ネットワークポリマー論文集
Online ISSN : 2434-2149
Print ISSN : 2433-3786
特集号: ネットワークポリマー論文集
40 巻, 1 号
構造制御を基礎とするネットワークポリマーの展開の可能性
選択された号の論文の6件中1~6を表示しています
総説
  • 共役高分子を活用する構造の制御されたネットワークポリマーの創生
    三田 文雄, 後藤 誠英, 曽谷 太一
    原稿種別: 総説
    2019 年 40 巻 1 号 p. 7-14
    発行日: 2019/01/10
    公開日: 2020/03/26
    ジャーナル フリー

    共役系高分子の分子内/ 分子間相互作用・架橋によるネットワーク構築と制御に関する最近の研究を,ポリアセチレン系およびポリフェニレンエチニレン系を中心に紹介する。二官能あるいは多官能の置換アセチレンモノマーの重合により得られる置換アセチレンネットワークポリマーは,刺激応答性,不斉識別能,触媒能を示す。 ベンゾオキサジンを置換基としてもつポリアセチレンは,剛直な主鎖共役に基づく高い熱安定性を示す。ポリフェニレンエチニレン側鎖の架橋により,強固な高次構造を形成するネットワークポリマーが得られる。主鎖に白金錯体部位を有するポリフェニレンエチニレンの高次構造は,二座リン配位子によるネットワーク形成により制御可能である。

  • 原田 美由紀
    原稿種別: 総説
    2019 年 40 巻 1 号 p. 15-22
    発行日: 2019/01/10
    公開日: 2020/03/26
    ジャーナル フリー

    複数の芳香環を含有するメソゲン基は剛直な構造であり,ネットワークポリマー鎖へメソゲン基を導入すると網目鎖の分子運動性を抑制できることから高Tg 化に有効である。また,適度な柔軟鎖を共存させるとメソゲン基の自己組織化が生じ,液晶相を発現する。主に硬化反応条件(温度・外場印加)の最適化や硬化剤の選択により,網目鎖中に液晶配向を固定化することができる。この手法により得られたネットワークポリマー材料は,高強靱性・高耐熱性・高熱伝導性を示し,メソゲン基を含む分子鎖の配向性に依存した特性を発現した。メソゲン骨格によるネットワーク構造制御による特性改善例や無機フィラーとの複合化により生じるネットワーク鎖配向への影響についても紹介した。

  • 須藤 篤
    2019 年 40 巻 1 号 p. 23-29
    発行日: 2019/01/10
    公開日: 2020/03/26
    ジャーナル フリー

    単糖類およびその類縁体は,さまざまな化学修飾が可能なヒドロキシ基を複数もち,それらをうまく利用することで縮環構造をもつ化合物へと誘導可能である。そのような縮環構造は,コンホメーション変化が抑制されており,剛直なモノマーを設計するための基本骨格として有用である。本稿では,1)単糖類から誘導可能な剛直ジオールであるイソヘキシド類,2)鎖状の糖のアセタール化によって得られる縮環構造をもつジオール類,さらには3)米糠などから得られる天然の環状ヘキサオールであるmyo- イノシトールの誘導体をとりあげ,それらを用いたネットワークポリマー開発の現状と展望について解説する。

  • 佐藤 絵里子
    原稿種別: 総説
    2019 年 40 巻 1 号 p. 30-36
    発行日: 2019/01/10
    公開日: 2020/03/26
    ジャーナル フリー

    ネットワークポリマーは,機械強度や耐溶剤性などに優れる半面,不溶不融であるため,解体や除去が困難である。これを解決するため,脱架橋可能なネットワークポリマーが注目を集めている。本稿では,分解性ユニットを導入したネットワークポリマーの設計について,主鎖分解性ポリペルオキシドを含む分解性ネットワークポリマー,および分解性基を高密度に導入した熱硬化性ハイパーブランチポリマーの例を中心に紹介する。また,ネットワークポリマーの用途の一つに硬化型接着材料があり,脱架橋可能なネットワークポリマーは,接着後に脱架橋することにより解体可能な易解体性接着材料として機能する。ネットワーク形成に伴う接着力の発現,および脱架橋による機械強度の低下や可溶化を利用した解体についても紹介する。

  • 村井 俊彦
    原稿種別: 総説
    2019 年 40 巻 1 号 p. 37-44
    発行日: 2019/01/10
    公開日: 2020/03/26
    ジャーナル フリー

    光反応性樹脂は,さまざまなモノマー,プレポリマー,光カチオン重合開始剤などの各種添加剤から構成される組成物である。コーティング材料,接着剤,成型材料に代表される光硬化性樹脂や,フォトリソグラフィー材料向けに,光エネルギーの照射により短時間に重合,架橋,付加の化学変化を引き起こす光硬化技術が用いられている。電化製品,自動車,半導体などの幅広い分野へ応用展開されており産業に必要不可欠な材料である。また,光硬化性樹脂は,光の照射により硬化するため,地球環境への関心の高まりから省エネルギー,省スペース,高生産性を特徴とした,効率的な生産技術として進歩してきた。特徴として,無溶剤化が可能なこと,耐熱性の低い素材へ適応が可能なことなどが挙げられる。光重合開始剤の概略,スルホニウム塩を中心として光カチオン重合に用いられる材料,ネットワークポリマーへの応用展開を解説する。

  • 遠藤 剛, 吉田 嘉晃
    原稿種別: 総説
    2019 年 40 巻 1 号 p. 45-54
    発行日: 2019/01/10
    公開日: 2020/03/26
    ジャーナル フリー

    ラジカル開環重合は,カチオンあるいはアニオン重合性を示す環状モノマーの開環重合と同様に,モノマー由来の官能基をそのままポリマー主鎖へ導入することが可能である。そのため,一般的なビニルモノマーのラジカル重合からは合成することができない主鎖構造を有するポリマーを得ることが可能であり,ポリマー主鎖への官能基導入のみならず機能付与の手法として有用である。また,種々のビニルモノマーあるいはラジカル開環重合性を有するモノマー,ラジカル付加反応が進行するチオール類などの多官能モノマーを用いることで,ラジカル開環重合を基盤としたネットワークポリマーを合成することができる。本稿では,まずラジカル開環重合性を有するモノマーの分子設計における指針について述べる。さらに,典型的な例として3 員環構造を有するモノマーのラジカル開環重合およびラジカル開環システムに基づくネットワークポリマーへの展開について最近の例を紹介する。

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