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クエリ検索: "サラセミア"
639件中 1-20の結果を表示しています
  • 吉本 早奈恵, 吉澤 篤人, 吉澤 佳子
    日本臨床栄養学会雑誌
    2023年 45 巻 2 号 140-146
    発行日: 2023/10/31
    公開日: 2025/07/23
    ジャーナル フリー
    症例は46歳,女性.入院時の血液生化学検査でRBC 5 . 06×106 /μL,Hb 11 . 2 g/dL,MCV 71 . 5 fL,MCH 22 . 2 pgと小球性貧血を認めた.
    サラセミア
    診断の指標であるMentzer Index(MCV/RBC)は14 . 1と13以上であったが,鉄剤処方にて貧血が改善しなかった.治療歴とFe 105 μg/dL,Ferritin227 . 1 ng/mLであったことから
    サラセミア
    を疑った.精査の結果,Hb分画はHbF 0 . 6 %,HbA2 2 . 2 %.BCB染色でHbH inclusion bodyを有する赤血球が認められ,軽症型α
    サラセミア
    と診断した.小球性貧血の代表的疾患は鉄欠乏性貧血であるが,Mentzer Indexが13以上であってもMCV 80 fL未満かつMCH 27 pg未満であれば,鉄欠乏性貧血ではなく,
    サラセミア
    を疑うべきである.
  • 和田 秀穂
    臨床血液
    2021年 62 巻 8 号 914-921
    発行日: 2021年
    公開日: 2021/09/08
    ジャーナル 認証あり

    サラセミア
    は,ヘモグロビンを構成するαグロビン鎖と,非αグロビン鎖の量的不均衡により,一方のグロビン鎖の産生量が低下したもので,主なものにα
    サラセミア
    とβ
    サラセミア
    がある。赤血球増多症を伴う小球性赤血球症が特徴で,Mentzer indexが13以下であることが診断の一助となる。α
    サラセミア
    の遺伝子解析では日本人,在日外国人ともにSEAタイプが最も多く,大きな差がみられない。β
    サラセミア
    の遺伝子解析では,日本人と在日外国人で変異のタイプと頻度に違いがみられ,−31 A→G(TATA box)などの日本人特有の変異がみられる。α
    サラセミア
    では例外的に後天性のものが存在し,骨髄異形成症候群に後天性HbH症を伴っている症例がATMDSとして報告されている。最近,輸血依存性β
    サラセミア
    に対する新規治療薬としてluspaterceptが試みられ,安全かつ有意に輸血量を減少させることが明らかとなった。

  • 谷川 朋幸, 山添 正博, 小山田 亮祐, 新沼 廣幸, 西 裕太郎, 樋口 敬和, 岡田 定
    日本内科学会雑誌
    2015年 104 巻 11 号 2400-2406
    発行日: 2015/11/10
    公開日: 2016/11/10
    ジャーナル フリー

     近年,β

    サラセミア
    患者は凝固傾向を伴い,血栓塞栓症合併のリスクが高いことが認識されている.今回,肺血栓塞栓症/深部静脈血栓症の原因検索で,MCVとHbA1c低値を契機に軽症型β
    サラセミア
    と診断された症例を経験した.これまで我が国ではあまり認識されていなかった血栓塞栓症のリスク因子としてのβ
    サラセミア
    について概説する.

  • 米本 大貴, 中嶋 美咲, 慶田 裕美, 赤石 睦美, 飯田 浩一
    日本周産期・新生児医学会雑誌
    2023年 59 巻 1 号 127-131
    発行日: 2023年
    公開日: 2023/05/10
    ジャーナル フリー

     εγδβ

    サラセミア
    はβグロビン遺伝子群とその遺伝子調節領域の欠失による稀な
    サラセミア
    である.常染色体顕性遺伝形式をとり,一部は胎児期から新生児期に重篤な溶血性貧血を呈するが,貧血は生後数カ月で自然軽快し乳児期以降は軽症β
    サラセミア
    様症状となる.

     症例は在胎23週,体重602gで出生した男児.出生時にHb 3.6g/dLの先天性溶血性貧血を認め,入院中に5度の赤血球輸血と未熟児網膜症に対する2度の光凝固術を要した.母とその姉妹に新生児貧血の既往があり乳児期以降は

    サラセミア
    様症候群と診断されていた.

     母の遺伝子解析で遺伝子調節領域からβグロビン遺伝子群の一部に欠失を認め,εγδβ

    サラセミア
    と診断した.

