日本経済は低成長・高ストレス・高齢化の時代に入っており, 今後産業保健活動や職域におけるヘルスプロモーション活動は, 産業医学の枠を越えた取り組みになっていくと思われる. 産業看護職, 人事労務担当者といった事業所内, 事業所間の情報交換だけでなく, 健康保険組合, 保健指導などのアウトソーシング先, 医療機関, 研究機関, 自治体など産業保健をとりまく様々な組織間の連携も重要性を増している. 本稿では, まず産業保健活動にかかわる職種と連携の概要について述べ, 生活習慣病, メンタルヘルス対策における連携の要点について記述した. さらに, 中小規模事業所における連携の具体例について, 風土や体制ができあがっているケースと, 産業保健活動の立ち上げから行ったケースについて示した. 最後に, 順天堂大学発祥の多職種産業保健スタッフの勉強会について紹介し, よりよい産業保健活動に寄与するために, 今後産業医が連携すべきスタッフの育成についても述べた.
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