チオ尿素は2,6-ジアルキルナフタレン (DAN) と選択的に付加物結晶を形成する。混合物からの2,6-DANの分離に対するチオ尿素付加物の応用に関連して, ジイソプロピルナフタレン(DIPN) 異性体およびジ-t-ブチルナフタレン (DtBN) 異性体のチオ尿素付加反応の
平衡定数
を273~293Kの温度で測定した。また, 2,6-DANの回収率と純度によって付加プロセスを評価した。2,6-DIPNの
平衡定数
の値は273Kにおいて0.0138, 292Kにおいては0.0400であったが, その他の異性体についてはいずれも1以上であった。付加物形成能の序列は2,6-DIPN>2,7-DIPN>1,7-DIPN>1,3-DIPN≒1,4-DIPN≒1,6-DIPNであった。さらに, 2,6-DtBNの
平衡定数
は273Kにおいては0.00428, 293Kにおいては0.00813であり, 2,7-DtBNについては273Kにおいて0,33, 293Kにおいて0.51であった。これらの
平衡定数
を用いて, 混合物からの2,6-DANの回収率と付加物中の純度はそれぞれ標準偏差4.8, 3.6%で推算される。ジアルキルナフタレン異性体のチオ尿素付加物分解反応の
平衡定数
を用い, 2,6-異性体の分離に関するシミュレーションを行い, 付加物形成の条件と回収率および純度との関係を明らかにした。
抄録全体を表示