北部九州で栽培されているトウ
モロ
コシについて,14~24回の播種期試験データを用いて,絹糸抽出に要する数種の積算温度の一定性の比較を行った.品種は早生のG4321A,中生のG4810A,晩生のP3160および国内育成の交3号を用いた.積算温度は日平均気温0℃以上を積算した単純積算温度(SHUA),生育下限温度を10℃とする有効積算温度I(EHUA I)および生育下限温度を絹糸抽出までの播種後日数(X)と積算温度(Y)との関係からY=aX+bを求め,a℃以上を積算した有効積算温度II(EHUA II)の3方法を用いた.その結果,SHUAは積算温度の一定性を示す変動係数が7.9%から10.6%と大きく,EHUAIも5.1%から9.3%となり,SHUAと同様に積算温度の一定性の程度が低かった.EHUA IIの変動係数はG4321Aが2.5%,G4810Aが3.2%,P3160が5.2%の小さな値となり,早生,中生および晩生品種はEHUA II法の一定性が認められた.一方,交3号の変動係数は8.5%となり,EHUA II法の中では変動係数が大きかったが,これは,日長感応性が大きいため積算温度の一定性が低くなったものと推察された.
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