Creatine kinase (CK) MM
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変換因子の本態はcarboxypeptidpse-N (car-N) であると提唱する報告がなされているが, いまだ推測の域を出ない.今回われわれは, この
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変換因子の本態について, 第一報に引き続いて検討を行い, 若干の知見を得た.CM Affigel Blueを用いてヒト血清よりprotease分画とprotease free分画を分取し, これらを心筋組織抽出液から精製したCK-MM分画 (100%MM
3) に添加した結果,
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変換はprotease分画添加時のみに認められた.また両者のcar-N活性を測定したところ, protease分画では活性が検出されたが, protease free分画では検出されなかった.次にヒト血清をゲル濾過法によって分画し, car-N活性の認められた分画を前述の精製CK-MM分画に添加した結果,
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はMM
3からMM
2を経てMM1に変化した.またcar-N活性の検出されなかった分画についても同様の検討を行ったが
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の変化は全く認められなかった.さらにヒト血清をguanidine-HClを用いて変性させ, ゲル濾過法により分画してcar-N活性を測定したところ, car-N活性は単一ピークとはならず, 高分子から低分子領域に幅広く検出された.この低分子分画に存在するcar-N活性分画を精製CK-MM分画に添加して一定時間反応させたところ,
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の変換が確認された.一方, car-N活性の各種阻害剤を精製CK-MM分画とcar-N活性分画の混液に添加した結果, 2-phenanthrolin, ε-amino-n-caproicacid, およびEDTA-2Naでは
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変換は認められず, cadmium sulfate添加ではMM
3からMM
2を経てMM
1への変換が確認された.また, 急性心筋梗塞患者血清中のcar-N活性を発症後経時的に追跡した結果, CK-MB活性がピークを形成して増加減少するのに対して, car-N活性は明かなピークを形成せず, ほぼ一定の値を遷移した.これらの結果から, 血清中のCK-MM
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変換因子はcar-Nである可能性が示唆されたが, car-Kのようなcar-N類似の未知の物質の関連も否定できなかった.
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