詳細検索結果
以下の条件での結果を表示する: 検索条件を変更
クエリ検索: "ラン科"
1,231件中 1-20の結果を表示しています
  • 辻田 有紀, 山下 由美, 村田 美空, 首藤 光太郎, 天野 正晴, 遊川 知久
    昆蟲.ニューシリーズ
    2021年 24 巻 3 号 55-63
    発行日: 2021/09/25
    公開日: 2021/10/21
    ジャーナル フリー

    近年,本州以南に自生する様々な

    ラン科
    植物種から,ハモグリバエ科ランミモグリバエの寄生が報告されている.本種は幼虫が果実や花茎を摂食して種子生産を阻害することから,本種の寄生が
    ラン科
    植物の増殖に及ぼす影響を明らかにすることは,
    ラン科
    の絶滅危惧種を保全する上での課題となっている.しかし,その分布域や寄主植物の詳細は未だ明らかでない.そこで本研究では,北海道から沖縄県まで国内の1道9県に自生する21属42種の
    ラン科
    植物でランミモグリバエの寄生状況を調査した.その結果,13属25種において寄生を確認し,そのうち新たに寄生を確認した3属を含む11種については初めて寄主植物であることを明らかにした.また,北海道と西表島に自生する
    ラン科
    植物でランミモグリバエの寄生を確認し,本種が北海道から沖縄県までのより広範囲に分布することを明らかにした.さらに,
    ラン科
    の種によって複数地域で高い寄生率を示す種が存在することを確認し,
    ラン科
    の種によって寄生率に差があることを明らかにした.また,分布域の北限に近いと考えられる北海道ではランミモグリバエの発生密度が低い可能性が示唆された.

  • 長島 時子
    園芸学会雑誌
    1998年 67 巻 5 号 792-797
    発行日: 1998/09/15
    公開日: 2008/01/31
    ジャーナル フリー
    コランを供試し, 胚珠形成および受精後の種子形成過程を組織学的に観察するとともに, 暗所培養を行い種子形成過程と種子発芽との関係を追究した.1. 子房の大きさは, 受粉すると急速に増加し, 受粉後140日ごろに一定となった.2. 胚珠形成は, 受粉後70日ごろに完了した.重複受精は, 受粉後90∿100日ごろに行われ, 胚のう核は8個観察された.受粉後から胚発生完了までの所要日数は240∿250日であった.なお, 受精後の胚乳核は4∿8個が観察された.3. 胚発生過程の様相は以下のようであった.すなわち, 4細胞期はC1型に, 4細胞期以降の胚発生過程はJ型(Polystachya microbambusa型)とF型(Coelogyne parishii型)の変異した型の混合型に類似していた.胚はおもに4細胞期のca細胞から形成され, cb細胞から胚管が形成された.4. エビネ属およびその近縁の属同様, 胚発生完了時に発芽率, 発芽後のリゾーム形成率のいずれも高くなり, 平均発芽日数も早かった.播種培地としては供試4培地間ではT培地が優れていた.また, 胚発生完了以降, 種子の発芽率は, いずれの培地においても極めて低かった.
  • ラン科植物数種の染色体
    大野 林二郎, 橋本 昭巳
    植物学雑誌
    1956年 69 巻 816 号 286-288
    発行日: 1956年
    公開日: 2006/12/05
    ジャーナル フリー
    1. In the present study, chromosome numbers of 4 species in Orchidaceae were counted by the authors.
    2. Chromosome numbers of Platanthera metabifolia F. Maekawa and P. ophrydioides Fr. Schm. in meiosis were found as n=21 and n=20, respectively. And that of Liparis Kumokiri F. Maekawa in the pollen nuclear division was n=13, and for Cremastra variabilis Nakai it was n=24 in the PMC and 2n=48 in the root tip cells.
    3. Karyologically, the chromosomes of 4 species here reported are all of nearly equal form and size.
    4. The behaviour of chromosomes in meiosis was regular.
  • 長島 時子
    園芸学会雑誌
    1982年 51 巻 1 号 94-105
    発行日: 1982年
    公開日: 2007/07/05
    ジャーナル フリー
    シュンランおよびパフィオペディラムの2種類のランを供試し, 胚珠形成および受精後の種子形成過程を組織学的に観察するとともに, 種子形成過程と種子発芽との関係を追究した.
