繊維機械学会論文集
Online ISSN : 1883-8723
ISSN-L : 0040-5051
20 巻, 4 号
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  • (第3報) タフト構成繊維状態に関する一般式
    加藤 三千夫, 吉田 幸吉, 片山 勝巳
    1967 年 20 巻 4 号 p. T87-T95
    発行日: 1967/04/20
    公開日: 2010/09/27
    ジャーナル フリー
    目的
    本報は, 前報のタフトの各種機械的性質をもとにして, タフト全体の性状を表示できる一般式を求めることを目的としたものである.このためにタフト両端把持間隔 (以下ゲージと記す) 小なる範囲では, タフトはランダムスライバであると仮定して考察を進める.
    成果
    タフト構成繊維は切断成分Nc (x), 引き抜き成分Ns (x) および浮遊繊維成分Wf (x) の3種類から成立している, 綿の繊維長分布曲線は台形を示す, などの仮定を内田氏らのランダムスライバに関する理論式に適用して, これら各種繊維成分の本数, 重量および長さなどとゲージとの関係から関連式が求められた.
    またゲージをx, 試料重量をW (x) とするとき各種強力成分はそれぞれ
    (1) 切断繊維の強力成分Fc (x) =単繊維切断強力fc×切断繊維本数Nc (x)
    (2) 引き抜き繊維による摩擦力Fμ (x) =引き抜き繊維本数積分値∫x0 Ns (x) dx×単繊維の単位長さ当りの摩擦力fμ×単繊維の単位長さ当りの圧力p
    (3) タフトの単位重量当り切断強力Ft (x) /W (x) = {Fc (x) +Fμ (x)} /W (x) として求めた.
    以上の基本式を適用して切断強力成分, 摩擦による強力成分, 浮遊繊維含有率などとゲージとの関係曲線がそれぞれ求められた.これらの一般理論曲線を以後の実験の基準にした.
  • (第1報) シーファ型摩耗試験機における布の摩耗について
    川村 元二, 池田 佐喜男
    1967 年 20 巻 4 号 p. T96-T102
    発行日: 1967/04/20
    公開日: 2010/09/27
    ジャーナル フリー
    目的 シーファ型摩耗試験機において, 布に対する研摩紙と金属ブレードとの摩耗挙動の比較を行ない, 布の摩耗機構の追求を行なう. 成果  (1) 摩擦子が研摩紙, 金属ブレードであっても摩耗寿命Nと押圧荷重Pとの間にN=αP-mの近似的な関係が得られる.ここにα, mは摩擦条件に定まる定数である.  (2) 金属ブレードの指数mは研摩紙よりつねに大きい.また布の種類によってもmは異なる.したがって押圧荷重が異なれば, 摩耗寿命の逆転が起こる場合もある.  (3) 研摩紙粒径rとmとの間に近似的に, m=crの関係が得られ, したがってN, P, rの間には近似的に, N=αP-crの関係が成り立つ.
  • (第1報) スフ紡出におけるなじみの観測
    神原 保博, 岩田 昭治, 黒田 健次
    1967 年 20 巻 4 号 p. T103-T109
    発行日: 1967/04/20
    公開日: 2011/01/05
    ジャーナル フリー
    目的 紡績用リングのなじみ現象について追求するため, まずレーヨンスフ紡出におけるなじみの形態を観測した. 結果  (1) リングの接触電気抵抗値は, 紡出初期に急激に上昇し, 以後漸増を続け, 一定時間 (本実験では, ほぼ1000hr紡出後) に達して定常状態に入る.  (2) リング表面の電子顕微鏡による観察では, トラベラの滑走方向に塑性変形を生じ, そのとき発生する高温による融着現象が認められ, 紡出時間の経過に伴うなじみの過程を観察できた.  (3) リングの表面層の断面を観察の結果, なじみに伴って表層部に変化を生じ, 電子回折の結果γ-Fe2O3と多量の炭素を確認した. これらの観察結果より, なじみ期間, なじみの本質, 定常状態などについて考察を加えた.
  • (第1報) 糸速100m/minから500m/minにおける解じょ張力
    岩木 信男, 吉村 元一
    1967 年 20 巻 4 号 p. T110-T115
    発行日: 1967/04/20
    公開日: 2010/09/27
    ジャーナル フリー
    目的 巻糸体からの解じょ張力の要素の主なものには, 糸の加速, 空気抵抗, 巻糸体からの引き出し摩擦抵抗などがあり, これらの値は, 糸や巻糸体の形状, 解じょ条件によって異なってくる.本報では解じょ速度100~500m/minの範囲内において, 解じょ速度, ガイド位置, 巻糸体の外径および形状, 糸の種類により, 解じょ張力がどのように変化するかを検討した. 結果 (1) 混紡糸チーズでは, 解じょ速度の増加によって糸張力が増加するが, とくに巻糸体先端とガイドとの距離が, 5~10cmの付近で増加が著るしい.また, 巻糸径により解じょ張力は大きく変化する. (2) コーンの場合, ガイドと巻糸体との距離が5cmのときでも, 解じょ張力の増加は小さい.とくに, フィラメント糸コーンでは, ガイド位置の変化による影響は, 今回の実験範囲では認められなかった. (3) 混紡糸とフィラメント糸のコーンよりの解じょ張力は, 混紡糸が約3倍の解じょ張力を示しており, 糸の表面状態が解じょ張力に大きい影響を与えることを示した.
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