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クエリ検索: "ヒメバラモミ"
109件中 1-20の結果を表示しています
  • 勝木 俊雄, 大野 裕康, 井上 日呂登
    森林遺伝育種
    2019年 8 巻 2 号 69-77
    発行日: 2019/04/25
    公開日: 2019/04/25
    ジャーナル フリー

    マツ科トウヒ属の

    ヒメバラモミ
    は、推定個体数が2,000以下と少ないことから、国の絶滅危惧II類に指定されている。これまで積極的な保全対策がなかったことから、大部分の自生地を管理する中部森林管理局によって、2010年に
    ヒメバラモミ
    遺伝資源林が八ヶ岳の西岳国有林に設置された。ほぼ分布域全体から採取された穂木から接木苗が増殖され、産地によって区分した遺伝資源林( 八ヶ岳地域由来の北区:9産地69クローン372本、南アルプス地域由来の南区:9産地65クローン372本) に植栽された。植栽7年後の2017年には、累積生存率80%、平均樹高228 cmに成長し、ほぼ順調に生育していることが確認された。しかし、南区の2015-2017年の平均枯死率は1.9 % y-1であり、2050年までに植栽時の372本から138.7本に減少することが予想された。また、全体ですでに消失した13クローンに加え、2050年までに5.8クローンの減少が予想された。採穂木の直径と接木活着率とは負の相関が見られることから、現在遺伝資源林で成長している若木から穂木を採取すれば、老齢で太い採穂木から採取するよりも高い活着率の接木苗木の生産が見込まれる。そして、再増殖した苗木を遺伝資源林に補植することで、遺伝資源林の保有クローン数は維持されると考えられた。

  • 勝木 俊雄, 明石 浩司, 田中 智, 岩本 宏二郎, 田中 信行
    森林立地
    2008年 50 巻 1 号 25-34
    発行日: 2008/06/25
    公開日: 2017/04/03
    ジャーナル フリー
    マツ科トウヒ属の樹木であるヤツガタケトウヒと
    ヒメバラモミ
    は本州中部にのみ分布し,個体数が少ないことから絶滅危惧植物としてリストされている。保全対策をおこなうためには,現在の詳細な分布状況を把握するとともに,分布適地を判定することが重要である。現地踏査によって2種の分布域を3次メッシュセル単位(緯度30"×経度45")で特定したところ,ヤツガタケトウヒ52セル,
    ヒメバラモミ
    74セルに出現が確認された。2種の出現セルの中部地域における気候特性を分析した結果,年平均気温が低く(ヤツガタケトウヒ出現セルの平均値5.8℃;
    ヒメバラモミ
    出現セルの平均値5.9℃以下同様),年降水量が少なく(ヤツガタケトウヒ1,635mm;
    ヒメバラモミ
    1,676mm),最深積雪が少なかった(ヤツガタケトウヒ33cm;
    ヒメバラモミ
    33cm)。各月の平均気温と降水量・最深積雪の上限値と下限値を用い,全国の3次メッシュセルに対し適合性を判別した結果,ヤツガタケトウヒで376セル,
    ヒメバラモミ
    で351セルが気候適合セルとして抽出された。表層地質と2種の出現率の関係について分析した結果,最も高く出現した区分は石灰岩であり,ヤツガタケトウヒの出現率は47%,
    ヒメバラモミ
    は80%であり,強い関係があることが示された。これらの結果から,南アルプス北西部の石灰岩地(ヤツガタケトウヒで33セル,
    ヒメバラモミ
    で34セル)において,今後も2種の存続する可能性がもっとも高いと考えられた。
  • *勝木 俊雄, 島田 健一, 吉丸 博志
    日本林学会大会発表データベース
    2004年 115 巻 P1007
    発行日: 2004年
    公開日: 2004/03/17
    会議録・要旨集 フリー
     マツ科トウヒ属に分類される
    ヒメバラモミ
    はその個体数の少なさから絶滅危惧IB類にリストされている。八ヶ岳南部と南アルプス北西部の限定された地域に数百個体が残されていると考えられ、演者らによって詳細な分布状態が現在調査されつつある。種の保全対策としては天然更新が可能な自生地を保全することがもっとも望ましい。しかし、一部の自生地を除いて
    ヒメバラモミ
    は単木的に点在する場合が多く、そうした地域において天然更新は難しいと考えられる。しかし周囲に他の母樹が見あたらなくとも、単木的に存在する
