1970年代から本格化した第二言語カリキュラム理論研究の枠組は,1.カリキュラム哲学,2.カリキュラム構成要素の概念化,3.カリキュラム過程の3つに分けられる。本論では,第二言語カリキュラム哲学を中心として,哲学的志向性と教育的価値体系に分けて論じる。哲学的志向性はアトミズム,プラグマティズム,ホーリズムに分類され,教育的価値体系は古典的ヒューマニズム,再編主義,進歩主義に細分化される。本論の基本的立場は自己実現という哲学的志向性と進歩主義という教育的価値体系を支持するが,自己実現は情意的・社会的要因であるのに対して,進歩主義は相対的には認知的要因に偏っている。そこで,進歩主義を基礎として,情意的・社会的要因を加味した新しい教育的価値体系である「現代的ヒューマニズム」を提示する。これらのカリキュラム哲学に基づいて,従来の第二言語カリキュラムを分析し,ヒュベニスティツク第二言語カリキュラム・デザインの根本原理を提案する。
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