61歳,男性.既往歴:心筋梗塞(A-Cbypass術),輸血後肝炎.経過:昭和63年より輸血後肝炎後遺症のため
グリチルリチン
の投与を受けていたが,平成元年より倦怠感,脱力感出現したため入院となった.入院時現症:血圧200/100mmHg以外異常を認めなかった.入院時検査所見では,血清K2.3mEq/1と低値を示し,内分泌機能検査では血漿レニン活性はO.5ng/ml/蒔,アルドステロンは32.2pg/mlと低値を示した.入院後
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の投与中止により症状,検査所見の改善および再投与による再発で偽アルドステロン症と診断した.
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投与時のフロセマイド負荷ではレニン活性は前,2時間値とも0.1ng/ml/時以下でアルドステロンは前値20pg/ml,2時間36pg/mlと抑制され,中止後は正常反応を示した.
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投与時と非投与時でのトレッドミル運動負荷時ストレスホルモンの検討ではレニン,アルドステロンは投与中は抑制され,運動負荷に伴う変化も小さく,またアルドステロンは負荷後20分で減少したのに対し,非投与時は増加し,異なる傾向を認めた.α-ANPは
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投与時は,高値を示し,運動負荷に伴う変化も大きかった.以上より,偽アルドステロン症発症時は,運動あるいは労作時には,Na"貯留,K"排泄などに起因する細胞外液の増加を介し,心臓に対する容量負荷が増加するものと推察された.
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