岡山県が推奨する耕種基準の施肥条件,(窒素低水準)で栽培された青刈作物の硝酸塩含量を,高位生産を目的とした窒素肥料の多用栽培(窒素高水準)のそれと比較し,生育段階との関係で調査した.供試作物は青刈トウモロコシ,スーダングラス,テオシント,バヒアグラス,イタリアンライグラス及び青刈トウモロコシである.
1. 窒素低水準で栽培された飼料作物中,硝酸塩(乾物中KNO3として)の蓄積の多い作物は,スーダングラス(2.60±1.26%),テオシント(1.84±0.66%)で次いで青刈トウモロコシ(0.96±0.98%),最も少ない作物はイダリアンライグラス(0.50±0.39%),青刈エンバク(0.48±0.29%)及びバヒアグラス(0.43±0.25%)であつた.
2. 窒素高水準によつて,すべての作物の硝酸塩含量が統計的に有意に増加し,とくに穂孕期までの生育時期に目立つた.なおイタリアンライグラスの硝酸塩の蓄積の増加が目立つた.
3. 硝酸塩中毒症の限界量(風乾物中KNO3として1.5%)はスーダングラス及びテオシントでは,おおむね窒素水準に関係なく,すべての生育段階のものに含まれた.青刈トウモロコシでは高水準の出穂期以前と低水準の伸長期前半期に,またイタリアンライグラスは高水準の出穂期以前に,青刈エンバクは高水準の穂孕期以前に,バヒアグラスでは高水準の伸長期前半期に含まれた.
4. 各作物の硝酸塩含量は,窒素水準に関係なく伸長期に最も多く,出穂期前後に最低となり,その後はバヒアグラスおよびスーダングラスを除き余り変化しなかつた.
5. 全窒素に占めるNO3-Nの割合は,スーダングラス及びテオジントか他作物に比して最も高く18~23%で他の作物は7%以下であつた.
6. 全窒素含量の増加に伴なう硝酸塩の蓄積の高い作物は,テオシント及びスーダングラスで,比較的低い作物はイタリアンライグラス,青刈工ンバク及びバヒアグラスで中間的なものが青刈トウモロコシであつた.
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