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クエリ検索: "ハイドロアイソスタシー"
79件中 1-20の結果を表示しています
  • 中田 正夫, 前田 保夫, 長岡 信治, 横山 祐典, 奥野 淳一, 松本 英二, 松島 義章, 佐藤 裕司, 松田 功, 三瓶 良和
    第四紀研究
    1994年 33 巻 5 号 361-368
    発行日: 1994/12/31
    公開日: 2009/08/21
    ジャーナル フリー
    西九州には縄文早期の鷹島遺跡や数多くの縄文前期から中期の水中遺跡が存在する. これらの遺跡が水没したおもな原因は, 最終氷期の大陸氷床の融解に伴う
    ハイドロアイソスタシー
    に帰すことができる. 本論文では, このことを定量的に示した. この研究をさらに進めることは, 両極の氷床モデルや地殻とマントルのレオロジーを推定するのに非常に有益である.
  • 長岡 信治, 横山 祐典, 中田 正夫, 前田 保夫, 奥野 淳一, 白井 克己
    地理学評論 Ser. A
    1997年 70 巻 5 号 287-306
    発行日: 1997/05/01
    公開日: 2008/12/25
    ジャーナル フリー
    有明海南東岸の菊池川下流,玉名平野の完新世における海面変化および地形発達を,航空写真判読,ボーリング調査・貝化石の14C年代測定,硫黄・珪藻分析などの結果に基づいて考察した.平野は三角州と自然堤防帯からなり,それらを構成する沖積層は基底礫層 (BG) ・下部層 (LS: 砂・シルト)・中部層 (MC: シルト・粘土)・上部層 (US: 砂)に分けられる.この内, MCは発達の良い完新世の海進堆積物である. MCを形成した海進では,初期の約9000年前には海水準は-20m付近にあり,その後は5.5m/103yrの急激な速度で上昇し,約4900年前には2mの最高海水準に達した.それから現在まで,海水準は緩やかに低下し,現海水準に達している.この海退に伴い上部砂層が堆積した.このように,完新世最高海水準が見かけ上現在よりも高くなる海水準変動は,海面上昇に伴う
    ハイドロアイソスタシー
    による陸側の隆起を示している.
  • 佐藤 裕司
    第四紀研究
    2008年 47 巻 4 号 247-259
    発行日: 2008/08/01
    公開日: 2009/05/14
    ジャーナル フリー
    瀬戸内海東部,播磨灘沿岸において,局地的な地殻変動量を差し引いた完新世海水準変動を明らかにした.本論文では,御津町で採取されたコアの分析から,最終間氷期(海洋酸素同位体ステージMIS 5.5)の相対的海水準高度を求め,調査地点の地殻変動量を推定した.既存の4地点(垂水,玉津,高砂,赤穂)の完新世相対的海水準の観測値に御津町コアのデータを加え,観測値から各地点の局地的地殻変動量を差し引き補正した.そして,それらの補正観測値をもとに,播磨灘沿岸域における完新世海水準変動を復元した.その結果,海水準高度は約8,000 cal BPには標高約-3 m, K-Ah降下時には約-1 mであった.高海水準期は約7,000~5,300 cal BPに認められ,その間の海水準高度は約+1.0 m(最高で約+1.5 m)であった.その後,海水準は低下し,3,800~3,000 cal BPに約+0.5 m, 2,700~2,100 cal BPには標高約0 mになったと推定された.
  • 荒戸 裕之, 山﨑 誠
    石油技術協会誌
    2022年 87 巻 2 号 129-135
    発行日: 2022年
    公開日: 2023/03/31
    ジャーナル フリー

    The Dewa Bank Chain, located on the outer edge of the continental shelf offshore Akita, consists of banks and knolls tending north-south over about 100 km. In this chain, Shinguri Bank is topped by an obvious flat area that is thought to be mainly an abrasion platform that formed during the eustatic lowstand of the last glacial period. Based on three-dimensional seismic interpretation, depth of the platform ranges from 150 to 160 m at the deepest. However, the Last Glacial Maiximum(LGM)lasted until 20.5 Ka and the eustatic sea level at that time was 125~130 m lower than at present. Therefore, the abrasion platform of Shinguri Bank at the LGM is 10~25 m deeper at present than the sea level of the LGM. This suggests that the Shinguri Bank has subsided at an average of 0.49~1.22 m/kyr since 20.5 Ka. This rapid subsidence contrasts with the uplift tendency of the Oga Peninsula and differs from other knolls and banks in the Dewa Bank Chain, meriting an examination for the development history of the Quaternary tectonics and the influence of post LGM hydro-isostasy at the eastern coast of Sea of Japan.

