1937 年にドイツIG・ファルベン社のOtto Bayer 博士らによって開発されたポリウレタンは,優れた特性と取扱いの容易さから,1950 年以降,工業的に広く用いられるようになった。日本では,新しく開発されたポリウレタンが建築/土木分野の進化をサポートしており,特に防水材・断熱材用途が大きく伸長している。1966年に登場した防水材向けのポリウレタンは,塗布により2 mm 以上の厚みを持つ防水層を形成できるため,従来の薄い塗膜の塗料に比べて信頼性が大きく向上し,広く普及している1)。また,断熱材向けポリウレタンに関しては,断熱性能の向上が課題であったが,1987 年に発泡剤として使用するクロロフルオロカーボン(CFC)によるオゾン層破壊問題がクローズアップされて以降は,断熱性能の向上と共に環境への配慮も大きな課題となっている。高度成長が止まった最近の日本では,建築/土木分野のポリウレタンにも性能向上と環境配慮に加え,高度成長時代に建設された社会インフラの長寿命化も課題に挙げられている。建築/土木分野では,各国の風土に合わせた製品規格が適応される場合が多く,今回は対象を日本市場に絞って,これらの課題に対応するために開発されているポリウレタンの技術動向についてまとめた。
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