腹部外傷を契機に発見された膵のsolid pseudopapillary tumor (SPPT) の1例を経験した。症例は9歳男児,
学校の階段
より転落し腹部を打ち受傷, 腹痛が持続するため受診となった。Focused Assessment with Sonography for Trauma (FAST) にて腹腔内貯留液, 腹部造影CTにて膵前面に約10cmのlow density areaを認めた。後腹膜血腫, 腹腔内出血にて緊急手術を施行した。術中所見では膵前面に破裂した出血塊を含む腫瘍を認めた, 腫瘤は膵由来であり体尾部切除により腫瘍摘出術を施行した。病理組織検査にてSPPTと診断された。術後は良好に経過, 耐糖能異常もなく15病日に退院となった。SPPTは, 10代後半から30代の女性に発症する比較的まれな膵腫瘍で, 本邦において男性の報告例は40例に満たない。外傷を契機に発見された症例は検索し得た限りでは本症例を含め本邦で20例であった。
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