症例は70歳, 男性. 1985年 (昭和60年), 53歳時に糖尿病を指摘される. 1992年 (平成4年) 血糖コントロールのため経口血糖降下薬 (グリベンクラミド) 投与を開始. 1997年 (平成9年) 7月よりインスリン治療 (ペンフィル (R) 30R) に変更した. 2001年 (平成13年) 4月インスリン強化療法開始のため近医入院, その際インスリン抗体 (結合率9196) の存在が認められ, 経口薬へ変更し, 食事, 運動療法を強化したところ代謝状態は一時改善した. しかし, 12月にはHbA
1c13.196と再度血糖コントロ一ルが悪化し, 2002年 (平成14年) 1月ノボラピッド
® にてインスリン治療が再開されたが, ケトーシスをきたし, 血糖コントロール目的にて同年3月8日当院に入院した, インスリン抗体結合率9596, 持続静脈内インスリン注入, 次いでCSII療法で, 血糖コントロールは改善した. 患者血清の抗インスリン抗体と各種インスリン製剤 (ヒューマログ
®, ノボラピッド
®, ヒューマリン
®R, ノボリン
®R) との交叉反応性を検討した. その結果ヒューマログ
®との交叉性が低いことが判明し, 以後比較的少量のヒューマログ
®インスリンで血糖 コントロールが可能となった.
抄録全体を表示