    1. シュンランのずい柱は受粉すると緑色を呈して肥大し, ずい柱の側壁は内側に攣曲した. このずい柱は受粉後100日ごろに枯死した.
    2. 子房の大きさは, シュンランでは受粉すると急速に増加し, 受粉後100日ごろに一定値に達した. パフィオペディラムの子房の長さは開花中から成熟に至るまでほとんどど同様であった. 一方, 子房の幅の増加も他のランに比較して緩慢であった.
    3. 種子および胚の大きさは, シュンランは受精すると急速に増大し, 種子は受粉後110日ごろに, 胚は受粉後115~120日ごろにそれぞれ一定値に達した. パフィオペディラムでは, 受精後一定期間増大し, その後しばらく増大を休止し, 再び増大して, それぞれ一定値に達した.
    4. 胚珠形成は, シュンランでは受粉後43~45日ごろに, パフィオペディラムでは受粉後58~60日ごろに完了した. 重複受精は, シュンランでは受粉後48~50日ごろに, パフィオペディラムでは受粉後68~70日ごろに行われた. 胚のう核は, シュンランおよびパフィオペディラムのいずれにおいても, 8個観察された. 受粉後から胚発生完了までに要する日数は, シュンランでは115~120日, パフィオペディラムでは195~200日であった.
    5. 胚発生過程の様相は, 以下のようであった. すなわち, 4細胞期では, シュンランはC1型, パフィオペディラムはC2型であった. 4細胞期以降の胚発生過程をみると, シュンランはH型 (Angraecum distichum型), パフィオペディラムはF型 (Coelogyne parishii型) の変異型に, それぞれ類似していた. シュンランおよびパフィオペディラムの胚はいずれもca細胞から形成された.
    6. 受精後の胚乳核は, シュンランおよびパフィオペディラムのいずれにおいても3~5個が観察された. 胚柄はシュンランおよびパフィオペディラムのいずれにおいても認められた. また, 胚管はシュンランで観察された.
    7. 種子の発芽能力は, シュンランでは16細胞期からインターメディアリー期の間(受粉後80日ごろ)以降, パフィオペディラムでは16細胞期(受粉後160日ごろ)以降に認められた. なお, いずれのランにおいても胚発生完了前後において発芽率が最も高かった. 培地としては, MS 培地に比較してH培地が優れていた.
  • 長島 時子
    園芸学会雑誌
    1983年 52 巻 1 号 65-77
    発行日: 1983年
    公開日: 2007/07/05
    ジャーナル フリー
    ツルラン, カ•カルディオグロッサ及びガンゼキランの3種類のランを供試し, 胚珠形成及び受精後の種子形成過程を組織学的に観察するとともに, 種子形成過程と種子発芽との関係を追究した.
    1. 子房の大きさは, いずれのランにおいても, 受粉すると急速に増加した. 子房の大きさは, ツルランでは受粉後70日ごろに, カ•カルディオグロッサでは同60日ごろに, ガンゼキランでは同50日ごろにそれぞれ一定値に達した.
    2. 種子及び胚の大きさは, いずれのランにおいても, 受精すると急速に増大した. 種子の大きさは, いずれにおいても受粉後70日ごろにそれぞれ一定値に達した. 胚の大きさは, ツルランでは受粉後85~90日ごろに, カ•カルディオグロッサでは同75~80日ごろに, ガンゼキランでは同95~100日ごろにそれぞれ一定値に達した.
    3. 胚珠形成は, ツルランでは受粉後38~40日ごろに, カ•カルディオグロッサでは同34~35日ごろに, ガンゼキランでは同43~45日ごろに完了した. 重複受精は, ツルランでは受粉後43~45日ごろに, カ•カルディオグロッサでは受粉後39~40日ごろに, ガンゼキランでは受粉後48~50日ごろに行われた. 胚のう核は, ツルラン及びカ•カルディオグロッサではそれぞれ5~6個, ガンゼキランでは8個観察された. 受粉から胚発生完了までに要する日数は, ツルランでは85~90日, カ•カルディオグロッサでは75~80日, ガンゼキランでは95~100日であった.
    4. 胚発生の様相はツルラン, カ•カルディオグロッサ及びガンゼキランのいずれにおいても同様であった. すなわけ, いずれにおいても4細胞期ではA2型であり, 4細胞期以降の胚発生過程はE型 (Liparis pulverulenta型) に類似していた. またいずれにおいても胚は主としてca細胞から形成された.
