日本糖尿病理学療法学雑誌
Online ISSN : 2436-6544
最新号
選択された号の論文の16件中1~16を表示しています
抄録
  • 小山 昭人
    原稿種別: 会議報告
    2022 年 2 巻 Supplement 号 p. 1
    発行日: 2022/09/23
    公開日: 2022/09/23
    ジャーナル オープンアクセス

    患者の治療や療養指導に,院内連携はどこまで対応できているのか.そしてこのような個別性を理学療法士はどう診たらいいのか. また一方で院外地域に目を向けてみると,医師・看護師・栄養士らは,例えば「糖尿病連携手帳」をもって,多職種院外地域連携による糖尿病重症化予防に取組んでいる.その手帳を理学療法士は患者を担当するときに,経過や治療内容,患者が日頃記録している実生活における療養の姿をみて理学療法を展開しているのであろうか.第4版をみてみると,そこには当然であるが「理学療法士」の文字はない.実際に運動を実施した時の歩数や時間などを記録する欄も見当たらない.運動療法の大切さを患者に伝え,持続的なセルフケア行動を支えていくことは私たちの職責である.これまでに築き上げられた連携を支援するこのような手帳などをもっと積極的に取り入れ,患者の実生活により踏み込んだ視点に立って糖尿病理学療法を提供すべきなのではなかろうか.そして糖尿病治療チーム員としてさらなる自覚を持ち,他職種と連携協業し積極的な支援姿勢を提示してゆく必要があるのではなかろうか. 本来理学療法士は糖尿病の発症予防から,併発症である各疾患群,さらには高齢化によるフレイルや併存疾患など,重複した障害をもつ患者に対応するリハビリテーションの提供まで幅広い職域の職種である.糖尿病診療の全体,患者の療養生活全体を俯瞰して,身体活動や患者のQOL 向上,スティグマに対するアドボカシー活動等の観点から,院内連携のみならず地域においても,人と人とを繋ぐ存在となってリードすべく,この新たなニーズに対応できるように行動変容することが今求められている.

  • 平木 幸治
    原稿種別: 会議報告
    2022 年 2 巻 Supplement 号 p. 2
    発行日: 2022/09/23
    公開日: 2022/09/23
    ジャーナル オープンアクセス

    今から10 年前までは透析治療を導入されていない保存期慢性腎臓病(CKD)患者における運動療法は,腎機能悪化が懸念され積極的には勧められていなかった.むしろ,安静や運動制限が腎疾患の治療の一環となっていた.透析導入の原因疾患でもっとも多い糖尿病腎症も同様で,糖尿病腎症生活指導基準には病期が進行すると運動制限するように明記されていた.しかし,このような腎疾患に対する運動制限に臨床的な根拠はなかった.そのため,2009 年に日本腎臓学会から「エビデンスに基づくCKD 診療ガイドライン」が発行され,CKD 患者の腎機能低下抑制および心血管疾患予防目的に中等度までの運動療法が推奨されるようになった.この頃からCKD 患者に対する運動療法や身体活動量増加による腎機能改善(腎機能低下抑制)効果を示す論文が散見されるようになってきた.そして,2016 年には糖尿病透析予防指導管理料を算定している施設において糖尿病腎症に運動指導を行った場合に「腎不全期患者指導加算」としての診療報酬請求が認められるようにな った.このように糖尿病腎症や保存期CKD 患者に対する運動療法の考え方はこの10 年間で「運動制限」から「運動の推奨」へと大きく変わってきている. しかしながら,日本糖尿病理学療法学会のアンケート調査により糖尿病腎症患者に関わっている理学療法士は非常に少なく,糖尿病透析予防指導管理料に至っては関わりをもっている理学療法士はほとんどいなかった.このように糖尿病腎症など保存期CKD 患者に対する運動療法や運動指導は臨床において広く実践されているとは到底言えないのが現状である.糖尿病腎症や保存期CKD 患者の運動療法に対する診療報酬の増点や算定要件拡大のためには重症化予防を目指した運動療法の普及・啓発,臨床研究の推進によるエビデンスの構築が必要である. 本講演では,これまで我々が行ってきた保存期CKD 患者の身体・認知機能低下の問題と保存期CKD 患者に対する運動療法の安全性や有効性の検討結果を紹介し,現在までの運動療法の効果と課題について述べる.今回の学術大会をきっかけに,参加者の皆様が糖尿病腎症や保存期CKD 患者に関わるきっかけになれば幸いである.