     εγδβ

    サラセミア
    は先天性貧血の原因となる周産期の重要な遺伝性疾患である.貧血は妊娠中期には始まっている可能性があり,妊娠前の診断と早産予防を含めた慎重な胎児,新生児管理が望まれる.

  • 奥野 啓介, 上山 潤一, 呉 彰, 辻 靖博, 西川 健一, 神崎 晋, 服部 幸夫
    日本小児血液学会雑誌
    2008年 22 巻 4 号 251-254
    発行日: 2008/08/31
    公開日: 2011/03/09
    ジャーナル フリー
    本邦ではまれな Hb Durham-N. C./ Bresciaによるβ-
    サラセミア
    の2歳男児例を報告する.患児の母, 祖母, 曾祖母も貧血に罹患している.患児は鉄欠乏性貧血として治療されていたが, 末梢血塗抹標本で標的赤血球を認め当科紹介となった.初診時血液検査では鉄欠乏を伴わない小球性低色素性貧血があり, 末梢血塗抹標本では赤血球の大小不同, 標的赤血球, 奇形赤血球がみられた.骨髄検査では赤血球以外の異常は認めなかった.胎児ヘモグロビン (HbF) やヘモグロビン A2 (HbA2) は上昇していた.遺伝子検査において, β-グロビン遺伝子のコドン114の CTG (ロイシン) が CCG (プロリン) に置換された Hb Durham-N. C. /Bresciaのヘテロ接合であることが判明し, dominant type β-
    サラセミア
    と診断した.患児は貧血が軽度であるため, 無投薬で経過観察中である.
  • 岩朝静子久米悠太, Yuta Kume, Key wordsNobuhiro Umehara, Hiroyuki Tsukui, Satoshi Saito, Kotaro Arai, Kyomi Ashihara, Nobuhisa Hagiwara, Kenji Yamazaki
    心臓
    2013年 45 巻 7 号 806-810
    発行日: 2013/07/15
    公開日: 2014/09/16
    ジャーナル フリー
    症例は,54歳,女性.2004年に胸痛・労作時呼吸苦を認めたため他院を受診し,手術適応の弁膜症と診断されるも自己中断した.その後自覚症状が増悪し,精査にて後尖に疣贅を伴う僧帽弁閉鎖不全と判明したため,待機的手術の適応となる.ほかの合併症として,血液検査にて汎血球減少と
    サラセミア
    を認めた.手術時の所見は,術前のエコーどおり後尖P3領域の疣贅に加え,前尖も炎症性変化をきたしていた.こちらに対して弁形成を施行し,出血傾向を認めたが,輸血療法のみで対応でき,その後は問題なく経過した.
    サラセミア
    を合併した弁膜症に,感染性心内膜炎も合併した症例報告はごく少数であり,若干の文献的考察を交えて報告する.
  • 服部 幸夫, 山城 安啓
    山口医学
    2004年 53 巻 4+5 号 204-205
    発行日: 2004年
    公開日: 2005/09/30
    ジャーナル フリー
  • 大橋 誠, 高橋 靖之, 永合 徹也, 藤井 一維, 佐野 公人, 柬理 十三雄
    有病者歯科医療
    2007年 16 巻 3 号 165-169
    発行日: 2007/12/31
    公開日: 2011/08/11
    ジャーナル フリー
    サラセミア
    は溶血性貧血を呈する先天性のヘモグロビン異常症で, 日本ではまれな疾患である. 我々は,
    サラセミア
    を併発したダウン症候群患者の歯科治療において, 行動調整に全身麻酔法を選択した. 患者は20歳, 男性. 身長155.0cm, 体重72.5kg. 出生直後にダウン症候群および
    サラセミア
    と診断された. 術前検査で小球性低色素性貧血を認め, 低酸素状態に対する予備力の低下が予測された. 全身麻酔は経鼻気管挿管し, 笑気+酸素+セボフルランで行った. 術中に問題はなく, 無事予定処置を終了した.
    サラセミア
    を有する患者に全身麻酔を施行する際には, 術前検査から, 正確な貧血症状の把握と全身に対するその影響を十分に見定める必要がある.
  • 細谷 幸子
    日本遺伝看護学会誌
    2017年 16 巻 1 号 59-69
    発行日: 2017/08/31
    公開日: 2024/02/23
    ジャーナル フリー