    5. 受精後の胚乳核は, ツルラン, カ•カルディオグロッサおよびガンゼキランのいずれにおいても3~5個が観察された. また, いずれにおいても胚柄の存在が観察された.
    6. 種子の発芽能力は, ツルラン, カ•カルディオグロッサ及びガンゼキランのいずれにおいても16細胞期(いずれにおいても受粉後60日ごろ) 以降に認められた. なお, いずれにおいても胚発生完了前後において発芽率が最も高かった. 培地としては, MS培地及びKC培地に比較して, H培地が優れていた.
  • ― 特記すべき蘭 31 種のハビタットと人間活動の影響 ―
    佐藤 政幸, 渡邊 定元
    富士学研究
    2021年 17 巻 1 号 1-26
    発行日: 2021/12/30
    公開日: 2023/12/16
    ジャーナル オープンアクセス
    Among the 300 species in the Orchidaceae that have been shown to grow in the Japanese Archipelago, more than 110 have been identified in the Mt. Fuji region. Mt. Fuji, located at 35.4 ° N, is a globally unusual site of high orchid species diversity. The reason for this is the existence, under a humid climate, of eight botanical zones, namely: the oak zone, chestnut zone, beech zone, Abies homolepis zone, Abies veitchii zone, Larix kaempferi forest limit, herbaceous zone, and moss zone, from the lowland to the mountain crest at an altitude 3776m. In the present study, the negative and positive effects of various human activities, such as theft, arable and pastoral land use, second-home construction, and artificial afforestation in the Mt. Fuji region over a 76-year period from 1945 to 2021, on orchids were evaluated based on species. This present study is the first report on 31 unique species, including the endangered Cypripedium species, saprophytic orchids named after Mt. Fuji. In addition, the following were discussed in relation to Cypripedium species: status of theft since 1945, actual and current growth status, appropriate nature protection activities, and proposed conservation measures.
  • 連続照明下における培養基添加物の与える影響について
    上田 博, 鳥潟 博高
    園芸学会雑誌
    1968年 37 巻 3 号 240-248
    発行日: 1968年
    公開日: 2007/07/05
    ジャーナル フリー
    生長点培養により得た protocorm からの器官形成に対する培養基添加物の影響について, 特に地生 Cymbidium (C. goeringii) を中心に, 着生 (半地生) Cymbidium(C. insigne および C. pumilum) と比較して実験を行ない, 次のような結果を得た。
    1. 基本培地 (Knudson C+Nitsch 微量要素液) においては, C. insigne および C. pumilum では protocorm から葉, 根を形成し, 6~8週後には完全な植物体に発生したが, C. goeringii では rhizome が形成されてそれが分岐, 生長するのみで葉, 根が形成されなかつた。
    2. 培地のショ糖濃度はF.W.増加率, 分岐数に顕著な影響を与え, C. pumilum, C. goeringii ともに4%で最高値を示した。
    3. 0.1mg/lNAA添加培地では C. goeringii も約50%が shoot 形成に進み, これにさらに yeast extract (1g/l) または Bacto-trypton (1~5mg/l) を添加した培地では8~10週後には80%以上が完全な植物体に発生した。
    4. C. insigne に対しても Bacto-trypton は著しい発育促進効果を示したが, yeast extract は抑制的に働いた。
    5. アミノ酸添加の影響については, C. pumilum ではL-アルギニン, L-アスパラギン酸のみに発育促進効果があり, C. goeringii ではその他にグリシン, L-トリプトファンも有効であつた。
  • ~ラン科植物「オオバノトンボソウ」を例として~
    大和 政秀, 荒井 麻希, 久保田 純平, 藤原 亮太
    日本緑化工学会誌
    2019年 44 巻 3 号 524-527
    発行日: 2019/02/28
    公開日: 2019/07/27
    ジャーナル フリー

    ラン科
    植物は菌根共生への依存度が高く,さらに共生関係において宿主特異性が存在するため,パートナーとなりうる菌根菌が存在する環境でないと生育することができない。このため,やむを得ず
    ラン科
    植物の移植を行う際には菌根菌が定着している環境に移植する必要がある。筆者らは鹿児島県に自生するオオバノトンボソウについて,シードパケット法を適用した種子発芽個体の解析に基づく,移植適地の判定に取り組んでおり,本稿ではオオバノトンボソウの種子発芽生態とともにその経過について報告する。

  • N. Odyuo, D. K. Roy, R. Daimary, A. A. Mao, C. Deori
    植物研究雑誌
    2019年 94 巻 1 号 47-50
    発行日: 2019/02/20
    公開日: 2022/10/21
    ジャーナル フリー

    ラン科
    Porpax Lindl.はアジアに15種があり,そのうちインドには8種が知られている.2016年にナガランドで本属植物が得られ,Botanical Survey of Indiaの植物園(シロン)で栽培していたところ,2017年5月に開花した.これを調べたところ,インドでは知られていなかったPorpax lanii Seidenf.であることが明らかになった.本種をインドの
    ラン科
    フロラに追加し,インド産個体を記載しかつ図示した.

