セアカゴケグモの毒腺抽出物をSDS-ポリアクリルアミド電気泳動法によって分析した。その結果, 低分子領域(20kD以下)から高分子領域(200kD以上)まで多数の
バンド
が認められた。分子量110-120kDに主要な
バンド
が認められ, また, 45kD付近にも複数の濃い
バンド
が見られた。オーストラリアより生き
たま
ま輸入されたセアカゴケグモと大阪産のゴケグモのタンパク質パターンを比べたところ, 非常に類似していた。オーストラリアより凍結乾燥されて輸入された毒腺抽出物の電気泳動パターンは110-120kDの主要な
バンド
が明らかに弱くなり, 分子量約77kD付近に新たな
バンド
が出現した。ジュウサンボシゴケグモの分子量130kDのα-latrotoxinに対する単クローン抗体は110-120kDの
バンド
と45kD付近の
バンド
を強く認識した。また, 凍結乾燥毒の約77kDの
バンド
も強く認識したことから, この
バンド
はα-latrotoxinの分解産物である可能性が強く示唆された。横浜産ハイイロゴケグモの毒腺抽出物でも, 110-120kDと45kD付近の
バンド
が強く単クローン抗体に認識された。大阪産セアカゴケグモ1匹分の毒腺抽出物を腹腔内に注射された雄マウス(ddY系統)は2日以内に7匹全て死亡したが, 輸入された凍結乾燥毒はマウスに対して若干弱い毒性を示した。また, 毒腺抽出物を注射された全てのマウスは毒量に関係なく明らかな体重減少を示した。以上の結果から, 大阪産のセアカゴケグモには明らかにα-latrotoxinが存在すること, また, マウスに対する毒性は既報の結果とほぼ変わらないことが示された。
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