9,10,11,20,21,22-Hexaphenyltetrabenzo[a,c,l,n] pentaceneは、大きくねじれたπ共役系をもつことが、Pascalらにより報告されている。本研究では、ねじれたπ共役系をもつテトラベンゾペンタセン誘導体(1)を合成し、そこから発生する
カルボカチオン
についてNMR観測と理論計算によってその電子構造について調べた。化合物1を-50 ℃でトリフルオロ酢酸と反応させると溶液は青色へと変色し、
カルボカチオン
1+が発生した。これを低温NMRにより観測したところ、13C NMRにおいてカチオン中心の炭素のピークが182 ppmに現れた。また、化合物1及び
カルボカチオン
1+に対して理論計算を行ったところ、ねじれた構造をもつことがわかった。
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