  • 松永 篤彦
    原稿種別: 会議報告
    2022 年 2 巻 Supplement 号 p. 3
    発行日: 2022/09/23
    公開日: 2022/09/23
    ジャーナル オープンアクセス

    平木幸治大会長が大会のテーマに掲げられたように,糖尿病に対する治療目標はまさに糖尿病の病態の悪化に伴う合併症の予防,合併症の早期発見および早期介入による重症化予防に他ならない.理学療法に関わる診療報酬上の制約から,一般の医療施設等において糖尿病の合併症予防に直接介入している理学療法士は少ないと思われるが,合併症としての脳・心血管疾患等への介入を展開している理学療法士は極めて多いものと思われる.それゆえ,糖尿病の合併症とその重症化予防のための理学療法の効果を科学的に検証し,同職種の理学療法士へはもとより,医療チーム内の他職種に対して明確な治療指針を示すことは極めて重要で喫緊の課題である. 平木大会長による基調講演では,糖尿病を原疾患として合併する慢性腎臓病(CKD)のうち,特に透析治療導入に至っていない保存期CKD 患者に対する重症化予防が示されるが,本教育講演では既に重症化し透析導入に至った透析期CKD 患者に対する理学療法の役割を提示させていただくことにした. わが国の透析患者に対する疫学調査(2019 年末)からその概略を捉えると,70 歳以上の構成比は男性51.6%,女性59.0%と高齢化が進んでいる一方で,他国と比較すると透析導入後の生命予後は最も良く,日常 生活活動(ADL)レベルも保たれている.ただし,筆者らの研究調査では,外来通院している血液透析患者のフレイルの有症率は約2 割で,プレフレイルを含めると7 割であった.つまり,このまま介入せずにいるとあっという間にADL レベルは低下し,心血管イベント等の発生やひいては死亡に至ってしまう状態ある患者は7 割にも及んでいる.保存期CKD 患者に対するCKD の重症化予防の指針とは異なり,透析患者を取り巻く疾病管理の一つとして,併存する疾患や機能障害等に対する介入が必要である.これらの介入の重要性を裏付けるデータとして,筆者らは,糖尿病を有していること自体が死亡リスクを高める強力な因子であるものの,糖尿病の有無に関係なく,身体機能や身体活動量が高く保たれている透析患者はそれ以外と比べてイベント発生率や死亡率が有意に低いことを把握している. 本講演では,筆者らの20 年にも及ぶ長期データをもとに,透析期CKD 患者に対する疾病管理としての理学療法の効果を示したい.平木大会長が掲げる「10 年後のために今できること」の一助に繋がれば幸いである.

  • 河辺 信秀
    原稿種別: 会議報告
    2022 年 2 巻 Supplement 号 p. 4
    発行日: 2022/09/23
    公開日: 2022/09/23
    ジャーナル オープンアクセス

    米国の足病医学では,様々な要因による下肢創傷患者に加えて,下肢の運動器疾患患者も治療対象であるが,本講演における「足病患者」は糖尿病足病変,下肢動脈疾患,下肢静脈疾患を主要因とする下肢の創傷を有する,あるいはリスクを持つ患者とする.創傷を有する足病患者で治癒が得られず大切断に至った場合,義足歩行の獲得が困難であるため,大切断を予防することが治療上の重要な目的である.創傷治癒には長期に渡るため,廃用症候群が進行しやすい.従って,創傷を有する足病患者のリハビリテーションは,創傷治癒に貢献しつつ廃用症候群の予防を含めた身体機能・歩行能力の維持を行うことが目的となる.創傷の発症には,関節可動域,足部変形,小切断,歩行形態などの力学的な要因が関与しており,これらの病態から創傷の発生原因を推測することが重要である.また,創傷の治癒のためには創部の免荷(off-loading)が必須である.様々な免荷デバイスを用いた免荷歩行練習がリハビリテーションの役割であるが,免荷デバイスの選択は,IWGDF の off-loading guideline の推奨に従う事が多い.免荷歩行は,off-loading を達成し創傷治癒をめざしつつ,身体活 動量を増加させることが可能であるため,下肢慢性創傷患者の廃用症候群を予防するためにはもっとも重要な介入であると考えられる.本講演では,具体的な免荷歩行練習の方法とその効果について解説したい.また,創傷治癒後の再発予防や足病リスクを持つ患者の発症予防なども理学療法士の重要な役割である.運動力学的な観点からのフットケアに加えて,足病リスクの評価の実施が,理学療法による創傷の発生を防ぐことにもつな がる.本講演では,IWGDF のprevention guideline に従ったフットケアについて解説したい. 我々が2017 年に実施した調査では,足病患者に対するリハビリテーションを実施している理学療法士は,36.5%と低い水準であった.この分野への理学療法士の参画を増やすべく,日本糖尿病理学療法学会の協力 を得て,研修会を実施している.また,理学療法士に向けた啓発や教育を目的に,日本フットケア・足病医学会リハビリテーション委員会と日本糖尿病理学療法学会で連携事業を実施しており,一つの成果である「HADASHI check プロジェクト」についても紹介したい.

