牛乳歯切削エナメル質に対するレジンの接着性について,サーマルサイクリング試験の影響をエッチング時間別に観察した.
40%正燐酸ゼリーで,0,10,20,30及び60秒間エッチングを行った.レジンは,クラレ社製Photo BondとPhoto Clearfil Aを使用した.サーマルサイクリング試験後に剪断接着試験を行い,接着強さを測定するとともに,剪断試験後のエナメル質面とレジン面をSEMで観察し,下記の結論を得た.
1)接着強さが最も高かったのは,エッチング時間が30秒(78.99±10.93MPa)の場合であった.
2)エッチングなし群とすべてのエッチング時間群間の接着強さに有意差がみられ,エッチング群が高かった.
3)エッチング群については,エッチング時間が30秒の場合とエッチング時間が10秒,20秒及び60秒の場合の接着強さ間に有意差がみられ,いずれの場合も30秒で高い値を示した.
4)サーマルサイクリング群と非サーマルサイクリング群の接着強さをエッチング時間別に比較すると,エッチング時間が20秒の場合を除き,非サーマルサイクリング群の方がサーマルサイクリング群より高い値を示した.エッチング時間が20秒の場合のみについて,両群間の接着強さに有意差がみられ,サーマルサイクリング群の方が高かった.
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