  • 津山尚
    植物研究雑誌
    1941年 17 巻 7 号 429
    発行日: 1941/07/15
    公開日: 2023/04/03
    ジャーナル フリー
  • 長島 時子
    園芸学会雑誌
    1982年 51 巻 1 号 82-93
    発行日: 1982年
    公開日: 2007/07/05
    ジャーナル フリー
    シランおよびエビネの2種類のランを供試し, 胚珠形成および受精後の種子形成過程を組織学的に観察するとともに, 種子形成過程と種子発芽との関係を検討した.
    1. 子房の大きさは, シランおよびエビネのいずれにおいても受粉すると急速に肥大し, シランでは受粉後60日ごろまでに, エビネでは受粉後50日ごろまでにそれぞれ一定値に達した.
    2. 種子および胚の大きさは, シランおよびエビネのいずれにおいても, 受精すると急速に増大し, 受粉後80~100日ごろにそれぞれ一定値に達した.
    3. 胚珠形成は, シランおよびエビネのいずれにおいても, 受粉後30~31日ごろに完了した. 重複受精は, シランおよびエビネのいずれにおいても, 受粉後38~40日ごろに行われた. 胚のう核は, シランでは8個, エビネでは5~6個それぞれ観察された. 受粉後から胚発生完了までに要する日数は, シランでは95~100日, エビネでは85~90日であった.
    4. 胚発生過程の様相は以下のようであった. すなわち, シランでは胚の頂部の片側にわずかに子葉の分化がみられた. 4細胞期では, シランおよびエビネはA2型であった. 4細胞期以降の胚発生過程をみると, シランはC型 (Limodorum abortivum 型) の変異型, エビネはE型 (Liparis pulverlenta 型) に, それぞれ類似していた. シランの胚は前胚頂部方向の細胞から, エビネの胚は前胚頂部方向の細胞および同下部方向の頂部側の細胞とから, それぞれ形成された.
    5. 受精後の胚乳核は, シランでは4~8個, エビネでは3~4個観察された. また, 胚柄はエビネで観察され, 胚管はシランで観察された.
    6. 種子の発芽能力は, シランでは胚形成開始以前(受粉後45日ごろ)から, エビネでは前胚の4細胞期以前(受粉後50日ごろ)から認められた. なお, いずれのランにおいても胚発生完了前後において最も発芽率が高かった. 培地としては, MS培地およびKC培地に比較してH培地が優れていた.
  • 長島 時子
    園芸学会雑誌
    1984年 53 巻 2 号 176-186
    発行日: 1984年
    公開日: 2007/07/05
    ジャーナル フリー
    キリシマエビネ, ニオイエビネ及びアマミエビネの3種類のランを供試し, 胚珠形成及び受精後の種子形成過程を組織学的に観察するとともに, 種子形成過程と種子発芽との関係を追究した.
    1. 子房の大きさは, いずれのランにおいても受粉すると急速に増加した. 子房の大きさは, キリシマエビネでは受粉後60日ごろに, ニオイエビネでは受粉後50日ごろに, アマミエビネでは受粉後70日ごろに, それぞれ一定値に達した.
