本研究では, 前報と同様な材料, すなわち, 昭和54年北海道産小豆7品種と台湾産1品種の合計8品種の小豆を低温 (5±1℃, 冷蔵庫), 室温 (10~25℃), 高温 (35±3℃, 孵卵器) に7~9ヵ月貯蔵し, 小豆の調理特性について検討を加え, 次のような結果を得た.
1) 未煮熟粒数は貯蔵すると発生し, 高温貯蔵でとくに著しかった.また, 腹切れ粒数, 崩壊粒数は貯蔵すると低下し, 貯蔵温度が高くなると低下した.また, 加熱小豆の硬さは高温貯蔵した場合に硬くなり, 品種間の差異は貯蔵前では認められたが, 高温貯蔵した場合には認められなかった.
2) 生あんの加工歩留りは, 低温貯蔵した場合, 台湾小豆を除いて63.7%以上であるが, 貯蔵温度が高くなるにつれて歩留りは低下し, とくに高温貯蔵した場合には低下が著しかった.また, 室温貯蔵と高温貯蔵した場合の歩留りの低下は加熱時間を延長することによって向上した.
3) 生あんの色調は原料小豆を室温貯蔵および高温貯蔵すると, 低温貯蔵の場合より鮮明さを失い, 赤色が弱く, 黄色が強くなった.加熱時間を延長すると, 鮮明さは向上し, 赤色が強くなり, 品種間差異も明らかであった.
4) 加熱による吸水率は貯蔵すると低下し, この傾向は貯蔵温度が高くなるにつれて著しくなったが, 加熱時間を延長すると吸水率が高くなった.
5) 以上の結果, 原料小豆は貯蔵すると調理特性が好ましくない方向に変化することが明らかになった.このような変化は高温貯蔵した場合に著しくなり, とくに生あんの加工歩留りは品種によって異なるので, 貯蔵による変化の少ない品種を選んで, 低温に貯蔵することが重要である.
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