量子力学において, 統計集団の状態をあらわすために用いられる統計
作用素
(密度行列とも呼ばれる) の概念的基礎について討論する.通常の解釈論, すなわち広義のコペンハーゲン解釈の公理論的構成にしたがえば, 統計
作用素
と統計集団との対応は周知のごとくボルンの確率規則を用いて説明される.しかしここでは, それと異なり, 測定過程と統計
作用素
との間に (後者をば前者の操作の
作用素
表現として) 直接の対応を見出すことにより, 確率規則を経由することなく統計
作用素
の物理的意味を確定する方法について述べる.もしこの考え方が正しいならば, 量子力学の解釈論をより一層明確な仕方で展開することが可能となるであろう.
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