  • 中田 正夫, 奥野 淳一, 横山 祐典, 長岡 信治, 高野 晋司, 前田 保夫
    第四紀研究
    1998年 37 巻 4 号 315-323
    発行日: 1998/10/31
    公開日: 2009/08/21
    ジャーナル フリー
    西九州には,縄文前期から縄文中期の水中遺跡が存在する.最終氷期の大陸氷床の融解に伴うハイドロアイソスタティックな地殻傾動は,これらの遺跡の沈水を定量的に説明することができる.これらの水中遺跡の分布は,地球の約250kmまでの深さの粘性構造に敏感に対応した事実を示している.この地域の海面変化の観測値と理論値を比較検討した結果,観測値を説明しうる粘性構造は,リソスフェアの厚さが30~50km,リソスフェア下200kmのアセノスフェアの平均的な粘性率が(8~20)×1019Pa sであることが判明した.つまり,アセノスフェアとその下の上部マントルとの粘性率のコントラストは有意ではなく,日本列島のような島弧域においても,発達した低い粘性率のアセノスフェアは存在しないことが示唆される.さらに,ハイドロアイソスタティックな地殻傾動に規定された後氷期の海水準変動は,空間・時間的に変化し,先史時代の居住地や生活様式を規定した可能性がある.
  • 佐藤 裕司
    Diatom
    2014年 30 巻 31-40
    発行日: 2014/06/06
    公開日: 2014/05/10
    ジャーナル オープンアクセス
    The establishment of sea-level index points is essential to reconstruct sea-level changes. Diatom analysis of sediments has been applied to Holocene sea-level studies. In Japan, changes in diatom assemblages during a transition in sedimentary facies from marine to freshwater have been recognized to be the upper limit of marine facies, which provides direct evidence for the marine limit. In this paper, indicative meaning of the marine limit was reassessed, and was interpreted as a sea-level index point formed at a tidal level of mean high water spring. The horizon, at which autochthonous intertidal diatoms are present in great abundance, can yield a sea level index point along with its elevation and depositional age. Pseudopodosira kosugii is known to be a useful indicator for identifying past sea levels during the Holocene. Along most of the Japanese coast, this species occurs abundantly in the successive diatom assemblages of a sedimentary sequence formed as a result of the Holocene marine transgression (‘Jomon’ transgression). Past sea-level reconstructions using intertidal diatom indicators (P. kosugii and Terpsinoë americana) were made for the Tofutsu core collected in Hokkaido. A brief account of a diatom-inferred sea-level change during the last 8,000 years was also shown for the Harimanada coast on the border of the northeastern Seto Inland Sea.
  • *堀 和明, 丸山 愛太, 田村 亨, 石井 祐次, 清家 弘治, 中西 利典, 洪 完
    日本地理学会発表要旨集
    2024年 2024a 巻 P047
    発行日: 2024年
    公開日: 2024/10/01
    会議録・要旨集 フリー

    はじめに 波浪卓越型の沿岸域では,複数の浜堤と堤間湿地で構成される浜堤平野が発達する.日本の浜堤平野では,浜堤列が3列あるいは4列に大別され,その形成が完新世中期以降の海水準の微変動との関係で議論されてきた.2000年代に入ると,コア堆積物の堆積相解析や加速器質量分析装置を用いた放射性炭素年代測定によって,過去の海水準指標となる前浜堆積物の認定やそれを用いた相対的海水準変動の復元手法が提案されるようになった(増田ほか,2001).さらに,浜堤堆積物に含まれる石英や長石のOSL年代測定が世界各地で盛んになっている(Murray-Wallace et al., 2002).本研究では,海溝型地震の震源域近くに位置し,複数の浜堤が分布する仙台平野南部(阿武隈川以南)を対象に,平野の形成・前進と海水準変動との関係を議論する.

    方法 仙台平野南部に分布する浜堤の4地点(W1–W4)において掘進長各10 mのオールコアボーリング,また,9地点(MM1–MM9)においてサンドオーガを用いた堆積物採取を実施した.採取したコアは暗室において半裁後,写真撮影,CT画像撮影,色調,湿潤および乾燥かさ密度,帯磁率の測定をおこなった.10 cmごとに堆積物を篩い分けて礫・砂・泥の比率を算出し,砂について粒度を分析した.また,長石を用いたOSL年代測定,貝殻片や有機物の放射性炭素年代測定を実施した.サンドオーガで採取した堆積物についても,礫・砂・泥の比率の算出,砂の粒度分析,OSL年代測定をおこなった.