    2. 種子及び胚の大きさは, いずれのランにおいても, 受精すると急速に増大した. 種子の大きさは, キリシマエビネでは受粉後70日ごろに, ニオイエビネ及びアマミエビネでは受粉後80日ごろに, それぞれ一定値に達した. 胚の大きさは, いずれのランにおいても受粉後95~100日ごろに, それぞれ一定値に達した.3. 胚珠形成は, キリシマエビネ及びニオイエビネでは受粉後38~40日ごろに, アマミエビネでは受粉後43~45日ごろに, それぞれ完了した. 重複受精は, キリシマエビネ及びアマミエビネでは受粉後48~50日ごろに, ニオイエビネでは受粉後43~45日ごろにそれぞれ行われた. 胚のう核は, いずれのランにおいても5~6個観察された. 受粉から胚発生完了までに要する日数は, キリシマエビネ, ニオイエビネ及びアマミエビネのいずれにおいても95~100日であった.
    4. 胚発生過程の様相はキリシマエビネ, ニオイエビネ及びアマミエビネのいずれにおいても, 同様であった.すなわち, いずれにおいても4細胞期ではA2型であり,4細胞期以降の胚発生過程はE型 (Liparis pulverlenta型) に類似していた. またいずれにおいても, 胚は主としてca細胞から形成された.
    5. 受精後の胚乳核は, キリシマエビネ, ニオイエビネ及びアマミエビネのいずれにおいても, 3~5個が観察された. また, いずれにおいても胚柄の存在が観察された.
    6. 種子の発芽能力は, キリシマエビネではインターメディアリー期 (受粉後80日ごろ) 以降に, ニオイエビネではほぼ16細胞期からインターメディアリー期の間(受粉後80日ごろ) に, アマミエビネでは前胚の4細胞期以前 (受粉後60日) ごろにそれぞれ認められた. なお, いずれにおいても胚発生完了前後において発芽率が最も高かった. また, ニオイエビネでは, 明所培養に比較して暗所培養において発芽率が高かった. 培地としては, MS培地に比較してH培地が種子発芽に対して優れていた.
  • 長島 時子
    園芸学会雑誌
    1985年 54 巻 2 号 231-241
    発行日: 1985年
    公開日: 2007/07/05
    ジャーナル フリー
    キエビネ, カ•エルメリ及びトクサランの3種のランを供試し, 胚珠形成及び受精後の種子形成過程を組織学的に観察するとともに, 種子形成過程と種子発芽との関係を追究した.
    1. 子房の大きさは, いずれのランにおいても, 受粉すると急速に増加した. 子房の大きさは, キエビネ及びトクサランでは受粉後50日ごろに, カ•エルメリでは同60日ごろにそれぞれ一定値に達した.
    2. 種子及び胚の大きさは, いずれのランにおいても, 受精すると急速に増大した. 種子の大きさは, キエビネ及びトクサランでは受粉後80日ごろに, カ•エルメリでは同60日ごろにそれぞれ一定値に達した. 胚の大きさは, キエビネでは受粉後95~100日ごろに, カ•エルメリでは同65~70日ごろに, トクサランでは同87~90日ごろにそれぞれ一定値に達した.
    3. 胚珠形成は, キエビネでは受粉後43~45日ごろに, カ•エルメリでは同35~37日ごろに, トクサランでは同30~31日ごろにそれぞれ完了した. 重複受精は, キエビネでは受粉後48~50日ごろに, カ•エルメリでは同40~41日ごろに, トクサランでは同34~35日ごろにそれぞれ行われた. 胚のうは, キエビネ, カ•エルメリ及びトクサランのいずれにおいてもそれぞれ5~6個が観察された. 受粉から胚発生完了までに要する日数は, キエビネでは95~100日, カ•エルメリでは65~70日, トクサランでは87~90であった.
    4. 胚発生の様相はキエビネ, カ•エルメリ及びトクサランのいずれにおいても同様であった. すなわち, いずれにおいても4細胞期ではA2型であり, 4細胞期以降の胚発生過程はE型 (Liparis pulverulenta 型) に類似していた. また, いずれのランにおいても胚は主としてca細胞から形成された.
    5. 受精後の胚乳核は, キエビネ, カ•エルメリ及びトクサランのいずれにおいても3~5個が観察された.また, いずれにおいても胚柄の存在が観察された.
    6. 種子の発芽能力は, キエビネ及びトクサランでは8細胞期 (前者では受粉後70日ごろ, 後者では受粉後55日ごろ) 以降に, カ•エルメリでは前胚の4細胞期以前(受粉後45日ごろ) にそれぞれ認められた. なお, いずれにおいても胚発生完了前後において発芽率が最も高かった. 培地としては, MS培地及びKC培地に比較して, H培地が優れていた.
