障問題に携わる関係者の間でもあまり正しく理解されていないことが課題である。このための対策案としては、まず、年金数理部会が提言する①有限均衡方式の特質の国民への正確な周知、②各財政検証における有限均衡方式に係る詳細な財政影響分析、を実施する必要がある。その上で更に、各財政検証時において、このまま次回以降の財政検証を実施し続けていったとした場合の最終的な所得代替率やマクロ経済スライド調整期間の見通しも同時に示すことを提案する。これにより、有限均衡方式に対する国民の理解は格段に高まるであろう。

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