    ヒメバラモミ
    母樹の周囲に稚樹が存在するケースが観察されている。こうした稚樹は自殖により増殖したものではないかと考えられている。そこで、本研究ではSSRマーカーを用いてこうしたケースが自殖であるのか確認をおこなった。さらに集団として存続している
    ヒメバラモミ
    の近交係数を解析することで、
    ヒメバラモミ
    の自殖が種の保全にどのように影響するか検討した。
     分析に用いた試料は長野県富士見町西岳と山梨県白州町大平、長野県長谷村戸台川の3産地から採取した。西岳の試料は単木的母樹1個体と周囲の稚樹6個体、これらから離れた場所にある2個体である。西岳の単木的母樹はもっとも近い母樹から600m程離れていた。大平の試料は1集団(45個体)、集団中にある稚樹10個体、集団から離れている単木的母樹1個体と周囲の稚樹10個体である。大平の単木的母樹ももっとも近い母樹から600m程離れていた。大平の集団は600m程の範囲に
    ヒメバラモミ
    が50個体以上まとまって存在していた。戸台川の試料は1集団(25個体)である。戸台川の集団は60m程のきわめて狭い範囲に樹高1.3m以上の
    ヒメバラモミ
    が135個体も密集していた。これら計100個体から枝を採取し、葉から抽出したDNAを用いて6座のSSRマーカーの遺伝子型を決定した。これらのマーカーはすでにその多型性が調べられており、
    ヒメバラモミ
    の遺伝子座として利用出来ることが確認されている。単木的な母樹と稚樹2ケースと、集団中の母樹と稚樹1ケースについて、各個体の遺伝子型と周囲の個体群の遺伝子頻度とを比較することによって、これらのケースで自殖がおこなわれているか検討した。次に
    ヒメバラモミ
    2集団について遺伝子型から近交係数Fisを求めた。このFisから
    ヒメバラモミ
    の自殖について解析し、自殖が種全体の多様性に与える影響について検討した。
     まず、大平の集団中の母樹と稚樹のケースの遺伝子型を周囲の集団と比較した。6座のうち周囲の集団では5座が多型であった。10個体の稚樹のうち、3個体は母樹の遺伝子をもっていなかったため他母樹に由来する個体だと考えられた。残る7個体の稚樹では4座においていずれも他個体由来と考えられる遺伝子が存在していた。したがって自殖と考えられる稚樹は確認されず、他殖によって繁殖することが確認された。一方、単木的な母樹と稚樹についてみると、大平のケースでは1個体を除き、9個体の稚樹で母樹の遺伝子のみが見られた。また、西岳のケースでは周囲に比較できる集団がないため、西岳に産する2個体と比較した。母樹を含めた3個体では6座のうち3座が多型となり、いずれの座でも6個体の稚樹には母樹の遺伝子のみが見られた。ケース数や分析個体数は少ないが、これらの2ケースでは自殖がおこなわれている可能性が高いと考えられた。次に2集団の
    ヒメバラモミ
    について、固定指数を求めた。大平および戸台川の各集団の近交係数(Fis)はそれぞれ0.077と0.044であった。また2集団から算出された分集団内の近交係数(Fis)は0.045、2集団全体の近交係数(Fit)は0.074となった。分析した集団数が少ないものの、いずれの近交係数も低く、集団内で近親交配がおこなわれていないことを示していると考えられた。
     これらの結果から本来の
    ヒメバラモミ
    集団の繁殖では自殖あるいは近親交配は希であると考えられる。そうであれば、通常は近交弱勢が大きいと考えられる。しかしながら現実には南アルプス北西部の一部の自生地を除き、
    ヒメバラモミ
    は単木的に残されていることが多く、今後は自殖あるいは近親交配により繁殖せざるを得ない状況が増加することが予想される。そのような場合、近交弱勢が大きいと繁殖能力が低下する可能性が高い。したがって、今回確認された自殖ケースは特殊な例外であり、種の保全の観点からは改めて他殖で繁殖する環境を整えることが重要だと考えられた。
  • 勝木 俊雄, 長池 卓男, 西川 浩己, 田中 智, 岩本 宏二郎
    森林総合研究所研究報告
    2019年 18 巻 1 号 101-109
    発行日: 2019年
    公開日: 2019/05/10
    研究報告書・技術報告書 オープンアクセス
