乾草摂取量と反すう行動との関係を検討するため,3頭の去勢成めん羊(平均体重49kg)を供試し,オーチャードグラス乾草の日給与量が,1.0,0.7および0.4kgになる3給与水準で,3×3ラテン方格法による試験を実施した.その結果,1.0,0.7および0.4kg給与期の1日当り反すう時間は,それぞれ487(100),405(83)および266分(55%)となり,摂取量の減少につれ単位摂取量当り反すう時間では,長くなる傾向を示した.しかし,1日当り再そしゃく時間は,各給与期でそれぞれ367(100),279(76),159分(43%),また再そしゃく回数は,同様に31,400(100),23,100(74),12,700回(40%)となり,これらは摂取量の変化に対してほぼ直線的な比例関係を示すことが明らかであった.摂取量の減少に対して吐出周期は変化しないが,1反すう食塊当り再そしゃく時間が短縮する傾向を示すため,反すう時間と摂取量との間には,必ずしも直線的な関係が認められないことがわかっった.また1日当り反すう期回数は,摂取量により反すう時間が変化したにもかかわらず,個体特有のほぼ一貫した回数を維持した.これらの結果から,同質粗飼料では,その摂取量が反すう時の再そしゃく時間や再そしゃく回数を支配する重要な要因になっていることが明らかで,放牧家畜の示す反すう行動のうちで,これらの測定埴が,採食量推定の一指標となりうることが示唆された.
抄録全体を表示