平成19年4月の医療法改正に伴い、臨床工学技士が病院内の医療機器を管理する業務が責務となった。こうしたなか、当院の臨床工学部が昨年度新規に機器の保守管理を開始した機種は4機種計50台となっている現状からも、今後ますます保守管理業務の内容が多岐にわたることが予想され、それに対する人員を定めていかなくてはならない。しかし、保守管理業務自体に対する保険点数はなく、可視化された業績としてアピールすることは難しい。
こうしたなか、当院では2010年4月にアルカディア社製医療機器管理システム『CEIA system』を導入し、運用を行っており、『CEIA system』にて蓄積された点検データとシステムのコスト集計機能を利用することで、病院における臨床工学技士によるコストパフォーマンスができるのではと考え、取り組みを検討した。
臨床工学部が管理している医療機器は1098台、うち特定保守1094台を保守管理している。2010年4月~2011年3月までの定期点検および
オーバーホール
点検台数を集計すると880台であり、うち10台がメーカーによる点検となった。
取り組みとして、臨床工学技士が保守管理している機器について、仮にメーカーが行った場合の点検作業料を問い合わせ、定期点検および
オーバーホール
の作業料を調査した。機器の機種、バージョンなどにより作業料が違うため、分類し一覧とした。概算として職員一人当たりの平均年収に相当するであろう400万以上の実績があることが確認された。今後は、部品管理も徹底することでコストが明確となるが、システムに部品情報を取り入れるための医療材料標準コード(GS1コード)の添付が徹底されておらず、その普及が待たれる。
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