     本研究では、イラン・イスラーム共和国(以下、イランと記す)を調査地として、重症型

    サラセミア
    (地中海性貧血)の若者たちの結婚とリプロダクションに対する看護支援について考察する。

    イラン国内には約25,000人の重症型

    サラセミア
    患者がいるとされる。近年の治療環境の改善とセルフケア・マネジメントの充実に伴い、患者の寿命が延び、彼(女)らにも教育を受け、職業をもち、結婚し子をもうけて家族生活を享受するという人生設計が可能になった。しかしながら、遺伝性疾患をもち、種々の合併症や随伴症状を抱えた彼(女)らは、結婚とリプロダクションの選択において、多くの困難に直面している。

     調査はイランで第三の人口規模をもつ都市イスファハンにおいて3つの異なる手法で実施された。(1)現地の状況を知るための文献調査とフィールド調査、(2)

    サラセミア
    病棟に輸血に通う患者51名を対象にした質問紙調査、(3)地区病院の
    サラセミア病棟とサラセミア
    患者団体での参与観察。分析方法として(1)と(3)、(2)の自由記載部分はエスノグラフィーの手法に基づく質的研究の方法論に従い、(2)の自由記載部分以外は記述統計量の算出をおこなった。

     イランにおける重症型

    サラセミア
    患者の結婚とリプロダクションに関する背景と、質問紙調査の結果を踏まえ、質問紙調査と参与観察で情報を得た6事例から必要な看護支援を考察し、以下の4つの必要性を提示した。 (1)妊孕力に関するカウンセリング、(2)
    サラセミア
    の遺伝に関する情報提供、(3)
    サラセミア
    と合併症の症状と治療に関する情報提供、(4)自己決定への支援。

  • 中森 芳宜, 福田 尚文, 篠原 健次, 服部 幸夫
    臨床血液
    2002年 43 巻 3 号 194-198
    発行日: 2002年
    公開日: 2009/07/28
    ジャーナル 認証あり
    発端者は43歳,日本人女性。約20年前の初産時より小球性,低色素性貧血を認め間違って鉄欠乏性貧血の診断のもとに鉄剤の投与および輸血を受けた。当院受診後
    サラセミア
    を疑いスクリーニング検査によりHbA2の増加およびグリセロール融解時間の延長を認め,さらに遺伝子検査によりβグロビン遺伝子のコドン127/128での3塩基欠失(CAG/GCT→CCT)の変異を認めた。家系調査により長男及び次女に於いても同様の変異を認めた。母親には軽度,長男には極軽度の貧血を,また次女には溶血を伴う中程度の貧血を認め,ドミナント型β
    サラセミア
    の一家系と思われた。
  • 坂井 亜依, 池田 真浩
    日本心臓血管外科学会雑誌
    2023年 52 巻 3 号 154-158
    発行日: 2023/05/15
    公開日: 2023/05/30
    ジャーナル フリー

    サラセミア
    は溶血性貧血を呈する遺伝性疾患であり,人工心肺の使用により溶血が増悪するため注意が必要であるとされているが,
    サラセミア
    患者の開心術の報告は少ない.
    サラセミア
    患者の大動脈弁狭窄兼閉鎖不全症と上行大動脈瘤の外科治療を経験したため報告する.症例は69歳女性で,二尖弁による重症大動脈弁狭窄兼閉鎖不全症と最大短径49mmの上行大動脈瘤を指摘され,当院紹介となった.小球性貧血の精査でβ
    サラセミア
    と診断された.手術は中等度低体温循環停止,逆行性脳潅流併用下に,上行大動脈置換術に続いて生体弁での大動脈弁置換術を行った.人工心肺には非拍動流の遠心ポンプを使用し,吸引回路とベント回路は低回転数で使用した.溶質貯留に備えDilutional ultrafiltration(DUF)を施行し,溶血による人工肺閉塞に備えて人工肺交換用回路を接続した.重篤な溶血を呈することなく,経過良好で術後20日目に退院した.術前に
    サラセミア
    を認識し,十分に治療戦略を立てることが重要であると考えられた.