    八ヶ岳連峰東斜面の山梨県北杜市の県有林において、絶滅危惧種ヤツガタケトウヒの保全のため、1ha の試験地を設置し、2005年と2017年に調査をおこなった。この期間中、生存幹本数が2,755本から 1,248本に減少、胸高断面積合計(BA) が 30.0m2 から 31.4m2 に微増、出現樹種の分類群が37から29に減少した。ニホンジカの被害によって、幹本数と出現樹種数が減少したと考えられた。ヤツガタケトウヒは、2005年に樹皮ガードを取り付けたことで、母樹サイズの胸高直径20cm 以上は42本から36本の減少にとどまった。しかし、若木サイズの胸高直径20cm 未満が8本から2本に低下し、後継樹が見られないことから、自生地保全のために苗木の増殖が必要と考えられた。
  • 逢沢 峰昭, 勝木 俊雄, 梶 幹男
    分類
    2002年 2 巻 2 号 77-78
    発行日: 2002/08/31
    公開日: 2017/03/25
    ジャーナル フリー
  • *勝木 俊雄, 岩本 宏二郎, 大中 みちる, 田中 智, 明石 浩司, 島田 和則
    日本森林学会大会発表データベース
    2010年 121 巻 F03
    発行日: 2010年
    公開日: 2010/03/12
    会議録・要旨集 フリー
  • *勝木 俊雄, 島田 健一
    日本森林学会大会発表データベース
    2011年 123 巻 Pb038
    発行日: 2011年
    公開日: 2012/02/29
    会議録・要旨集 フリー
  • 野手 啓行, 沖津 進, 百原 新
    日本林学会誌
    1999年 81 巻 3 号 236-244
    発行日: 1999/08/16
    公開日: 2008/05/16
    ジャーナル フリー
    ヤツガタケトウヒと
    ヒメバラモミ
    の生育立地の特性を,それらと混生する樹種の立地と比較することにより明らかにした。赤石山脈北西部巫女淵山中(標高1,300~1,800m)の64地点で,四分法調査,斜面傾斜と露岩被度の計測,実生調査を行った。64地点全体における胸高断面積合計比ではコメツガが25%で最も優占し,ウラジロモミが続いた。ヤツガタケトウヒと
    ヒメバラモミ
    は,いずれも14%程度を占めるにすぎず,分布が斜面傾斜36°以上,露岩被度31%以上の岩塊急斜面にほぼ限られた。これに対し,コメツガの分布は斜面傾斜,露岩被度に関係なく一様であった。ウラジロモミは露岩被度20%以下の腐植土が被覆する立地に集中した。一方,実生についてみると,ヤツガタケトウヒと
    ヒメバラモミ
    は母樹周辺の露岩面上に集中した。コメツガは腐朽倒木•根株上に,ウラジロモミは腐植土面上にそれぞれ多かった。以上より,ヤツガタケトウヒと
    ヒメバラモミ
    は,種子散布が母樹周辺に限られることと実生の定着が露岩面上にほぼ限られることによって,岩塊急斜面以外の地形では個体群の維持が困難であると考えられた。
  • 沖津 進, Pavel Vitalevich KRESTOV, 百原 新, 中村 幸人
    植生学会誌
    2016年 33 巻 1 号 33-43
    発行日: 2016年
    公開日: 2016/07/01
    ジャーナル フリー
    1. ロシア沿海地方最南部ウスリー川源流域でチョウセン
    ヒメバラモミ
    -チョウセンゴヨウ-落葉広葉樹混交林の土壌乾湿分布を調査し,その結果から中部日本山岳域の最終氷期以来の植生変遷を展望した.
    2. 土壌乾湿傾度に沿って,乾性から中湿性立地ではモンゴリナラが優占し,イタヤカエデ,ヤエガワカンバ,ときにアムールシナノキが混在する落葉広葉樹林に,チョウセンゴヨウが混生,チョウセン
    ヒメバラモミ
    も点在分布するタイプの林分が分布していた.中湿性から湿潤立地ではチョウセン
    ヒメバラモミ
    が優占し,チョウセンゴヨウが混在する針葉樹林に,イタヤカエデ,アムールシナノキ,ときにチョウセンミネバリが混在するチョウセン
    ヒメバラモミ
    -チョウセンゴヨウ-落葉広葉樹混交林が成立していた.最も湿潤な立地ではドロヤナギ,ハルニレ,ヤチダモを主体とし,チョウセン
    ヒメバラモミ
    が散在する,よく発達した河畔林が成立していた.チョウセン
    ヒメバラモミ
    -チョウセンゴヨウ-落葉広葉樹混交林全体としては乾性立地よりも中湿性から湿潤立地がより適した分布地といえる.
    3. 沿海地方のチョウセン
    ヒメバラモミ
    の土壌乾湿分布から,バラモミ節樹木は最終氷期時には,現在の分布とは異なり,斜面中・下部から渓流域の河岸段丘や氾濫原に分布の本拠があった可能性が高い.チョウセンゴヨウは,チョウセン
    ヒメバラモミ
    と比べると,やや乾性な立地が分布適域であった.