    結果と考察 コア堆積物は層相にもとづき,下位から下部外浜,上部外浜,前浜・後浜,耕作土に区分した.前浜・後浜堆積物からは,W1で約6 ka,W2–W4で約4000–1000年前のOSL年代が得られた.貝殻片の放射性炭素年代はOSL年代に比べると古い年代を示した.また,MM1–MM9のOSL年代はW1–W4のOSL年代と調和的であった.下部外浜上端付近から前浜・後浜にかけての堆積は数百年以内に生じており,堆積が急速に進んだことが推定される.さらに,W2からW4の堆積曲線の傾きに大きな差がないことから,1000年オーダーでは,4000年前以降,海浜の縦断形がほぼ一定の状態で海岸線の前進が生じたと考えられる. 前浜・後浜と上部外浜堆積物との境界は,最も陸側のW1では標高1.2 mだが,W2で−1.39 m,W3で−1.54 m,W4で−1.91 mとなっており,W1は他地点に比べて高い.仙台平野北部において,前浜・後浜と上部外浜堆積物との境界は,W2からW4と同様に現海水準下に認定されており(Tamura and Masuda, 2005),海水準とくに低潮位付近に形成されると考えられることから,W1とW2–W4との間にみられる標高差を生じさせた要因として,次の二つの可能性,1)W1形成後のユースタティックな海水準低下,2)陸側が海側に比べて隆起するような地殻変動の発生(海水準の相対的低下),が挙げられる. ユースタティックな海水準は,完新世の中では現在が一番高いと推定されている(Lambeck et al., 2014)ことから,1)の可能性は低い.2)に関して,グレイシオ

    ハイドロアイソスタシー
    を考慮した相対的海水準変動の推定(Okuno et al., 2014)によると,仙台平野では6 ka頃に海水準が現在に比べて約1–3 m高い位置に達し,その後,徐々に低下している.したがって,グレイシオ
    ハイドロアイソスタシー
    が標高差に影響している可能性はある.岡田ほか(2017)は,仙台平野南部において反射法地震探査や重力探査を実施し,低地下にC級の伏在活断層が存在することを明らかにしている.そのうちの一つであるF1断層浅部は,W1とW2の間に位置しているため,断層運動にともなう変位が標高差に寄与している可能性もある. 一方,仙台平野北部において,有機物や貝殻片の標高・放射性炭素年代値にもとづいて推定された海水準変化図(小元・大内,1978)では,6000 14C yr BPの高海水準は認められておらず,海水準は小さな振動を繰り返しながら現在に達している.今後,地殻変動やその地域差,地殻変動の要因についてさらに検討する必要がある.

  • 三浦 英樹
    地理科学
    2012年 67 巻 3 号 97-108
    発行日: 2012/10/28
    公開日: 2017/04/14
    ジャーナル フリー
  • 田辺 晋, 堀 和明, 百原 新, 中島 礼
    地質学雑誌
    2016年 122 巻 4 号 135-153
    発行日: 2016/04/15
    公開日: 2016/06/21
    ジャーナル フリー
    電子付録
    日本列島における「弥生の小海退」は,その存在が認められる地域と認められない地域が明確になっておらず,その存在が報告された地域においても,海水準インデックス・ポイントが連続的に得られていないことに問題がある.筆者らは,利根川低地最奥部において,水深が約1~2mと推定され,3~2cal kyr BPの海水準上昇に伴って形成されたと考えられる湖沼堆積物を発見した.その堆積年代と分布深度は,水深を推定値の最大の2mと仮定しても,海水準が3.0cal kyr BPには標高-2.2mまで低下したことを示す.この低下量は予想される圧密の総和よりも大きく,また,周辺では大規模なテクトニックな地殻変動は考えにくい.したがって,この事象は利根川低地最奥部に「弥生の小海退」が存在したことを意味する.このような相対的海水準低下の要因としては堆積物荷重の影響を今後最も検討しなければならない.
  • *丹羽 雄一, 須貝 俊彦, 松島 義章
    日本地理学会発表要旨集
    2015年 2015s 巻 322
    発行日: 2015年
    公開日: 2015/04/13
    会議録・要旨集 フリー
    1.はじめに
    三陸海岸は東北地方太平洋岸に位置する.このうち,宮古以北では,更新世の海成段丘と解釈されている平坦面が分布し,長期的隆起が示唆される.一方,宮古以南では,海成段丘と解釈されている平坦面があるが,編年可能なテフラが見られない.これらの平坦面は,分布が断片的であり連続性が追えないこと(小池・町田編,2001)も踏まえると,海成段丘であるか否かも定かではない.すなわち,三陸海岸南部の長期地殻変動は現時点で不明である. 三陸海岸南部には,小規模な沖積平野が分布する(千田ほか,1984).これらの沖積平野でコア試料を採取し,堆積物の年代値が得られれば,平野を構成する堆積物の特徴に加え,リアス海岸の形成とその後の埋積,平坦化の過程を検討できる可能性が高い.リアスの埋積・平坦化過程の復元は,長期地殻変動の解明につながると期待される.本研究では,気仙沼大川平野において掘削された堆積物コアに対して堆積相解析および14C年代測定を行い,完新統の堆積過程,および完新世全体として見た地殻変動の特徴について論ずる.

    2. 調査地域概要
    気仙沼大川平野は気仙沼湾の西側に位置し,南北約2 km,東西4 kmの三角州性平野である.気仙沼大川と神山川が平野下流部で合流して気仙沼湾に注ぐ.

    3. 試料と方法
    コア試料(KO1とする)は,気仙沼大川平野河口近くの埋立地で掘削された.KO1コアに対し,岩相記載,粒度分析,14C年代測定を行った.岩相記載の際,含まれる貝化石の中で可能なものは種の同定を行った.粒度分析はレーザー回折・散乱式粒度分析装置(SALD – 3000S; SHIMADZU)を用いた. 14C年代は13試料の木片に対し,株式会社加速器分析研究所に依頼した.