  • 吉岡 成人
    原稿種別: 会議報告
    2022 年 2 巻 Supplement 号 p. 5
    発行日: 2022/09/23
    公開日: 2022/09/23
    ジャーナル オープンアクセス

    糖尿病はインスリンの作用不足による慢性の高血糖状態を主徴とする代謝症候群であり,慢性に続く高血糖や代謝異常は細小血管障害である網膜症,腎症,神経障害をひきおこし,全身の動脈硬化症を進展させる.日本における保険診療・特定健診から得られたビックデータ(National database of health insurance claims and specific health checkups of Japan :NDB)の解析によれば,2016 年に糖尿病の薬物治療を受けている患者数は 約155 万人と推計されており,2006 年よりも35 万人ほど減少している.合併症についてみると,2016 年には40 歳以上の糖尿病患者における透析患者の割合は2006 年と比べて1.16%から0.88%と減少し,網膜症の治療者は0.08%から0.53%と増加している.細小血管障害に対する重症化予防への試みが進捗しているようにもうかがえるが,一方で,糖尿病を治療中の患者における40~64 歳における心筋梗塞,脳梗塞のリスク比はそれぞれ非糖尿病者に比べ13.54 倍,11.76 倍であり,壮年期における動脈硬化性疾患のリスクが高いことが示されている.また,日本糖尿病学会における診療録直結型全国糖尿病データベース事業(Japan diabetes comprehensive database project based on an advanced electronic medical record system:J-DREAMS)によれば,糖尿病患者にお ける合併症・併発症の頻度は高く,糖尿病性腎臓病35,4%,網膜症23.1%,神経障害19.2%,心血管疾患 22.1%,脳血管疾患8.8%と報告されている.2 型糖尿病の高齢化が進行している現状にあっては,併発症として のがん,認知症,サルコペニア,フレイルなどへの対応も喫緊の課題である.糖尿病の診療現場において,医療従事者の躊躇い(イナーシャ)や患者サイドのディシジョンメイキングにおけるバイアスは,治療のステップアップをさまたげる要因となる.しかし,患者一人ひとりのQOL を高く維持し,充実した毎日を送ることができるようにするという目標を達成するためには,診療の現場における「disease」という視点からの重症化予防とともに,「illness」という視点からの患者や家族に対する社会的,心理的なサポートも必要となる.

  • 牧迫 飛雄馬
    原稿種別: 会議報告
    2022 年 2 巻 Supplement 号 p. 6
    発行日: 2022/09/23
    公開日: 2022/09/23
    ジャーナル オープンアクセス

    糖尿病,高血圧,肥満,喫煙などの生活習慣に関わる要因は,認知症の重大な危険因子とされている.とくに,糖尿病は認知症および認知機能障害の発生リスクを増大させるだけでなく,認知機能が低下している中高齢者では将来の糖尿病発症リスクを増大させることが報告されており,双方からの予防対策が重要である.さらに,糖尿病に至らずとも,HbA1c が5.7~6.4%程度の前糖尿病に該当する者でも認知症の発症リスクが高く,さらには脳萎縮の進行が懸念されている. また,糖尿病を合併するフレイル高齢者では,要介護の発生リスクが増大することが報告されており,糖尿病の診断基準に該当しなくとも,前糖尿病の段階からフレイルや身体機能の低下を惹起するリスクが高いことが示唆されている.このように,糖尿病の診断に至らずとも,その前段階である前糖尿病においても,認知症およびフレイルの発生リスクは高く,より早期からの血糖コントロールおよび重症化の予防が重要であろう. 認知症の発症者では,発症の10~12 年程前から身体活動量は低下してくることが指摘されており,継続した身体活動の促進に取り組むことが望ましい.とくに,65 歳以上の高齢者では,座位時間を身体活動(強度は問わない)に置き換えることや,1 週間で150~300 分以上の中強度の有酸素運動,もしくは75~150 分の高強度の有酸素運動に取り組むことが推奨されている.有酸素運動を中心とした身体活動の向上によって,認知症の発症の予防や遅延に効果が期待されている.認知機能の維持・改善に対するより効果的な運動療法としては,運動による身体活動の促進のみではなく,知的な刺激が伴う活動を付加することが推奨される.とりわけ,認知機能の低下が疑われる状態においては,運動のみによる介入では認知機能の改善には限界があると言わざるを得ず,知的な刺激の伴う活動を加えることで認知機能が維持・改善することが期待されている. フレイルに対しては,筋力トレーニングを中心として,有酸素運動,柔軟運動,バランス運動を含めた多面的な運動が推奨されている.血糖コントロールの改善を目指すうえでは,具体的な運動方法の提示とともに,いかに継続できるかの支援も重要であろう.