    4. 中部日本の植生変遷を展望すると,最終氷期には,低地・低山帯では,大陸型の亜寒帯性針葉樹林要素とされたバラモミ節樹木,チョウセンゴヨウが,実際には,中湿性から湿潤立地を中心に,異なる落葉広葉樹と混交しながら冷温帯林を構成していた.山地帯の乾性から中湿性立地には現在とほぼ同じ構成のトウヒ,シラベ,コメツガ,時にバラモミ節樹木,チョウセンゴヨウを含む常緑針葉樹疎林が分布していた.湿潤立地にはハイマツ低木林やダケカンバ林,オオシラビソ小林分などが点在していた.これは現在のシホテ-アリニ山脈の垂直分布と類似しており,現存する植生垂直分布と整合している.
    5. 後氷期には湿潤,多雪化で土壌形成が進み,バラモミ節樹木やチョウセンゴヨウは亜高山帯の岩礫地に追いやられた.とりわけ,バラモミ節樹木の衰退には多雪化が大きく影響した可能性がある.かわって山地帯では立地ごとに異なる落葉広葉樹林が低地・低山帯から広がった.
    6. バラモミ節樹木やチョウセンゴヨウが分布する立地は大型植物化石が堆積・残存しやすく,そのために産出量も多くなる.一方,トウヒ,シラベ,コメツガが分布していた立地は大型植物化石が堆積しにくく,そのために産出量も少ないと考えられる.このことから直ちに,トウヒ,シラベ,コメツガが最終氷期当時,現在よりも分布量が少なかったとみなすことは危険である.
  • *丸山 E. 毅, 細井 佳久, 勝木 俊雄
    日本森林学会大会発表データベース
    2011年 122 巻 Pa1-2
    発行日: 2011年
    公開日: 2011/03/22
    会議録・要旨集 フリー
  • 芳賀 弘和
    森林科学
    2012年 64 巻 46-47
    発行日: 2012/02/01
    公開日: 2017/07/07
    解説誌・一般情報誌 フリー
  • 勝木 俊雄
    森林科学
    2012年 64 巻 46-47
    発行日: 2012/02/01
    公開日: 2017/07/07
    解説誌・一般情報誌 フリー
  • *勝木 俊雄, 田中 信行
    日本森林学会大会発表データベース
    2007年 118 巻 P1d01
    発行日: 2007年
    公開日: 2007/03/26
    会議録・要旨集 フリー
  • *勝木 俊雄, 大野 裕康, 井上 日呂登
    日本森林学会大会発表データベース
    2018年 129 巻 P2-133
    発行日: 2018/05/28
    公開日: 2018/05/28
    会議録・要旨集 フリー

    マツ科トウヒ属の

    ヒメバラモミ
    Picea maximowiczii)は、推定個体数が2,000以下と少ないことから、国の絶滅危惧II類に指定されている。これまで積極的な保全対策がなかったことから、大部分の自生地を管理する中部森林管理局によって、2010年に
    ヒメバラモミ
    遺伝資源林が八ヶ岳の西岳国有林に設置された。ほぼ分布域全体から採取された134クローンの穂木から接木苗が増殖され、744本が遺伝資源林に植栽された。植栽7年後の2017年には、生存率80%、平均樹高228cmに成長し、ほぼ順調に生育していることが確認された。しかし、南アルプス区で2016-2017年の枯死率は1.9% y-1であり、このままの枯死率だと植栽時の372本から2050年に139本に減少することが予想された。また、消失した13クローンに加え、2050年までに7クローンの減少が予想された。こうした枯死要因には採取時の穂木の性質が大きく影響していると考えられた。したがって、現在遺伝資源林で成長している若木から穂木を採取すれば、より高品質の接木苗木の生産が可能であり、再増殖した苗木を遺伝資源林に補植することで、遺伝資源林の価値は高まると考えられた。

  • 初島 住彦
    林學會雑誌
    1932年 14 巻 3 号 158-169
    発行日: 1932/03/10
    公開日: 2009/02/13
    ジャーナル フリー
  • 伊藤洋
    植物研究雑誌
    1986年 61 巻 9 号 288
    発行日: 1986/09/20
    公開日: 2023/03/31
    ジャーナル フリー
  • 辻 誠一郎, 南木 睦彦, 大沢 進
    第四紀研究
    1984年 22 巻 4 号 279-296
    発行日: 1984/02/29
    公開日: 2009/08/21
    ジャーナル フリー
    相模地域の後期更新世の大型植物化石・花粉化石群集を記載し, 植物群と植生, および古環境を論じた.
