9-プロモ-1-メチル
フルオレン
[4]とジメチルスルフィドとから得られるスルポニウム塩[5]にアルカリを作用させ, S-イリドの生成と転位を経て, 1-メチル-8-(メチルチオメチル)
フルオレン
[7]を合成した。ついで[7]をエタノール中 Raney ニッケルで還元して 1,8-ジメチル
フルオレン
[8]となし, さらに酸化して 1,8-ジメチルフルオレノン[1]を得た。[1]にアリールリチウムを作用させて種々の 9-アリール-1,8-ジメチル
フルオレン
-9-オール誘導体を合成し, さらにこれらをヨウ化水素酸で還元して 9-アリール-1,8-ジメチル
フルオレン
誘導体とした。ついでこれらの C9-CAr 結合の回転障壁を DNMR 法や回転体の異性化の速度定数から求めた。すなわち, 1,8-ジメチル-9-(o-トリル)
フルオレン
[12]では, その回転障壁はΔGap→sp=19.7kcal/mol, ΔGsp→ap=20.0kal/mol, また ,8-ジメチル-9-(2-メチル-1-ナフチル)
フルオレン
[14]では, ΔGap→sp=34.1kcal/mol, ΔGsp→ap33.8kcal/mol と見積られた。また, [12]と 9-(o-トリル)
フルオレン
[15]や 1-メチル-9-(o-トリル)
フルオレン
[16]との両配座間の平衡定数や, C9-CAr 結合の回転障壁などを比較検討した。
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