  • 河野 裕治
    原稿種別: 会議報告
    2022 年 2 巻 Supplement 号 p. 7
    発行日: 2022/09/23
    公開日: 2022/09/23
    ジャーナル オープンアクセス

    本邦の死因別死亡統計では,死亡率の1 位は悪性腫瘍であるが,心血管疾患(2 位)や脳血管疾患(4 位)などのいわゆる「血管疾患」という視点でまとめると,悪性腫瘍よりも死亡率が高くなる.脳血管疾患の発症率に関しては,高血圧治療の進歩により脳出血の発症率は減少したが,人口動態の高齢化や食習慣の欧米化による肥満,脂質異常症,糖尿病などの代謝性疾患の増加により,脳梗塞の発症率は増加している.これは心筋梗塞にも同様の傾向を認める.今後も高齢化が進む本邦では,脳梗塞や心筋梗塞の発症数がさらに増加すると予想されている.また脳梗塞と心筋梗塞は再発率が高いことも共通しており,再発を繰り返すことで身体機能障害や心機能障害は重度化し,要介護状態や心不全が進行していく. 脳梗塞と心筋梗塞の病態背景には動脈硬化があり,発症後の基本的な治療方針は再発予防になる.再発リスク因子には高血圧,脂質異常症,糖尿病,肥満等の代謝性疾患がガイドラインでは提示されており,各因子の管理目標値も設定されている.この危険因子の中でも糖尿病が注目されており,動脈硬化の進展や高血圧などの代謝性疾患の背景にはインスリン抵抗性が挙げられている.脳血管疾患や心血管疾患発症後の身体不活動や末梢組織の変化からさらにインスリン抵抗性が増悪し,再発のリスクが増大していく.また心疾患に注目すれば,糖尿病は心不全のリスク因子である一方で,心不全も糖尿病発症のリスクを増大させることが報告されており,虚血性心疾患を発症しなくても糖尿病により心不全が進行していく.最新の知見では糖尿病治療薬により心不全の予後が改善することも報告されている.したがって,心大血管疾患や脳血管疾患の重度化予防には糖尿病の管理が重要になり,その対応策としては運動療法が重要であると考えられる. 本セッションでは心大血管疾患や脳血管疾患を糖尿病の合併症と位置付けて,重症化予防としての理学療法管理についてまとめてみたいと思う.

  • 萩原 悠太
    原稿種別: 会議報告
    2022 年 2 巻 Supplement 号 p. 8
    発行日: 2022/09/23
    公開日: 2022/09/23
    ジャーナル オープンアクセス

    職域における保健指導は,メタボリック症候群を対象とし将来の高血圧症や糖尿病などの発症を予防するための特定保健指導と,生活習慣病発症後の疾病管理支援を担い心血管疾患発症や透析予防に向けた重症化予防事業に大別される.(株)PREVENT では,保険者向けにレセプト/健診データを活用したリスク分析ならびに前述の重症化予防事業を提供している. 慢性疾患管理においては,適切な投薬治療に加えて運動や食事に代表される生活習慣管理が重要となる.その一方で,通常の診療場面や職場での保健指導環境下では,疾病管理指導に十分に時間を割くリソースに限界があることも事実である.スマートフォンアプリならびにデジタルデバイスを活用した保健指導では,インターネットを活用することで時間や場所に拘束されず,さらには客観的評価指標にもとづく介入が可能である.弊社でも腕時計型脈拍計を活用した運動指導や食事写真ならびに尿測定による食塩摂取量測定機器を活用した食事指導などを電話やチャットを介して保健師,管理栄養士,理学療法士が遠隔で提供している. 職域におけるレセプト/健診データの分析結果からは,透析の発症件数はそれほど多くない一方で,職域年代から徐々に慢性腎臓病が進行している例が目に付く.50 歳代でCKD ステージ3 を超える方も少なくない.また,職域においては,末期腎不全への移行よりも慢性腎臓病の罹患により心血管イベント発症リスクが増大することも保健指導介入の必要性を高めている.定年退職まで勤務を継続し,さらにその後のQOL を維持しつづけるためにも早期からの腎保護に向けた生活習慣管理スキルの獲得が望ましい. 本シンポジウムでは,レセプト/健診データにもとづく職域における慢性腎臓病の現状から実際に糖尿病性腎症例へのスマートフォンアプリを介した保健指導の事例をも紹介をさせていただきたい.

