目的 ポリエステルタイヤコードの加撚時に, リングとトラベラーなどが糸質に及ぼす影響とリング素材と給油方式について検討する. 結果 (1) 現在のポリエステルコードは, バルーニングの制御として, バルーンコントロールリングを用いると, 繊維との摩擦抵抗が大きいため, 糸の溶融劣化現象が認められた.そのためにナイロンコードに比べ約40%スピンドル回転数を下げる必要がある. (2) 撚糸張力は, ナイロンコードと異なり, デニール当たり0.3gまで与えても糸質には影響しない. (3) リングの素材では, ナイロントラベラーを用いた場合, オイルリングより油の拡散と維持能力のよい焼結リングのほうが, 約20%スピンドル回転数を上昇させることができる. (4) リングの給油方式は, 自然給油式より十字短少溝付の強制給油式のほうが約25~30%スピンドル回転数を上昇させることができる. (5) 今回のリング径178φ, リフト355mm (約4kg巻き) の条件で, ナイロン840d/2撚糸の最高スピンドル回転速度は, 7000rpmまで, ポリエステルコード1100d/2撚糸で5000rpmまでは可能である.
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