60歳以上の健康老年者60名について
動脈血
ガス分析値を検討し, さらに60歳未満の健康成人50名についても同様の検討を加え, 老年者の正常値および加齢による影響を検討した.
(1) 諸値の各年代層別平均値は, PO
2は20歳代93.3±5.8mmHg (平均値±標準偏差), 30歳代85.9±5.4, 40歳代85.2±5.1, 50歳代84.3±5.6, 60歳代82.9±6.1, 70歳代81.6±7.8, 80歳代79.4±7.7と加齢とともに減少し, その標準偏差は増大している. AaDO
2は, 20歳代4.9±4.7mmHg, 30歳代11.5±6.8, 40歳代16.4±5.6, 50歳代14.6±5.6, 60歳代16.3±6.6, 70歳代18.0±8.5, 80歳代19.2±10.3と加齢ともに増加を示し, 標準偏差は増大している. PCO
2, pHは不変であった.
(2) 各諸値の年齢との相関係数および回帰式はPO
2では若年者群はr=-0.435, PO
2=-0.2340×年齢+96.4520, 老年者群はr=-0.047, PO
2=-0.0621×年齢+86.413, AaDO
2では若年者群はr=0.502, Aa DO
2=0.287×年齢+0.642, 老年者群はr=0.066, AaDO
2=0.095×年齢+10.570となった. 若年者群に比して老年者群は相関が低く, 回帰式の勾配がゆるやかであった.
(3) 従来報告と本報告の回帰式を比較してみたところ, 若年者群においては, その減少勾配はほとんど一致しているが, 老年者群については従来報告と我々の成績とは著しい違いを示しており, 我々の成績では減少勾配はよりゆるやかであった.
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