    4. 結果
    4.1 堆積相と年代
    コア試料は堆積物の特徴に基づき,下位から貝化石を含まない砂礫層を主体とする河川堆積物(ユニット1),細粒砂からシルト層へと上方細粒化し,河口などの感潮域に生息するヤマトシジミや干潟に生息するウミニナやホソウミニナが産出する干潟堆積物(ユニット2),塊状のシルト~粘土層を主体とし,内湾潮下帯に生息するアカガイ,ヤカドツノガイ,トリガイが産出する内湾堆積物(ユニット3),砂質シルトから中粒砂層へ上方粗粒化を示すデルタフロント堆積物(ユニット4),デルタフロント堆積物を覆いシルト~細礫層から構成される干潟~河口分流路堆積物(ユニット5)にそれぞれ区分される.また,ユニット2からは10,520 ~ 9,400 cal BP cal BP,ユニット3からは8,180 ~ 500 cal BP,ユニット4からは280 cal BP以新,ユニット5からは480 cal BP以新の較正年代がそれぞれ得られている.
    4.2 堆積曲線
    年代試料の産出層準と年代値との関係をプロットし,堆積曲線を作成した.堆積速度は,10,000 cal BPから9,700 cal BPで約10 mm/yr,9,700 cal BPから500 cal BPで1 – 2 mm/yr,500 cal BP以降で10 mm/yr以上となり,増田(2000)の三角州システムの堆積速度の変化パターンに対応する.

    5.考察
    コア下部(深度38.08 – 35.38 m;標高−36.78 – −34.08 m) は潮間帯で生息する貝化石が多産する層準である.また,この層準の速い堆積速度は,コア地点が内湾環境に移行する前の河口付近の環境で,海水準上昇に伴い堆積物が累重する空間が上方に付加され,その空間に気仙沼大川からの多量の土砂が供給されることで説明がつく.すなわち,この区間(10,170 – 9,600 cal BP)における堆積曲線で示される堆積面標高は,当時の相対的海水準を近似すると考えられる.
    一方,地球物理モデルに基づいた同時期の理論的な相対的海水準は標高−27 ~−18 mに推定される(Nakada et al., 1991; Okuno et al., 2014).コアデータから推定される約10,200 ~ 9,600 cal BPの相対的海水準は,ユースタシーと
    ハイドロアイソスタシー
    のみで計算される同時期の相対的海水準よりも低く,本地域の地殻変動を完新世全体としてみると,陸前高田平野で得られた結果(丹羽ほか,2014)と同様に沈降が卓越していたことが示唆される.コア深度36.13 m(標高-34.83 m)で得られた較正年代(9,910 – 9,620 cal BP)を基準にすると,当時の相対的海水準の推定値(堆積面標高)と理論値の差から,完新世全体として見た平均的な沈降速度は0.9 ~ 1.8 mm/yr程度と見積もられる.
  • *七山 太
    日本地質学会学術大会講演要旨
    2011年 2011 巻 T11-O-1
    発行日: 2011年
    公開日: 2012/03/27
    会議録・要旨集 フリー
  • 丹羽 雄一, 須貝 俊彦, 松島 義章
    地学雑誌
    2015年 124 巻 4 号 545-560
    発行日: 2015/08/25
    公開日: 2015/09/17
    ジャーナル フリー
     The Sanriku coast was believed to have followed an uplifting trend in the geological time-scale on the basis of it being a flat surface interpreted as a Pleistocene marine terrace. On the contrary, geodetic and tide-gauge data show a rapid trend of this area subsiding during the last several decades. This area also experienced extensive subsidence during the 2011 Tohoku-oki earthquake (Mw 9.0). The discrepancy between long-term uplift and short-term subsidence has been pointed out by several researchers, but remains unresolved. Knowledge of sedimentary facies and deposition ages of the Holocene sequence is required to consider this problem. The depositional process of the Holocene sequence and crustal movement is discussed on the basis of coastal geology. A sediment core, KO1, was acquired from the lower reach of the Kesennuma Okawa Plain, southern Sanriku coast. Core sediments show typical deltaic succession influenced by Holocene sea-level change. Relative sea-level (RSL) at 9.6 to 10.1 cal BP is estimated to be −37 to −34 m based on the depositional surface of tidal flat deposits including molluscan shells living in the intertidal zone. Estimated RSL is lower than the theoretical RSL without tectonic effects. A probable cause of this discrepancy is Holocene tectonic subsidence in the area studied. Unlike previous arguments for a long-term uplift, particularly in northern Sanriku, the results of this study reinforce the theory that the south Sanriku coast subsided in the geologic time-scale.
  • *丹羽 雄一, 須貝 俊彦, 大上 隆史
    日本地理学会発表要旨集
    2012年 2012s 巻 P1120
    発行日: 2012年
    公開日: 2013/03/08
    会議録・要旨集 フリー
    1.  はじめに
     濃尾平野(図1)では,完新世のデルタフロント~氾濫原堆積物の解析に基づいて,過去6000年間に5回地震沈降が発生したこと,および,それらが平野西縁を画する養老断層系の活動に起因する可能性が高いことが報告されている(丹羽ほか,2010;Niwa et al., 2012).本研究では,濃尾平野で掘削された6本のボーリングコア(図1)について,内湾堆積物堆積時の相対的海面変化をコア地点ごとに独立に復元し,相対的海面変化の地点間の差異から地震性地殻変動の広域的分布について検討した.
