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クエリ検索: "戦略投票"
39件中 1-20の結果を表示しています
  • 2000年総選挙の分析
    川人 貞史
    選挙研究
    2002年 17 巻 58-70,205
    発行日: 2002/02/28
    公開日: 2009/01/22
    ジャーナル フリー
    本稿は,2000年総選挙における選挙制度•政治資金制度と政治的アクターたちとの間の相互作用の分析を行う。1994年の政治改革で導入された小選挙区比例代表並立制は,小選挙区制にウェイトがあるために2大政党制志向をもつ制度であるが,2000年における比例代表選挙の定数削減によりいっそう小選挙区制中心の制度になった。新選挙制度下の2度目の総選挙において,政党間の選挙協力や政治資金が選挙競争にいかなる影響を及ぼしたか,そして,通常,小選挙区制において顕著に見られる有権者の
    戦略投票
    がどのように選挙結果に影響を及ぼしているかについて,さまざまな集計データをもとに分析を進める。本稿の結論は,自公協力が自民党候補者の得票率を増加させていること,
    戦略投票
    が行われることによって生じる上位2候補への得票の集中も顕著にみられること,さらに,選挙協力によって自分の選挙努力によらない投票を得た自民党候補において,政治資金支出が本人の候補得票率を増加させる有意な効果が存在しなかったことである。
  • 勝又 裕斗
    年報政治学
    2020年 71 巻 1 号 1_368-1_392
    発行日: 2020年
    公開日: 2021/06/16
    ジャーナル フリー

    選挙制度は有権者の選好を議席に変換する重要な制度である。戦後日本においては衆議院、参議院、そして、地方議会の選挙に至るまで中選挙区制が採用されてきた。55年体制においてほぼ全期間で絶対多数を維持した自民党は、この選挙制度による恩恵を受けていたのであろうか。これに対して既存研究では、中選挙区制において大政党だけが候補者擁立戦略の問題に直面するため、中選挙区制は大政党にとって不利であると指摘された。後続の研究は自民党がこの課題を克服できたのか否かを巡って論争してきたが、これらの研究の多くが政党の得票率を所与として分析を行ってきたため、得票率自体が中選挙区制の影響を受けるという重要な視点が見落とされてきた。中選挙区制によって各政党の得票率がどのような影響を受け、それがどのように議席数に反映されたのかを分析した結果、自民党が総合的に少し議席を減らしたのに対し、社会党は総合的に大きく議席を減らしたことが明らかになった。中選挙区制は第二党である社会党に不利にはたらくことで結果的に自民党に有利にはたらいてきたのである。

  • ―人民民主党をめぐる戦略と選挙連合
    岩坂 将充
    年報政治学
    2021年 72 巻 1 号 1_62-1_80
    発行日: 2021年
    公開日: 2022/06/15
    ジャーナル フリー

    本稿では、比例代表制を採用するトルコの選挙制度の特徴の1つであり、これまで政党政治に多大な影響を与えてきた全国得票率10%という高い閾値を持つ阻止条項が、近年その機能―小党乱立と国内少数民族であるクルド人に基盤を持つ政党 (クルド系政党) の議会進出の阻止―を低下させている点に注目し、その要因を明らかにすることを目的とする。本稿で指摘する要因は、クルド系政党やそれをめぐる有権者の戦略、そして2018年議会選挙から導入された選挙連合制度である。とりわけ人民民主党 (HDP) は、2015年6月議会選挙に際し、従来のクルド系政党とは異なりトルコのさまざまなマイノリティの権利擁護へと方針転換をしたことで支持の拡大に成功、さらには閾値を超え議席を獲得することで、長く政権を維持している公正発展党 (AKP) の勢力拡大を抑制できることを示した。選挙連合制度の導入とHDPの連合不参加の決断はこうした状況を加速させ、2018年議会選挙では明確なかたちで有権者の

    戦略投票
    、すなわちAKP抑制のためにHDPの閾値超えを意図した 「均衡のための閾値保険」 ともいえる投票をもたらした。本稿の事例は、とりわけ閾値とそれに影響を受ける政党獲得議席に焦点をあてた
    戦略投票
    が、選挙連合制度とともに阻止条項の機能低下を導いたとことを示すものである。