  • 古川 真
    原稿種別: 会議報告
    2022 年 2 巻 Supplement 号 p. 9
    発行日: 2022/09/23
    公開日: 2022/09/23
    ジャーナル オープンアクセス

    皆さんの町は元気ですか?もしかして,「超高齢社会」で「少子化」で「医療崩壊」していて「人口減少」して『消滅都市』なんて言われてやしませんか?挙句の果ての『コロナ禍』です!僕の生まれ故郷『釧路』はもろに『消滅都市』言われています!何だかそんなこと言われたら絶望的な気分になりますよね?でもそんな状況でもやんなきゃいけない!『でも,どうしたらいいのか?』もしそんな気持ちの方がいらっしゃったら,この学会で一緒にどうしたらいいのか考えてみたいですね! 僕はリウマチ医でもあるのですが,リウマチという病気は関節が痛くなって生活や仕事がままならなくなります.それを治療することで,元の生活や仕事に復帰してもらえます.でも,糖尿病の患者さんはどうでしょうか?治療のため食事制限や運動の奨励,インスリン注射なんかになったら色々と面倒なことが一杯あります.生活や仕事が楽になるどころか,邪魔なことばっかりです.それで得られるのは,血糖値やHbA1c とやらが良くなる?だけ.一体治療に満足しているのでしょうか?でも,この自分の『生活』を見つめ直すという行為は,実は相当に重要なことではないでしょうか?糖尿病の療養というのは,突き詰めると自分の『人生』を見つめ直すことに他ならない様に思われます.療養サポートをする我々は,そういう糖尿病患者さんの『人生』に向き合うお手伝いをしているのだと,僕はつくづく思うようになってきました.そういう一人一人の患者さんとのやり取りの中で,やはり自分一人だけでは十分なサポートでもできないし,患者さん自身も一人ではやはり大変です.自分の身の回りの人達の協力があってこその療養サポートなのだなと思い至り,これはもはや『血糖値』とか『HbA1c』とかいう数字だけの問題ではなく,患者さんの『生活』や『人生』そのものの問題であり,その人を取り巻く人々の『生活』や『人生』の問題であり,その人達が住む『コミュニティ』の問題そのものに関わってくることではないかと思いました.釧路は『消滅都市』なんて行政の人から言われていますが,もしかすると『消滅』するかしないかは,そこに住む僕等の『心構え』が決めるのかもしれません.さあ,皆さん!このWith コロナの糖尿病サバイバル時代を生き残れますか?『釧路CDE 研究会』のチャレンジをお届けします!

  • 本田 寛人
    原稿種別: 会議報告
    2022 年 2 巻 Supplement 号 p. 10
    発行日: 2022/09/23
    公開日: 2022/09/23
    ジャーナル オープンアクセス

