目的: 尿蛋白
定性反応
陽性の糖尿病症例を対象として, 潜血反応陽性例と陰性例でその腎障害の違いについて比較検討した。
対象・方法: 2005年1年間に東北大学病院糖尿病代謝科外来を受診した全症例のうち尿蛋白
定性反応
陽性の随時尿542例を対象とした。これらの対象を尿蛋白
定性反応
と潜血反応により, I群: 蛋白1+で潜血陰性, II群: 尿蛋白1+で潜血1+~3+, III群: 尿蛋白2+~3+で潜血陰性, IV群: 尿蛋白2+~3+で潜血1+~3+, 以上の4群に分類した。
結果・考察: 尿蛋白1+のI群とII群, および尿蛋白2+~3+のIII群とIV群の比較で, 潜血反応陽性のII群, IV群において腎機能の指標である尿素窒素, クレアチニンが有意に高値, アルブミンが有意に低値であった。また, 高感度CRPおよび白血球数がII群, IV群で有意に高値を示した。潜血反応が陽性を示す症例数の比率は尿蛋白1+群では26.9%であったが, 尿蛋白2+~3+群では52.9%と2倍を示した。
まとめ: 尿蛋白
定性反応
の結果が同程度でも, 潜血反応が陽性群と陰性群とでは腎機能に関連する臨床検査成績に差を認め, 陽性群では腎障害が進展している可能性が示唆された。
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