現時点における病院経営上の問題点を明らかにするためにアンケート調査を行った. 対象と方法:150床以上の2071病院に, 経営, 管理, 患者満足度, 日常診療業務, 一般管理業務, 医師・看護師の人事, 保険診療, 地域医療連携, 労働組合, 住民動態, 職員教育等に関する96問を郵便法により調査した. 結果: 有効回答数は497通(有効回答率24.4%)であった. 最も多く指摘された問題点は「医師の確保が難しい」(75.3%)であった. 続いて「看護師の確保が難しい」(61.6%), 「病院の予算, 人事等の最終決定権が病院長にない」(53.9%), 「医師, 看護師の時間外勤務時間が長い」(50.7%)であった. 「経常収支が良い」病院は34.0%であった. 経常収支は民間病院, 準公立病院でよく, 自治体病院で悪かった. 経常収支は病床利用率, 人件比率, 職員のモチベーション, 職員の満足度に影響を受けていた. 患者満足度は民間病院, 準公立病院でよく, 自治体病院, 国立病院で悪かった. 患者満足度は, 職員の満足度, 職員のモチベニション, 各職種間のコミュニケーション, 上司による職員教育, 医師の確保, 平均在院日数, 病床数などの影響を受けていた. 職員の満足度は, 職員のモチベーション, 患者の満足度, 各職種間のコミュニケーション, 経常収支, 医師の確保, 病床数などの影響を受けていた. 結語:医療職の確保の難しさ, 経常収支のよくない病院群の偏り, 患者満足度と職員満足度の強い関連性, およびその両者に対する職員のモチベーションや各職種間のコミュニケーションの重要性などが確認された.
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