小野子火山は,中期更新世に活動した複成火山で,体積約13km
3の円錐火山からなる十二ヶ岳成層火山形成期,山頂部にカルデラ状地形を,北北東および南東斜面に溝状地形を形成して山麓部に岩屑なだれ堆積物を堆積させた山体崩壊期,カルデラ状凹地から宮沢溶岩や小野子山南溶岩が流出した山頂溶岩類流出期の3期に区分される.溶岩流などの火山岩は,複輝石安山岩を主体とするが,初期には玄武岩やかんらん石含有複輝石安山岩も認められる.十二ヶ岳成層火山形成期の後半には,火山体の西斜面で漏斗状の形をとる十二ヶ岳南爆裂火口が発生し,現在その内部構造の一部が露出している.
山頂部付近には,中ノ岳貫入岩,放射状岩脈群,小野子山貫入岩などの貫入岩体が存在し,これらは東西方向に直線状に並ぶ.この方向に本火山活動と密接な関係をもち,かつ,中新統の相対落差が1100m以上に達する断層が推定される.
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