    運動処方では,頻度(Frequency),強度(Intensity),時間(Time),種類(Type)といった「FITT」の原則に基づいてその内容を設定する.一般的には,中強度有酸素運動(歩行やジョギング,水泳など)を週3 回以上,1 週あたり150 分以上実施することを目標とする.筋力を高めるレジスタンス運動も重要で,8~12 回反復可能の負荷量で1~3 セット,上半身・下半身の筋肉を含んだ8~10 種類の運動(腹筋,ダンベル,腕立て伏せ,スクワットなど)を週2~3 回を目安に実施する.また,有酸素運動とレジスタンス運動は併用することが推奨されており,血糖コントロールや体重,最大酸素摂取量,筋力などの改善や近年注目されている筋内脂肪の減少などが期待できる. FITT の中でも,とくに運動強度は運動を安全かつ効果的に実施するために重要な項目である.一般的に中強度が推奨される理由として,長時間の運動実施が可能になりエネルギー消費量の増加が容易となることや,代謝機能関連の血液生化学データの改善が期待できること,運動中の危険因子(血圧上昇など)を抑えて運動が実施できることなどが挙げられる.一方,安全に運動を実施できるのであれば,強度を上げることに何ら問題はないと考えられる.心肺機能や筋力など様々な身体機能を向上させるためには,高強度運動も適度に取り入れることが望ましいため,運動経験者や高体力者,若年者などは,積極的に強度を上げることを検討する.また,代謝機能や運動機能の改善には十分な運動量を確保することが大切であるが,運動量は強度と時間の積で表されることから,強度を上げることで運動に割く時間を少なくすることができ,時間的制約が大きく十分な運動時間がとれない患者でも適切な運動量を確保できる. 当然,実際に患者に処方する際は,その病態に応じて指導する.とくに合併症保有者では,強度など運動内容の十分な検討が必要である.いずれにしても,患者に定期的なフィードバックを行い,活発な身体活動を主体的に行うことができるよう,心理学的側面も含めて支援することが肝要である. 本講座では,糖尿病患者における運動処方の理論と実際について,処方の原則と注意点,工夫点などを交えて解説する.

  • 音部 雄平
    原稿種別: 会議報告
    2022 年 2 巻 Supplement 号 p. 11
    発行日: 2022/09/23
    公開日: 2022/09/23
    ジャーナル オープンアクセス

    近年,糖尿病を合併する腎症患者への理学療法実施の機会およびその必要性は大幅に増加していると言える.これは高齢化に伴い重複障害としての糖尿病腎症を合併している患者が増えていることのみならず,糖尿病腎症に対する運動療法の考え方が大きく変化してきていることに起因している.以前は糖尿病腎症の病気が進行した患者(糖尿病腎症第3 期及び第4 期)では,安静や運動制限が推奨されていた.これは運動によって腎臓に流入する血流量が一時的に低下することで,腎機能の悪化をきたすと信じられていたためである.しかし,近年の研究で運動実施に伴う腎機能の悪化はきたさず,むしろ腎機能低下の速度を緩やかにするという報告もなされている.このような背景から,『糖尿病治療ガイド』においても2016 年度から「運動制限」の文字は削除されており,また限定的ではあるが糖尿病腎症患者に対する運動指導に対し診療報酬を算定できるようになっている.実際に,我々は腎臓病患者を対象とした運動療法介入の無作為化比較試験を実施しており,腎機能の悪化をはじめとする有害事象をきたすことなく,筋力やバランス能力,歩行能力,さらには認知機能の改善などが得られることを報告している. 糖尿病腎症患者に対する運動療法の注意点及び処方内容として,まず合併症およびそのリスクの把握が重要となる.糖尿病腎症患者では,糖尿病単独もしくは腎臓病単独の患者に比べ心疾患病死亡のリスクは大幅に増加することが知られている.そのため,運動開始前のメディカルチェック(心疾患の有無,糖尿病・腎臓病のコントロール状態など)および運動時所見の確認が必須であり,患者個々の状態に合わせて運動処方を行う必要がある.運動療法の内容については有酸素運動と筋力トレーニングの併用が基本となり,運動記録手帳や歩数計を用いることで,患者の日々の活動を定量化し,運動療法の継続を促すことが望ましいと考えている. 本講座においては,糖尿病腎症の評価,糖尿病腎症患者への運動療法の考え方,運動療法の効果,注意点,運動療法の実際について概説する.

  • 鈴木 康裕
    原稿種別: 会議報告
    2022 年 2 巻 Supplement 号 p. 12
    発行日: 2022/09/23
    公開日: 2022/09/23
    ジャーナル オープンアクセス