    2.  研究対象試料
     本研究で用いるコアは,下位から網状河川堆積物(ユニットA),河口低地堆積物(ユニットB),内湾堆積物(ユニットC),デルタフロント堆積物(ユニットD),デルタプレーン堆積物(ユニットE)と堆積相区分されている(大上ほか,2009).また,合計115試料の14C年代測定値に基づいた堆積曲線が大上ほか(2009)によって報告されている.さらに,KMコアとNKコアに対し,コア深度5 – 200 cm間隔でEC測定を行った.測定方法は横山・佐藤(1987)に従った.YMコア,KZNコアMCコアに対しては同様の方法で測定されたNiwa et al. (2011)のECデータを,KZコアに対しても同様に山口ほか(2001)のECデータをそれぞれ用いた.
    3.  相対的海面高度の推定方法
     相対的海面高度は,古水深を堆積曲線で示される海底面の標高に足し合わせることで推定した.まず,内湾堆積物のECが塩分指標となり得ること(Niwa et al., 2011),および,現在の伊勢湾では水深が大きいほど塩分が高いこと(藤原,2007)から,内湾堆積物のECは水深指標になると推定される.また,内湾環境終了時の水深を近似するとされるユニットDの層厚とユニットC最上位のECには直線的な関係[y = 5.2 x (x: EC(mS/cm), y: 水深 (m)]が認められることから,この式を用いて7000年前以降内湾堆積物終了時までのECを水深に変換した.古水深と海底面標高の和で推定される相対的海面高度には圧密沈下の影響も含まれるため,内湾堆積物が砂質なMCコアを除く5地点における圧密沈下速度も見積もった.まず,海面高度を近似するユニットD/E境界の標高に人為起源の地盤沈下量(東海三県地盤沈下調査会,2009)や地震沈降量(丹羽ほか,2009)を差し引いて自然圧密による沈下量を推定した.次に推定された自然圧密による沈下量と堆積年代から圧密沈下速度を見積もった.圧密沈下速度は,YMコアで約1.86 mm/yr,KZNコアで約0.72 mm/yr,KZコアで0.43 mm/yr,KMコアで0.29 mm/yr,NKコアで0.31 mm/yrと見積もられた.
    4.  結果・考察
     古水深と海底面標高の和から圧密沈下による相対的海面上昇量を差し引いた相対的海面変化曲線を図2に示す.7000年前の相対的海面高度は,養老断層系から最も離れたNK地点で最も高く,NK地点の次に養老断層系から離れたMC地点で二番目に高い.平野西部の4地点(YM,KZN,KZ,KM地点)では7000年前以降,相対的海面高度は概ね上昇傾向を示す.また,7000年前の相対的海水準は,ユースタシーと
    ハイドロアイソスタシー
    のみで仮定した同時期の相対的海面高度(Nakada et al., 1991;図2 – (a))と概ね一致することから,NK地点は養老断層系の活動に対し安定傾向を示す可能性が推定される.7000~6500年前のMC地点の相対的海面高度は1000年ごとに1回,0.5 mの地震沈降を仮定した同時期の相対的海面高度(図2 – (b))と概ね一致する.このことから,MC地点は養老断層系の活動に対し沈降傾向(沈降速度0.5 mm/yr程度)にあると推定される.1000年ごとに1回,1 m以上の地震沈降を仮定すると,相対的海面高度は過去7000年間概ね上昇傾向を示し(図2 – (c), (d)),平野西部の4地点で復元された相対的海面高度の傾向と大局的には一致する.このことから,濃尾平野西部では養老断層系の活動に対し,沈降傾向(沈降速度 1mm/yrのオーダー)を有すると推定される.以上を踏まえると,養老断層系から離れた地点ほど沈降速度が小さく,養老断層系から近いほど沈降速度が大きいと考えら,このことは,濃尾傾動運動(桑原,1968;須貝・杉山,1999)が完新世にも繰り返されてきたことを強く示唆する.
  • 佐藤 裕司, 加藤 茂弘
    第四紀研究
    1998年 37 巻 4 号 325-338
    発行日: 1998/10/31
    公開日: 2009/08/21
    ジャーナル フリー
    赤穂平野で得たコア堆積物を対象に,テフラ分析と,コア堆積物中に含まれる貝化石や木片の加速器質量分析(AMS)法による14C年代測定を行い,その堆積年代を明らかにした.また,堆積物中のイオウ含有量と珪藻遺骸群集の分析から堆積環境を明らかにした.そして,これらの結果にもとづいて,本地域における約6,800yrs BP以降の相対的海面変化を以下のように復元した.
    (1)約6,800~5,500yrs BPには,海面は現海面よりも低く,-0.75~-1.50mの間にあった.(2)約5,500~4,700yrs BPには,海面は上昇して現海面に達したか,それをやや上回ったと考えられる.(3)約4,700~3,800yrs BPには,海面は若干低下した.(4)約3,800~3,200yrs BPには,海面は+0.50mまで上昇した.(5)約3,200~2,500yrs BPには,現海面下に及ぶ海面低下がみられた.(6)海面はその後上昇し,約2,500~1,500yrs BPには現海面に達し,約1,500~600yrs BPには現海面上に及んだ可能性がある.
    本地域では,約6,000~5,000yrs BPの海面高度は標高-1~0m程度と推定される.一般に高海面期とされるこの時期の相対的な低海面は,本地域の沈降運動を示唆する.