  • 木村 研一, 山崎 旬, 遊川 知久, 倉本 宣
    日本緑化工学会誌
    2012年 38 巻 1 号 212-215
    発行日: 2012年
    公開日: 2013/04/16
    ジャーナル フリー
    絶滅危惧種のキンラン (Cephalanthera falcata (Thunb.) Blume) は里山の雑木林などに良くみられる植物であるが,混合栄養性種であるため,開発等で自生地が改変される場合には,保全が困難な種であり,参考となる保全事例も非常に少ない。本事例ではボイド管という素材を用いて周辺土壌ごとの移植を実施した。移植 3 年後,4 年後の出芽率は 95 % 以上で推移している。一方,移植時の株サイズや切断根の本数が移植後の生育状況に影響を与える可能性が考えられた。
  • *岡山 将也, 谷亀 高広, 大和 政秀, 岩瀬 剛二
    日本菌学会大会講演要旨集
    2008年 52 巻 P056
    発行日: 2008年
    公開日: 2008/07/21
    会議録・要旨集 フリー
    ラン科
    植物の多くが美しい独特の花を咲かせ、多くの人々を魅了してきた。しかし近年、乱獲や開発時の生育地の破壊等により絶滅の危惧に瀕している種が増加しており、生態の解明と保全方法の開発が早急に求められている。
    ラン科
    植物の種子は非常に小さく、貯蔵養分をほとんど蓄えていないため、発芽や初期の生育のための栄養分は完全に菌根菌に依存している。本研究は身近な野生ランであるシュンラン(Cymbidium goerinngii)とネジバナ(Spiranthes sinensis)を対象とし、根に共生する菌根菌の多様性を明らかにし、保全のための基礎的データの取得を目的としたものである。シュンランについては栽培品種も実験に用いた。顕微鏡で観察し
    ラン科
    植物の根にコイル状菌糸(ペロトン)の感染を確認した。根を表面殺菌してガラス棒で潰し、遊離したペロトンを培地上に播き、伸長してきた菌糸をとり菌株を得、rDNAのITS領域の塩基配列解析により菌根菌の種を同定した。その結果、シュンランの菌根菌としてPeniophora sp.が、ネジバナはSistotrema sp.、Epulorhiza sp.、Bjerkandera sp.および Peniophora sp.が同定された。栽培品のシュンランからはTulasnella sp.が同定された。
    ラン科
    植物の菌根菌としてPeniophora属菌の報告は本研究が初めてである。これまでネジバナの菌根菌はThanatephorus cucumerisCeratobasidium cornigerumTulasnella calosporaであると報告されていたが、Peniophora属菌とSistotrema属菌の報告は本研究が初めてである。本研究の結果はシュンランとネジバナにはかなり多様な木材腐朽菌や土壌菌が共生していることを示し、これまで考えられていたようないわゆる’’Rhizoctonia’’に限られたものではないということが明らかになった。また、これらの菌根菌は木材や落葉を分解して得た栄養をランに供給していることを示唆しており、このような
    ラン科
    植物の保全のためには、むやみに落葉や倒木を除去しないことが重要であると考えられる。
  • 伊藤 彩乃, 庄司 顕則, 山下 由美, 遊川 知久
    日本緑化工学会誌
    2019年 44 巻 3 号 533-536
    発行日: 2019/02/28
    公開日: 2019/07/27
    ジャーナル フリー

    野外播種試験を,

    ラン科
    植物以外に活用した例として,ツツジ科イチヤクソウ亜科が挙げられる。イチヤクソウ亜科は,
    ラン科
    植物と類似した生態を持つ菌従属栄養性の高い植物である。筆者らは,オオウメガサソウ(環境省準絶滅危惧)の国内での分布南限地である茨城県で,本種の保全を目的に,野外播種試験を試みている。播種からわずか6か月で発芽が確認され,全体の発芽率は15.5%となった。幼若個体のDNA分析により,発芽に関わる共生菌の種類も明らかになりつつある。本報告では,これまでの取り組みと今後の展望について紹介する。

  • 暗培養における生長物質の与える影響について
    上田 博, 鳥潟 博高
    園芸学会雑誌
    1969年 38 巻 2 号 188-193
    発行日: 1969年
    公開日: 2007/07/05
    ジャーナル フリー