    植物分類・地理学上注目すべきイワヒバ・カラマツ・トウヒ各属の大型植物化石の形態を記載した. このうちトウヒ属は, トウヒ,
    ヒメバラモミ
    の2種とトウヒ属A・B・Cの3型に分けられた.
    主に, スギおよび
    ヒメバラモミ
    からなる冷温帯針葉樹林が約9万-6万年前に優勢であった. これは上部冷温帯の年降水量の多い湿潤な気候を示す. 約6万-5.5万年前の三崎海進を通じての植生は, 冷温帯のナラ類林の拡大によって区別される. これは年降水量の少ない比較的温暖な気候を示す. 約5.5万-5万年前の主に
    ヒメバラモミ
    とカラマツ属からなる亜寒帯ないし冷温帯針葉樹林は, 関東地方で従来知るかぎり後期更新世における最初の寒冷気候を示す. この時代は立山で確認された室堂氷期にあたる. 亜寒帯針葉樹林と冷温帯落葉広葉樹林の間の移行的な混交林が約1.6万-1.3万年前に優勢であった. このような森林は更新世末期の南関東に分布拡大していたと思われる. この時代の富士山東麓における亜寒帯針葉樹林の下降は1,000m以上であった.
    (地名)
    Eda 荏田
    Ekoda, Egota 江古田
    Iseyamabe 伊勢山辺
    Kyuden 給田
    Nippa 新羽
    Rengeji 蓮花寺
    Shijuhasse River 四十八瀬川
    (地層名)
    Kissawa L. 吉沢ローム層
    Younger L. 新期ローム層
    Anjin Pumice 安針軽石
  • 塚田 松雄
    日本生態学会誌
    1984年 34 巻 2 号 203-208
    発行日: 1984/06/30
    公開日: 2017/04/12
    ジャーナル フリー
    Six major vegetation types characterized the Japanese Archipelago about 20,000 yr B.P., (1) tundra, (2) park tundra, (3) boreal conifer forest, (4) temperate conifer forests [two subtypes are recognized, (a) Pinus (Haploxylon), and (b) Picea maximowiczii, Picea polita, Abies firma, and Tsuga sieboldii forests], (5) mixed temperate conifer and deciduous broadleaf forest, and (6) warm-temperate evergreen broadleaf forest. Of these, the coniferous forests covered the archipelago extensively.
  • 小林 五郎, 桑山 良像, 刈米 達夫, 高橋 三雄, 伊藤 徳三, 増谷 孝一郎, 岡本 喜八郎, 門脇 宏和, 永平 益久, 水口 一女, 荒田 義雄, 大橋 力, 大和 正利
    YAKUGAKU ZASSHI
    1959年 79 巻 1 号 124-130
    発行日: 1959/01/25
    公開日: 2010/02/19
    ジャーナル フリー
  • 野手 啓行, 沖津 進, 百原 新
    植生史研究
    1998年 6 巻 1 号 3-13
    発行日: 1998年
    公開日: 2021/06/16
    ジャーナル オープンアクセス
    本州のトウヒ属バラモミ節は,最終氷期最盛期に分布拡大して,晩氷期以降現在までに分布縮小した。その分布縮小過程を検討するために,l)バラモミ節の現在における分布環境(水平分布,温度分布,積雪分布,混交樹種,分布量),2)最終氷期以降のバラモミ節球果の形態変化を既存資料から整理した。対象樹種は,最終氷期最盛期の堆積物から化石記録があるイラモミ,ヤツガタケトウ上,
    ヒメバラモミ
    ,アカエゾマツの4種である。本州に分布するバラモミ節4種は,水平分布範囲が異なるが,いずれも年平均最深積雪深150cm以下の寡雪山岳でなおかつ暖かさの指数41から45の温度域に分布の中心をもつ。混交樹種と分布量から生育立地を検討した結果,これら4種の分布域は,植生帯を優占するオオシラビソ,シラベとブナの分布空白域にあたり,コメツガが優占する岩塊地に点在していることが多い。現在の本州におけるバラモミ節4種の隔離分布は,晩氷期以降の温暖・多雪化とそれに伴うオオシラビソなどの亜高山針葉樹類うブナの分布拡大によって生じたと考えられる。最終氷期最盛期の本州の低地には,現生バラモミ節4種の共通の祖先と考えられるバラモミ節個体群が広く連続的に分布したのが,晩氷期以降の原個体群の分断・縮小とそれに伴う形態変化によって現生バラモミ節4種が生じたと考えられる。
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