  • 佐藤 裕司, 鈴木 茂之, 松下 まり子, 百原 新, 植田 弥生, 加藤 茂弘, 前田 保夫
    第四紀研究
    2011年 50 巻 1 号 61-69
    発行日: 2011/02/01
    公開日: 2012/03/27
    ジャーナル フリー
    瀬戸内海中部・出崎海岸(岡山県玉野市)の埋没泥炭層について,その堆積環境を再検討し,完新世の相対的海水準変動との関係を考察した.泥炭層は,完新世中期のおもに約7,000~6,600 cal BPの間に,塩性湿地で形成された.この時期は,瀬戸内海沿岸域における完新世の相対的高海水準期に相当し,泥炭層は約7,000 cal BPに海水準上昇が鈍化する一方で,当該地域に及んだ海進に伴って形成されはじめた.泥炭層は高潮位面と最高潮位面との間で形成されたと考えられ,当時の潮位差が現在と同程度であったとすれば,泥炭層形成期間中の約400年間に相対的海水準は0.27~1.27 m以上(妥当な最大値は0.5~0.7 m)上昇し,約6,700~6,600 cal BPに最高位まで達したと推定される.調査地域における局地的な沈降量を考慮しても,この間の海水準上昇はユースタティックな要因によると考えられる.
  • *石井 祐次, 堀 和明
    日本地理学会発表要旨集
    2013年 2013s 巻 533
    発行日: 2013年
    公開日: 2013/09/04
    会議録・要旨集 フリー
    はじめに 近年,石狩平野では完新世の海進期にバリアー―ラグーンシステムが発達した沿岸部を中心にオールコアボーリングが実施され,詳細な堆積環境変化や地形発達が明らかにされてきている.一方,これよりも上流側の海成層がみられない氾濫原での堆積環境変化や地形発達などについては不明な点が多く残されている.たとえば,氾濫原の表層には泥炭層が広く分布するが,泥炭層の形成と河道の安定性について詳細に議論した例はない. 高海水準期堆積体においては氾濫原上で河道がアバルションを起こすことなく安定するようになり,泥炭が広域的に厚く連続して形成されるようになったとされる.陸域における泥炭の堆積は砕屑物の供給に強く影響を受けるため,上記のような河道の安定性や,河道からの距離に着目して,泥炭層の形成開始条件について説明されることが多い.しかし,沖積層の構造や堆積環境変化,相対的海水準変動にともなう堆積速度変化を詳細に捉えた上で,氾濫原上における泥炭層の形成を議論した例はない. 本研究では氾濫原の堆積環境変化を明らかにした上で,泥炭層の形成を議論するため,石狩川下流域氾濫原において2本のボーリングコア堆積物を採取し,その解析をおこなった.さらに,沖積層の構造を把握するため,調査地域において約800本の柱状図を収集し,地形・地下地質断面図を作成した.コア堆積物の層相と堆積環境変化 IK1の堆積環境は下位から網状河川システム堆積物(堆積相A:深度26.3~25.0 m),蛇行河川チャネル充填物(堆積相B:深度25.0~21.7 m),氾濫原堆積物(堆積相C:深度21.7~16.6 m),蛇行河川チャネル充填物(堆積相B:深度15.6~10.8 m),氾濫原堆積物(堆積相C:10.8~6.3 m),泥炭地堆積物(堆積相D:6.3~2.0 m),自然堤防堆積物(堆積相E:2.0~0.4 m)に変化した.IK2の堆積環境は下位から網状河川システム堆積物(堆積相A:深度19.2~16.6 m),段丘堆積物(堆積相F:16.6~12.0 m),氾濫原堆積物(堆積相C:深度11.7~0.4 m)に変化した. IK1の堆積相C(深度10.8~6.3 m)から堆積相D(深度6.3~2.0 m)への層相変化は植物遺体の増加で特徴づけられ,強熱減量が10%程度から20%程度以上へと変化している.堆積相Dでは,堆積相Cの時には多かった砕屑物の堆積が減少し,静穏な環境だったと考えられる.堆積相Dの5,000~1,500 cal BPの強熱減量からは泥炭層中の堆積土砂量の変化を読み取れるが,泥炭の堆積が中断されるような大きな環境変化(アバルションや蛇行による砂層の挟み込みなど)はみられない.そのため,この期間はIK1周辺においてはアバルジョンなどのイベントは起きなかったと考えられる.また,堆積相Cから堆積相Dへの変化にともない,堆積速度が1.5~2.5 mm/yrから0.7~1 mm/yrへと低下している. IK2の堆積相C(深度11.7~0.4 m)の5,000~1,500 cal BP頃(深度8.1~4.7 m)は強熱減量が20%程度以上を示すことがあり,その変動幅も7,000~5,000 cal BP(深度11.7~8.1 m)に比べて大きい.IK2の堆積相Cの堆積速度は 7,000~5,000 cal BP頃に1.7~2.8 mm/yr,5,000~1,500 cal BP頃に0.5~1.1 mm/yrを示す. 以上のことから,氾濫原における植物遺体の堆積量増加および泥炭層形成といった堆積環境変化は堆積速度の減少に起因する可能性がある.5000 cal BP頃には氷河の融解による海水準上昇はほぼ終了し,これ以降,日本の平野の多くで
    ハイドロアイソスタシー
    にともなう相対的海水準低下がみられるようになることから,堆積速度の減少には相対的海水準の低下が影響していると考えられる. 地形・地下地質断面図 IK1より下流側の断面図では泥炭層の形成が比較的低い標高で開始している場所が局所的にみられるものの,広範囲における泥炭層の形成はより高い標高で始まっている.また,IK1より上流側の断面図では泥炭層の形成以前に堆積した,泥質な氾濫原堆積物中に砂層の挟み込みが少ないことから,氾濫原の発達過程でアバルションなどがあまり起こらず,泥炭層の形成以前から河道が比較的安定していたと考えられる.したがって,広域的な泥炭層の形成は河道が安定したことによるものではないということが示唆される.泥炭層の形成 地形・地下地質断面図の結果から,広域的な泥炭層の形成は河道の安定性と関連していないことが推定された.さらに,IK1,IK2のコア解析の結果から,氾濫原における泥炭層形成は堆積速度の減少に起因すると考えられる. 以上のことから,局所的な泥炭層の形成は河道からの距離が遠く,堆積速度が比較的遅い場所で先行して起こったが,広域的な泥炭層の形成は5,000 cal BP頃以降の相対的海水準低下によって氾濫原全体の堆積速度が減少し,堆積環境が静穏になったことにより生じた.
