目的 当院の重症心身障がい児病床では、構造上ベッドサイドでの家族面会が主であり、医療機器の操作音等の雑音は避けられない。そこで
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を導入、プレイルームで母親と児が落ち着いて過ごす空間・時間を提供し、母親の心境がどのように変化するのか調査した。 方法 1.期間:2015年8月〜12月 2.対象:長期入院中の重症心身障がい児(3〜16歳)7名の母親 3.方法:障害児を育てる親のストレスが測定できるQRS簡易版(稲浪他1994)を用い、
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施行前後の各尺度得点(0〜10点)を測定し比較検討した。
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は1人1時間以上で4回施行した。 結果 7名の母親における
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施行前後の各尺度の差はすべて1点以下であり、大きな差はみられなかった。しかし、
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施行後のアンケートでは、児の成長を実感し、隣で寝ることへの幸福感や、目の動き・空腹感等の小さな変化を感じ、また、重症心身障がい児となった経緯を同胞が興味を持つ等、母親の心境に変化が見られた。 考察
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施行前後で大きな差がみられなかったのは、出生時からの母子分離や将来への不安、在宅療養が出来ない心理的葛藤、同胞との絆・関係性等、長年抱えているストレスが強く関与しているものと推測された。
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施行後の母親の感想から、隣で寝ることで、わが子を身近に思い、成長を実感し、幸福感を得られたのではないかと考える。また家族も一緒に過ごすことで、児との絆が深まり、家族の一員として認識できるきっかけになったと思われる。このような母親の心境変化は、落ち着いた環境の中でこそ得られた感覚であり、
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の導入が、母子にとって貴重な時間と空間になったものと推測された。 結論
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施行前後の母親のストレスに大きな差はなかった。しかし、母親と児が落ち着いて過ごす空間・時間を提供することは、母親の心境変化や、家族機能の構築にも好影響を及ぼすことが示唆された。
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