教材化を目的として,ガラス製サンプル瓶(5ml)とガラス管(内径2mm)を用いて,空気の膨張収縮を利用した温度計(以下,空気温度計と呼ぶ)を作製した。サンプル瓶の内部と外部の温度差及びサンプル瓶中の水量を検討した結果,以下の事柄が明らかとなった。(1)サンプル瓶内部と外部の温度差を考え,温度は測定開始後120秒後に読みとること。(2)温度変化に伴い色水がガラス管の最高位置を示す高さ(以下,液柱の高さと呼ぶ)は,ガラス瓶内の空気量が多いほど変化量は大きいこと。(3)温度と液柱の高さの関係は直線とはならず,示度も等間隔とはならないこと。そこで,温度計の温度を感知する部分(以下,温度感知部と呼ぶ)と色水がガラス管を上下し温度を示す部分(以下,液柱部と呼ぶ)を分け,温度感知部のみを加温し,色水を加温しない構造にしたところ,温度と液柱の高さの関係は直線となり,温度計の示度も等間隔となり,教材化に当たっての問題点が解消された。空気温度計は,身近な素材を用いたものづくり体験を通して,探究の過程を重視した問題解決学習に利用できるものと考えられる。
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