  • 長岡 信治, 前田 泰秀, 奥野 充
    第四紀研究
    1999年 38 巻 2 号 93-107
    発行日: 1999/04/01
    公開日: 2009/08/21
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    長崎湾および長崎低地の完新世の古地理および海面変化にっいて,空中写真判読,ボーリング資料,14C年代などから考察した.長崎湾および長崎低地の沖積層は,浦上川基底礫層Urg,出島粘土層Djc,松山砂礫層Mtg,人工改変堆積物Ardに区分される.Urgは,埋没谷形成時の河成堆積物で,最終氷期または完新世初期における少なくとも-30m以下の低海水準に対応したものである.Djcは,貝化石を含む粘土やシルトを主体とする内湾性堆積物で,その時代は縄文海進期から現在である.Mtgは,Djcと同時期の河成堆積物である.Ardは,現在の地表面をつくる堆積物で,1570年長崎開港以降の埋立物質や建築資材などからなる.Ardには,1945年の原爆堆積物Abdが含まれる.潮間帯の貝化石の14C年代から,海水準は約8,000yrsBPに-16m付近に,約4,000yrs BPに-0.4m付近に,約1,700~800yrs BPには現在と同じか,やや低い位置にあった.約4,000~400yrs BPまではあまり海岸線の変化はなかったが,1636年出島築造以降は,度重なる人為的埋立により海岸線は前進し,現在に至っている.
  • 丹羽 雄一, 須貝 俊彦
    地学雑誌
    2024年 133 巻 3 号 169-193
    発行日: 2024/06/25
    公開日: 2024/07/11
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    電子付録

     Although temporal inconsistency in vertical deformation between long-term (> 103 years) uplift and short-term (101-102 years) subsidence along the Pacific coast of northeast Japan has been discussed in relation to cycles of megathrust earthquakes by some researchers, the fragmentary distribution of Pleistocene marine terraces and sparsity of studies on Holocene coastal geology indicate a lack of data on long-term vertical deformation at the occurrence of the 2011 Tohoku-oki earthquake. Recent geological studies along the northern Pacific coast (Sanriku coast), which were conducted after the 2011 earthquake, contribute to considerations of temporal inconsistency by providing new data on long-term vertical deformation. However, such studies have not been completed for the southern part of the coast. Millennial-scale vertical deformation at the Mano River Lowland, on the southern Pacific coast of northeast Japan is studied on the basis of well-dated Holocene sediment cores and existing boring logs. Subsurface geology documents the transgression and regression of the back-barrier estuary in the wave-dominated estuary system during the Holocene. The low relative sea-level (RSL) in the Early and Middle Holocene inferred from heights of marsh and intertidal sediments relative to non-tectonic hydro-isostatic sea-level predictions indicates a millennial-scale trend of subsidence at the Mano River Lowland. However, RSL in the Middle Holocene at the study area estimated from the sedimentary environment at that time is higher than that in the Tsugaruishi plain, northern Pacific coast of northeast Japan, where a millennial-scale subsidence of 1.1-1.9 mm/yr was previously inferred. This indicates that the Mano River lowland has been uplifted relative to the Tsugaruishi plain on a millennial scale. In combination with the deformation trend inferred from the distribution of the MIS 5.5 marine terrace, a change in the vertical deformation trend from stable or slight uplift to slight subsidence is implied to occur in the Mano River Lowland sometime between Late Pleistocene and Early Holocene.