    糖尿病によって発症する神経障害(糖尿病神経障害:Diabetic polyneuropathy ,以下DPN)は最も頻度の高い慢性合併症であり,糖尿病患者の約半数がDPN を有している.糖尿病末梢神経障害および合併する閉塞性動脈硬化症は,下肢切断に至る原疾患の第1 位であり,糖尿病性足病変による下肢切断後の5 年生存率は約 40~60%と低く,患者の生活の質と生命予後を大きく損なう疾患である.そのため,DPNを早期に発見しフットケ アなどを施すことで重症化を予防することが重要である.しかしながらDPN の半数以上は無自覚であることから,医師による通常診療だけでは発見が難しい.我々理学療法士は,糖尿病理学療法の知識と技術を駆使し, DPN を早期発見する使命を帯びていることを肝に銘じるべきである.本講義では,若手理学療法士の臨床能力 を高めるべく,次のテーマに沿って話を進めることにする.「なぜ,臨床的に重視すべきなのか」DPN の存在を把握することにより,網膜症や腎症の重症度を予測できる,あるいは将来の足病変や運動器不安定症の発生を予見し早期に介入できる,などの臨床的メリットが挙げられるが,今回は糖尿病患者の転倒との関連について取り上げる.DPN に罹患することにより易転倒性となることが報告されているが,どのようなメカニズムによるものなのか? DPN により,下肢筋力やバランス能力の低下などの運動器障害を呈することは既報で明らかにされて いる.つまり糖尿病患者の転倒の原因は,DPN の罹患そのものによる感覚障害なのか,あるいは付随した運動器障害によるものなのか,改めて再考する.「どのように,鑑別すべきか」現在,DPN に特異的な症状や検査は存在せず,国際的コンセンサスの得られた診断基準は確立されていないため,診断のゴールデンスタンダードは存在しない.そのため神経症状と検査結果から総合的に鑑別する必要がある.本邦の臨床でよく用いられている2 つの基準を挙げ,検査値の正常範囲などについて改めて確認する.さらに近年,DPN を小繊維障害型(有髄Aδ線維,無髄C 線維),大線維障害型(有髄Aβ線維),混合型線維障害型,非小大線維障害型に4 分類できる考え方が示されている.この新しい概念についても紹介する.「どのように,検査すべきか」DPN の検査として臨床で多用されている触圧覚検査,振動覚検査,アキレス腱反射検査,神経伝導機能検査を取り上げる.これらの検査場面を共有し,神経生理や手技について振り返ることにする.

  • 河江 敏広
    原稿種別: 会議報告
    2022 年 2 巻 Supplement 号 p. 13
    発行日: 2022/09/23
    公開日: 2022/09/23
    ジャーナル オープンアクセス

    近年,糖尿病性神経障害および糖尿病腎症は理学療法に対する適応疾患としての認識が高まりつつあるが,糖尿病網膜症に対する理学療法のエビデンスは少なく,臨床においても実際の指導に難渋することが多い.そこで本講義では糖尿病網膜症に対する診療ガイドラインの内容を踏まえて,網膜症を有する患者への具体的な理学療法について解説する. 糖尿病網膜症は細小血管症によって生じる網膜血管の障害であり,進行することで視力障害を来たしてQOL を著しく低下させる.International diabetes federation によれば,糖尿病患者の3 人に一人が糖尿病網膜 症を有しており,10 人に一人が網膜症により視力障害を来たしている.そのため,理学療法士が糖尿病患者を担当した場合は,必ず網膜症の有無について確認し,その病期に応じた理学療法を実施することがリスク管理上においても重要な事柄である. わが国においては糖尿病網膜症の病期分類が用いられており,「単純網膜症」,「増殖前網膜症」,「増殖網膜症」の3 段階に分類されており,運動療法は各病期応じた実施内容が提示されている.この病期分類においては,増殖前網膜症以上の病期で運動の制限を考慮すべき記載となっていため,理学療法士は増殖前網膜症以上の病期における運動指導では網膜症を重症化させない運動を選択する必要がある.また,糖尿病診療ガイドライン2019 においては,新生血管は脆弱で血圧の急激な増加で出血のリスクが高まると考えられており,増殖前網膜症以上の症例では,ジャンプ,身体に衝撃の加わる活動,頭位を下げるような活動,呼吸を止めていきむような活動(Valsalva 手技)を控えるとされている. 以上のことから,網膜症に対する安全な運動療法としては血圧を上昇させない方法が望まれる.そこで,理学療法士が可能な網膜症患者に対する療養指導を踏まえて,我々が臨床において実践している網膜症患者に対する安全な運動指導方法について紹介する.

  • 佐藤 弘也
    原稿種別: 会議報告
    2022 年 2 巻 Supplement 号 p. 14
    発行日: 2022/09/23
    公開日: 2022/09/23
    ジャーナル オープンアクセス