    Cymbitium の着生種 (C. pumilum) の protocormpiece, 地生種 (C. goeringii) の rhizome-tip をKNUDSON C+NITSCH微量要素液を基本培地として, 22°C, 8週間の暗所培養により, 各種添加物の器官形成に及ぼす影響を調べた。得られた主な結果は次のようである。
    (1) C. pumilum ; protocorm からの器官形成はNAA濃度により左右され, 0.1mg/lより低濃度では shoot 形成が促進され, root の形成は起こらない。0.1~0.6mg/lの範囲では高濃度になる程 root の形成が促進され, shoot 形成は抑制される。0.8mg/l以上ではshoot, root の形成はともに完全に抑制される。kinetin は特に shoot 形成を促進せず, 高濃度ではやや抑制的に働く。L-アルギニン (10-3M), L-アスパラギン酸 (10-3M), ビタミンC (1mg/l) は shoot 形成促進作用を示す。
    (2) C. goeringii; 基本培地では全く shoot を作らないが, kinetin 10mg/l添加により大部分は shoot 形成に進む。これにNAAを組合せた場合, 低濃度 (0.01~0.1mg/l) では shoot の伸長を促進し, 高濃度 (1.0~50mg/l) では拮抗的に働き, shoot 形成を抑制し, rhizome の形成を促進する。L-アルギニン (10-3M),L-アスバラギン酸 (10-3M) は shoot 形成をやや促進する。L-トリプトファン (10-3M), ビオチン (0.1mg/l),パラアミノ安息香酸 (0.1mg/l) は rhizome の形成, 伸長を促進する。
  • 長井 雄治, 石毛 裕子, 古川 淳, 山下 修一
    関東東山病害虫研究会年報
    1995年 1995 巻 42 号 153-155
    発行日: 1995/11/01
    公開日: 2010/03/12
    ジャーナル フリー
    主として千葉県内のラン愛好家の栽培しているエビネを含む各種の
    ラン科
    植物のウイルス感染状況を生物検定と電子顕微鏡観察により調べた。シンビジウムではオドントグロッサムリングスポットウイルス (ORSV) が高率に検出され, シンビジウムモザイクウイルス (CyMV) の感染は少なかったが, カトレヤ, デンドロビウム, エビネ, その他の
    ラン科
    植物では, CyMVがORSVよりも高率に検出された。パフィオペディルムではORSVは認められず, CyMVの感染率も著しく低かった。エビネでは, 1地点のガラス室でランえそ斑紋ウイルス (OFV) が高率に検出された。
  • 岡本 嗣男, 趙 春山, 實山 安英, 鳥居 徹, 芋生 憲司
    農業機械学会誌
    1998年 60 巻 6 号 71-77
    発行日: 1998/11/01
    公開日: 2010/04/30
    ジャーナル フリー
    本研究の目的は, 現在手作業によつて行われている種苗用茎頂培養苗の増殖過程における分割移植作業を自動化するシステムを開発することである。ここではサトウキビ培養苗の増殖作業を対象として, マシンビジョンを援用したロボット移植システムを試作した。本研究では, 移植能率の向上を目指して, 培養ポット内に繁殖しているサトウキビ苗二株のうち, 一株ずつを試作四本指ハンドでそれぞれ二株に分割し, その二株を同時移植した。二株の苗をそれぞれ二分割して移植するのに要した時間は約22秒であり, 熟練者の人手による作業と比べても十分高い能率が得られた。
  • 伊藤 彩乃, 庄司 顕則, 赤﨑 洋哉, 松前 満宏, 山崎 旬, 遊川 知久
    日本緑化工学会誌
    2016年 42 巻 1 号 271-274
    発行日: 2016年
    公開日: 2017/01/30
    ジャーナル フリー
    絶滅危惧の
    ラン科
    植物の種子繁殖の試みとして,クゲヌマランとキンランの効果的な授粉方法を検討した。クゲヌマランは,人工授粉を行った個体と対照個体のいずれの個体からも健全な種子を持つ果実が回収されたが,キンランは人工授粉を行った個体からのみ健全な種子を持つ果実が回収され,対照個体からは果実が得られなかった。このことから健全果実の確保のためにキンランは人工授粉が欠かせないが,クゲヌマランは人工授粉を行わなくても自動自家受粉によって結実すると考えられる。クゲヌマランは,対照個体にハエの被害果実が多く観察された一方で,ハエの被害を防止するために袋がけを行った個体からは,アブラムシの被害が確認された。
feedback
Top