  • ―その特徴と諸外国との比較―
    山城 安啓, 服部 幸夫
    臨床血液
    2015年 56 巻 7 号 752-759
    発行日: 2015年
    公開日: 2015/08/06
    ジャーナル 認証あり
    ヘモグロビン(Hb)異常症は,アミノ酸置換などに起因する質的異常症である異常Hb症と,Hbを構成するグロビン鎖の量的異常症である
    サラセミア
    に大別される。ほとんどが遺伝性疾患である。現在知られている日本人の異常Hbは210種類以上で発生頻度は1/3,000人程度である。また,
    サラセミア発生頻度はサラセミア
    蔓延地帯に比べると低いが,β
    サラセミア
    が1/1,000人,α
    サラセミア
    が1/3,500人程度と決して少なくない疾患である。その変異の種類は,島国で諸外国と隔離されてきたせいか,全く異なるspectrumを示す。多発地域とは異なり,日本のHb異常症のほとんどが軽症型である。このことが,重症型のみに目を向ける諸外国とは異なり,こと細やかなデータの観察から多くの軽症型Hb異常症を発見し,多くの知見が得られている理由だと考える。そして,今後も患者のためにも,診断技術を含め医療体制を維持していく必要がある。
  • 太田 節雄, 大嶋 寛子, 野中 俊秀, 猪股 弘明, 服部 幸夫, 山城 安啓
    日本小児血液学会雑誌
    2006年 20 巻 1 号 26-29
    発行日: 2006/02/28
    公開日: 2011/03/09
    ジャーナル フリー
    鉄欠乏のない小球性貧血の4歳男児.電気泳動により, 異常ヘモグロビンバンドを認あ, その泳動位置から,
    サラセミア
    類縁疾患であるHb Lepore症の存在が疑われた.さらに特異的なgap PCRにより HbLepore症 (Washington-Boston型) と診断された.
    サラセミア
    およびその類縁疾患の軽症型の存在は生命予後には影響はないが, 遺伝相談的側面からその確実な診断は重要であると考えられる.
  • 2)ヘモグロビン異常症
    服部 幸夫
    日本内科学会雑誌
    1999年 88 巻 6 号 1010-1015
    発行日: 1999/06/10
    公開日: 2008/06/12
    ジャーナル フリー
    血色素異常(異常血色素症,
    サラセミア
    )は近年の遺伝子診断により簡単かつ正確な診断が下せるようになった.しかし,翻訳後の修飾も少なくなく,ペプチド分析も欠かせない.一部の流行地では出生前遺伝子診断の普及で,重症型
    サラセミア
    の激減に成功しつつある.治療では鎌状赤血球貧血に対してのヒドロキシウレアの多施設スタディが発表され,症状軽減が証明された.また骨髄移植の成功は一部の重症血色素異常患者で「治癒」をもたらした.遺伝子治療は動物実験で成果をおさめめつつある.
  • ―Junction PCR―
    日野 未奈子
    臨床血液
    2006年 47 巻 5 号 347-354
    発行日: 2006/05/30
    公開日: 2008/03/14
    ジャーナル 認証あり
  • 太田 善郎, 今村 孝, 隅田 〓男
    臨床血液
    1974年 15 巻 2 号 86-96
    発行日: 1974年
    公開日: 2008/10/31
    ジャーナル 認証あり
    The thalassemia syndrome is a group of entities which are clinically characterized by hypochromic, microcytic anemia and genetically determined by depression of hemoglobin synthesis. The thalassemia has a decreased rate of synthesis of one or more globin chains of hemoglobin, and is classified according to the globin chain involved. Thus, there are the α, β, δ, γ and δβ thalassemia.
    The cilnical and laboratory features of main forms of thalassemia are now well defined and are summarized in Table 1. In common types of thalassemia, especially in β and δβ thalassemia, individuals who carry one thalassemia gene and one normal gene (heterozygotes) are relatively mildly affected (thalassemia traet or thalassemia minor). Individuals who inherited two similar or identical thalassemia gene (homozygotes) suffer from a severe impairment of hemoglobin synthesis (thalassemia major).
    In thalassemia, primary genetic defect might be led to decrease or alteration of messenger RNA that directs the synthesis of globin chains. In this review, recent progresses in molecular pathology of thalassemia, such as a decreased or defective messenger RNA, are discussed.
  • 服巻 保幸
    臨床血液
    1991年 32 巻 6 号 587-591
    発行日: 1991年
    公開日: 2009/03/12
    ジャーナル 認証あり
    PCR法を用いたグロビン遺伝子の解析を日本のβ
    サラセミア
    を例により示した。アレル特異的オリゴヌクレオチドプロープを用いたドットブロッテイングにより既知変異に関するスクリーニングを行い,次にダイレクトシークエンシングやダイレクトクローニングによる塩基配列の解析を行い新しい変異を同定した。その結果プロモーター変異1種,スプライシング変異2種,フレームシフト変異2種,ナンセンス変異1種を見いだした。これらに加え極めて不安定なグロビン鎖を生じる変異を3種明らかにした。日本で見られたこのような
    サラセミア
    変異の特徴につき,
    サラセミア
    とマラリア抵抗性との関係から考察を加えた。
  • 宮地 隆興, 矢加部 茂, 竹尾 貞徳, 前川 宗一郎, 吉田 康洋, 池尻 公二
    医療
    1990年 44 巻 2 号 97-105
    発行日: 1990/02/20
    公開日: 2011/10/19
    ジャーナル フリー
    グロビン遺伝子の欠損や塩基配列の異常は, 転写や翻訳の停止, mRNAの不安定や成熟異常を生じ,
    サラセミア
    症候群を, 遺伝子の融合エクソン部の異常の一部は
    サラセミア
    様ヘモグロビン異常症を, mRNAからグロビンを合成するが4個のグロビンの会合前に崩壊したり, 会合後ただちに崩壊する超不安定ヘモグロビンを, そしてヘモグロビンを産生した後赤血球中で, 不安定性, 溶解度の減少, メトヘモグロビン形成, 酸素親和性の異常を示す異常ヘモグロビン症を現す一連の相互関係を述べるとともに, これらのヘモグロビン異常症の病態や臨床的特徴について言及した. このように今まで全く異質のものと考えられていた
    サラセミア
    症候群と異常ヘモグロビンとは, 遺伝子の異常に基づく同質のものであることが明らかとなつた. このようにヘモグロビン異常症は, 遺伝子の異常を原因とする疾患の典型である.
  • 槍澤 大樹, 菅野 仁
    日本輸血細胞治療学会誌
    2022年 68 巻 1 号 3-11
    発行日: 2022/02/25
    公開日: 2022/03/14
    ジャーナル フリー