    糖尿病足病変は,国際的に‘神経障害や末梢動脈疾患と関連して糖尿病患者の下肢に生じる感染,潰瘍,足組織の破壊性病変’と定義されている.足潰瘍は再発が多く,難治性であり7~20%が下肢切断となる.糖尿病足病変の発症にかかる要因は様々あり,糖尿病神経障害などの合併症をベースに,下肢末梢動脈の虚血,足関節や足部の変形や関節可動域制限,それに伴う足底圧の上昇などの外的要因,感染を含む創傷などがあり,それぞれが複合して存在し病態は多岐にわたる.重症の足病変では下肢を切断せざるを得ず,生命に危険が及ぶこともある.糖尿病足病変患者は複数の併存疾患をかかえ,合併症も多い.さらに高齢で低栄養のため虚弱,ADL が低下している患者も多く,患部の状態に加え,全身状態を適切に把握することが重要となる. 糖尿病足病変のリハビリテーションは,治療のフェーズによって段階的に分けて考える必要があり,ここでは,創傷を治療中の創傷治療期と創傷を予防する予防期に分けて考える.創傷治療期の病態は様々あるが,感染や組織の大欠損があるため完全な免荷が必要な場合と,潰瘍の治療をしつつも局所の免荷のみで歩行を行う場合がある.この時期は特に患部の免荷,不動に伴う廃用症候群の予防が重要である.重症例では免荷が数ヶ月に及ぶことがあり,元来歩行可能な患者では歩行,ADL 能力の維持が必須となる.感染が収束していない状況では局所の運動が禁忌となる場合もあり注意が必要である.また,創への不必要な物理的ストレスが治癒不全を引き起こすこともある.歩行に際しては,必要に応じてフットウェアや装具の検討などを行う.さらに歩行様式や歩容の指導,活動時の注意点やフットウェアの必要性などの患者教育も重要である.活動量の多い患者は歩幅が大きく,歩行距離も長いため創傷へのストレスを上昇させる可能性があるため注意が必要である.創傷予防は,初発の防止はもちろんのこと,創傷治癒後の再発予防も重要である.再発予防のために,糖尿病と併存疾患の管理,足部にかかる外的要因の除去などを行う.ストレッチで下肢関節可動域制限を改善させたり,フットウェアや靴の工夫によって歩行時の靴擦れや胼胝形成を減少させることができる.深爪や低温火傷などの日常生活での起こり得る物理的ストレスを減らすことも再発予防に貢献する.最後に足病変の治療を行う上で,一医療職では患者のすべてを把握することが困難であるため,多職種で連携し足病変の管理を行うことが患者の歩行や生活を守る上で重要となることを強調したい.

訂正論文
  • 野村 卓生, 井垣 誠, 山野 薫, 大津 孝浩
    原稿種別: 研究論文
    2022 年 2 巻 Supplement 号 p. 15-24
    発行日: 2022/09/23
    公開日: 2022/09/23
    ジャーナル オープンアクセス

    【はじめに】訪問リハビリテーションにおける糖尿病を合併した事例を供覧し,理学療法を実施する上での課 題や問題を理学療法管理学の観点から分析して考察した. 【理学療法管理学の定義】本論文では,理学療法管理学とは,「適切な理学療法サービスを効率よく安全に提 供するための管理(マネジメント)を研究する学問領域」と定義した.理学療法管理学の観点として,多職種連携管理,リスク管理,感染症管理,業務管理,⑤教育管理の5 つの視点とした. 【結語】疾病構造の変化と共に,理学療法士が生活習慣病,なかでも国民病といっても過言ではない糖尿病を 有する者を担当する機会が今後も益々増加すると考えられる.地域包括ケアシステムの確立の上でも,糖尿病の治療法の一つである理学療法の知識と技術を多面的に“管理”する必要がある.

  • 原稿種別: その他
    2022 年 2 巻 Supplement 号 p. 25
    発行日: 2022/09/23
    公開日: 2022/09/23
    ジャーナル オープンアクセス

    日本糖尿病理学療法学雑誌 第 1 巻 1 号,2022 年 3 月 21 日発行,掲載しました下記論文につきまして,訂正再出版を致します.編集の不手際によるものであり,著者および読者の皆様方にはご迷惑をおかけしましたことをお詫び申し上げますとともに訂正再出版をお知らせ致します.

    <訂正再出版論文> 日本糖尿病理学療法学雑誌 第 1 巻 1 号 p.44-53 (2022 年 3 月 21 日発行)

    題目 理学療法管理学からみる訪問リハビリテーションの課題 合併症としての糖尿病をどのように考慮すべきか

    訂正箇所 p.46,p.47 訂正内容 事例紹介の文章,文章の段組み,理学療法管理学の関連からの分析と考察の文章

    ※訂正再出版掲載巻号 日本糖尿病理学療法学雑誌 第 2 巻 Supplement p.15-24 (2023 年 9 月 21 日発行)

    以上

    日本糖尿病理学療法学会 編集委員会委員長 野村卓生

feedback
Top