プライバシー
・個人情報保護の分野においては、従来、「同意原則」ないし「通知・選択アプローチ」と呼ばれる考え方が重視されてきた。しかし、最近では、IoT、ビッグデータ、AIといった情報技術の普及によって、実効的な本人同意を実現することが、困難になってきている。
このような情報環境の変化は、
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権に関する法理論に対しても影響を与えるようになっている。従来、我が国の憲法学では、
プライバシー
権については、いわゆる自己情報コントロール権説が通説であるとされてきた。しかし、近年では、前述した情報環境の変化もあり、自己情報コントロール権説を批判し、これとは異なる
プライバシー
権論を提唱する見解が様々な形で主張されるようになっている。
このように
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権に関する学説は混迷を深めているが、その中でも、ある程度、共通する傾向というのは存在している。それは、
プライバシー
権に関する根拠を多元的に捉えるということである。仮に、
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権の根拠を多元的に捉える立場に立つのであれば、
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権の内容も多元化するのが素直ではないかと考えられる。本稿は、情報
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権を多元化し、類型化をはかることを試みるものである。
本稿は、結論的に、
プライバシー
権を以下のように類型化すべきであると主張する。まず、
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権は、大きく、情報の
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、自己決定の
プライバシー
、領域の
プライバシー
に分かれる。そして、情報
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権は、①自己情報コントロール権、②自己情報適正取扱権、③私生活非公開権の3つに分かれるということである。
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