    赤血球内に存在するヘモグロビンは, 肺胞で酸素を結合して組織に運搬する. ヘモグロビンの異常により酸素運搬能が低下すると, 組織は低酸素状態となり労作時呼吸困難や全身倦怠感などの症状が出現する. ヘモグロビン異常症は

    サラセミア
    と異常ヘモグロビン症に大別され,
    サラセミア
    はグロビン遺伝子の異常によりα-およびβ-ヘモグロビン鎖の量的アンバランスが生じた結果発症し, 鉄欠乏性貧血などとの鑑別にはMentzer indexが有用である. 不安定ヘモグロビン症はグロビン鎖のアミノ酸配列が変化してヘモグロビン鎖が不安定になり発症し, メトヘモグロビン血症はHbの還元に関与する酵素の異常により発症する. また, パルスオキシメーターによる経皮的動脈血酸素飽和度測定における異常低値を示す場合, 空腹時血糖が異常高値であるにもかかわらずHbA1cが低値を示す場合, メトヘモグロビンが高値を呈する場合などはヘモグロビン異常症を疑う必要がある. 重症型のヘモグロビン異常症では定期的な輸血が必須であるが, 輸血による鉄過剰が問題となる. β
    サラセミア
    や鎌状赤血球症では, 近年様々な治療薬が開発されてきており, 更なる臨床応用が期待される.

  • 川野 正樹, 大類 方巳, 古藤 雅彦, 上野 哲彦, 菅谷 仁, 原田 尚, 土屋 喬義, 梶田 昭彦, 茂又 真祐
    日本内科学会雑誌
    1983年 72 巻 10 号 1420-1425
    発行日: 1983/10/10
    公開日: 2008/06/12
    ジャーナル フリー
    症例は32才の日本人男性で, 17才頃より貧血を指摘されていたが,全身倦怠感を主訴に近医を受診し,貧血と脾腫を指摘され精査目的で当科へ入院した.入院時,尿検査においてウロビリノーゲンの陽性所見を認めるもヘモジデリン等の異常は認めず,末梢血でRBC 463万/mm3, Hb 9.lg/dl, Ht 28%, MCV 60μ3, MCH 20rr,血液像では赤血球大小不同,奇型,標的細胞が認められた.血液生化学検査において,軽度の間接型ビリルビンの上昇を認める以外には異常を認めず,また血清鉄88μg/dl,総鉄結合能225μg/dlであつた.以上より溶血性貧血を疑いさらに検査をすすめた. Heinz小体生成試験が陽性を示した以外,熱変性試験, sugar-water試験,直接,間接クームス試験はいずれも陰性であつた. hemoglobin電気泳動の結果〔A2 6.2%, F21.5%, abnormal hemoglobin (-)〕よりβ-thalassemiaを疑い, 14C-leucineによるβ鎖/α鎖の合成比を求めたところ, 0.42とβ鎖合成の抑制が認められた.以上,家族歴,臨床症状,これら検査成績よりβ-thalassemia intermediaと診断した.本邦におけるthalassemiaは現在までに47家系の報告がみられるが, β-thalassemia intermediaとして報告されたのは本症例を含め5例のみであり,非常にまれな症例と考えられる.
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