本研究は,幼児の造形遊びにおいて,子どもが他児に向かってモチーフを伝え,モチーフを共有する過程を明らかにすることを目的とする。幼稚園の4歳児クラスを半年間参与観察し,子どもの身体配置や視覚的なやりとりを分析の視点とした。分析の結果,幼児はモチーフを他児と共有する前に,他児と隣り合う場所に位置取り,他児の制作物を見たり制作物を見せたりしていた。つまり,互いの視点が近い場所で両者の視線が交差していた。その後でモチーフを伝える発話が大人のみから他児にも向けられるようになり,子ども同士でモチーフを共有していた。そして,最後に,共同で造形遊びを行う中で,他児の制作物のアイデアを積極的に自分の制作に採り入れることが明らかになった。
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