  • 地球惑星科学の中で氷床が存在する地域の「地形発達史」に期待されていること
    *三浦 英樹, 奥野 淳一, 菅沼 悠介
    日本地理学会発表要旨集
    2011年 2011s 巻 822
    発行日: 2011年
    公開日: 2011/05/24
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    将来の環境変動予測を行う上で、「未来の鍵」となる過去の気候・環境復元の研究はますます重要な役割をもつようになっている(例えば、Jansen et al., 2007)。そのような背景の中でも高い時間分解能があり、定量的な復元が可能なコア研究(氷床コア、海底堆積物コア)が古気候・古環境復元の手法として全盛の現代において、この分野における地形学(特に古環境復元のための地形発達史や気候地形学)の役割はすでに終わったと見なされることも多い。しかし、地球惑星科学の中での古環境研究において、絶対に「地形学的手法」を用いることでしか得られないデータが少なくとも2つある。そのひとつは、氷河地形地質学的手法に基づく氷床の拡大・縮小範囲(場合によっては氷床高度と氷床底面環境)の歴史の復元であり、もうひとつは海岸地形地質学的手法を用いた陸と海との相対的な位置関係(相対的海水準)の歴史の復元である。 地形学によって得られる、この2種のデータは、固体地球の粘弾性モデルや古海洋学・地球化学のデータと組み合わせて解析することによって、氷床体積や世界各地の海水準の変化史を提供し、新生代の地球規模の環境変動に果たす氷床変動の意味と役割を明らかにし、地球の環境変動システムをより具体的に明らかにすることに貢献することができる。さらに、極地の氷床の変動は、海水準変化とアイソスタティックな固体地球の変形によって、地域ごとに異なる地形基準面の変化をもたらすとともに、近年進展した氷期-間氷期サイクルの新しい概念の枠組みの中で、大気・海洋を通じたテレコネクションによる世界各地の第四紀の気候変動においても重要な役割を果たすと考えられるようになってきた。したがって、極地の氷床変動史と気候変動に関する知見の増加は、地形プロセス研究の進展と相まって、これまで定性的な段階に留まっていた世界中のあらゆる地域の気候地形発達史の考え(例えば、ビューデル, 1985)を、より定量的に組み立て直すことに貢献したり、地形プロセスの歴史的な変遷や、地域の総合的な自然史を、より具体的に説明する上での基本的な知識を提供することにもつながるに違いない。 本発表では、最初に、これまで行ってきた南極大陸露岩域における氷河地形や海岸地形を用いた地形発達史研究の例を報告する。次に、これらの地形データと固体地球物理学(特にグレイシャル
    ハイドロアイソスタシー
    の効果)や地球化学データと組み合わせる研究方法とその成果を説明し、現時点で考えられる後期新生代・第四紀の気候変動・環境変動に果たしてきた氷床の役割と意義、および今後に残された課題について紹介する。このことによって、「氷床の地形をさぐることは、山好きの地形屋の趣味的なテーマではなく、すべての第四紀学の研究者にとっての重要なテーマ」(岩田, 1988)であることを、具体的に示したい。 <文献> 岩田修二 1988. 第四紀研究, 26: 342-343. ビューデル, J. 著, 平川一臣訳 1985. 『気候地形学』古今書院. Jansen, E. et al. 2007. Palaeoclimate. In Climate Change 2007. Eds. Solomon, S. et al.: 433-497.
  • 町田 洋, 新井 房夫
    地学雑誌
    1994年 103 巻 7 号 749-759
    発行日: 1994/12/25
    公開日: 2009/11/12
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    We have discovered a distal tephra with similar petrographic and chemical properties to the Aso-3 pyroclastic flow deposits of the Aso caldera origin at several localities of Honshu, Japan, and adjacent seas. It is concluded to be a fallout ash associated with the Aso-3 pyroclastic flow, The tephra, named Aso-3, is a cry tal vitric fine-grained ash, consisting of dacitic pumiceous and bubble-walled glass shards, and orthopyroxene and crynopyroxene as mafic phertocrysts. It is identified with the aid of combined petrographic and stratigraphic parameters : relatively high index of glass (n = 1.5131.519), low index of orthopyroxene (γ =1.7021.705) and dacitic glass composition (rich in alkali, K2O> Na2O, rich in TiO2, FeO* and CaO low abundance in light rare earth elements and characteristic low degree of angle in chondritenormalized pattern).
    This tephra was dated by several radiometric methods : 103±4.2 (FT), 110±3 (TL) and 123±6 (K-Ar) in ka. The stratigraphic position of this tephra is above the last interglacial culmination in Kyushu and Honshu, and below such widespread time-marker tephras as Toya, Ata, On-Pml, SK, etc. In addition, the tephra occurs in the marine isotope stage (MIS) 5d in the abyssal sediment in the northwest Pacific.
    The occurrence of this tephra in the Quaternary sequence in northern coastal areas of Miyazaki, south Kyushu, clearly indicates that the sea level was more than c. 70 m lower than the preceding high stand of sea level of the MIS 5e. At the coastal cliff of Kawaminami, the Aso-3 tephra occurs 21 m above the present sea level in the basal part of the valley-filling deposits (Tohriyamahama formation) which followed the prominent marine terrace, Sanzaibaru of the MIS 5e. Former shoreline of this stage was uplifted to the elevation of c. 90 m. This tephra was also recognized in the brackish to fresh water layer sandwiched between marine sediments, called Shibikawa formation in Oga Peninsula, northern Honshu. It clearly suggests significant lowering of sea level at the time of Aso-3 eruption as well.
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