  • 勝又 裕斗
    選挙研究
    2020年 36 巻 1 号 91-103
    発行日: 2020年
    公開日: 2023/11/16
    ジャーナル オープンアクセス
    戦前・戦後を通して広く利用されてきた中選挙区制は,政党による候補者擁立戦略と有権者による
    戦略投票
    をユニークな均衡へと導く。定数Mより1多いM+1人の有力な候補者によって議席が争われるというM+1法則はその理論的な予測である。この理論によると,当選者間の得票は均等化し,デュベルジェ均衡においては落選者間で得票が次点候補者に集中する。この検証には有効候補者数が指標として用いられてきたが,本研究ではその問題点を指摘する。そして,これに替わる新たな指標を提案し,選挙競争の歴史的変化を検討する。その結果,当選者間の得票の均等化が一度進行した後に不安定であった一方で,落選者間における得票の次点候補者への集中は一時的な揺れ戻しを経験しつつ進んでいったことが明らかになった。この結果からは,M+1法則が文脈とアクターの戦略的対応に影響されながら競争を規定していることが示唆される。
  • 集計データによる44道府県議選の分析
    名取 良太
    選挙研究
    2008年 23 巻 66-81,213
    発行日: 2008/02/28
    公開日: 2011/05/20
    ジャーナル フリー
    本稿では, 2007年4月に実施された44道府県議選に, 異なるレベル・異なる時期に実施された選挙結果が及ぼした影響について, 市区町村レベルで集計されたデータを用いて検討する。
    米国におけるmidterm lossの議論にみられるように, 有権者は, ある選挙において異なる選挙に反応した行動を選択することがある。日本の投票行動研究においても, そうした戦略的行動が観察されてきた。そこで, 本稿では, 2007年の道府県議選における自民党得票率の変動が, 2005年衆院選の結果と知事の党派性によって説明されるという予測を立てた。OLS分析の結果, 2005年衆院選における自民党の勝利が, 2007年選挙における得票率の低下に影響を及ぼすことが明らかになった。しかし知事の党派性については, 予測とは逆に, 自民党推薦知事がいる地域ほど, 自民党が得票率を上昇させたことが明らかになった。
  • 名取 良太
    公共選択
    2013年 2013 巻 60 号 64-78
    発行日: 2013年
    公開日: 2020/05/03
    ジャーナル オープンアクセス
    This study examines, using the municipality-level data, that the electoral system of the House of Councilors and Local assembly has an impact on changes in the vote share in the election of the House of Representatives. In Japan, a mixed system is adopted in the electoral system of the House of Representatives, the House of Councilors and Prefectural Assembly. In addition, because the mixed system of HoC and PA is composed of single member district and multi member district, inconsistent of district magnitude occurs in the municipality-level. Considering the split ticket voting and electoral strategy of political parties, inconsistent of district magnitude impede the expansion and strengthening of local organizations of the Democratic Party Japan. The result of an analysis indicate that the more district magnitude of HoC and PA increases, the more changes in the vote share of the Democratic Party is also increased. The results of this analysis suggest that the confl ict structure of the Liberal Democratic Party to non-Liberal Democratic Party has not changed with the 1955 regime.
  • ―白票を含む分割投票の規定要因について―
    舟木 律子
    年報政治学
    2016年 67 巻 2 号 2_185-2_207
    発行日: 2016年
    公開日: 2019/12/10
    ジャーナル フリー

    ボリビアでは1997年選挙より, 小選挙区比例代表併用制が導入された。同制度で有権者は, 同時に投票する2票のうちの1票を, 大統領と上院議員・下院比例区議員を選出し, もう1票を, 下院小選挙区議員を選出するために投じる。制度導入以降これまでに5回の選挙が実施され, 2票の投票先が異なる政党またはいずれかが白票となる分割投票が, 特に3回目の選挙以降の全ての回できわめて顕著にみられた。本稿はこのように, ボリビアの混合型選挙で確認される, 白票も含む分割投票の規定要因を明らかにする試みである。選挙区レベルのアグリゲートデータを用いた重回帰分析の結果, 制度導入後2回目までの選挙では, 候補者要因のみが影響を与えていたが, 2005年の社会主義運動党の躍進後, とりわけ2009年選挙後は, 候補者要因に加えて, 有権者の投票に対する有効性感覚が減退した結果として, 小選挙区での白票が顕著となったことを明らかとした。

  • 法則の適合度と選挙の競争環境との関係
    久保谷 政義
    年報政治学
    2017年 68 巻 2 号 2_248-2_269
    発行日: 2017年
    公開日: 2020/12/26
    ジャーナル フリー

    M+1法則によると, 有効候補者数は選挙区定数 (magnitude) に1を加えた値になる傾向を持つとされている。これは 「小選挙区制は二大政党制を導く」 とするデュベルジェの法則を拡張したものであり, かつての中選挙区制下の衆議院選挙のデータによって実証がなされてきた。

     中選挙区制下での選挙区定数は3~5であったため, それらの先行研究は, 定数3~5の範囲内でM+1法則を実証してきたといえる。これに対し, 都道府県議会選挙の場合は, 1人区から定数10超の選挙区まで, 定数の幅が広い。この点に着目し, 本稿は, 都道府県議会選挙のデータを用いた実証を通じて, M+1法則に関する研究を発展させることをねらいとする。

     また, 本稿では, 都道府県議会選挙では選挙区の数が国政選挙に比べて多い点を生かしつつ, 都市化や選挙区定数の変更といった選挙の競争環境がM+1法則の妥当性にどのような影響を及ぼすのかについても検討を加える。

  • 鬼塚 尚子
    選挙研究
    2002年 17 巻 113-127,206
    発行日: 2002/02/28
    公開日: 2009/01/22
    ジャーナル フリー
    近年我が国で実施された衆議院の選挙制度改革に際し,中小政党は次の三つの戦略-合同して大政党を作り政権奪取を目指す「合同戦略」,一貫して野党にとどまり「抵抗政党」としての存在をアピールする「非合同野党戦略」,自民党との連立政権に参加して与党としての政策実現や利益誘導を計る「非合同政権参加戦略」-を採ってこれに対処したと考えられる。しかし,第三の戦略を採った政党は選挙で苦戦していることが観察される。本研究ではこの理由として,(1)連立参加に伴う政策転換が潜在的な支持層の票を失わせること,(2)中小政党の与党としての業績は有権者に認知されにくいこと,(3)新選挙制度が自民党と連立を組む政党に不利に働くこと,(4)選挙協力を阻害する要因が自民党支持者側にあることを挙げ,個別に分析を行ったところ,おおむねそれぞれを肯定する結果を得た。
  • 谷藤 悦史
    日本世論調査協会報「よろん」
    1999年 84 巻 56-58
    発行日: 1999/10/31
    公開日: 2017/03/31
    ジャーナル フリー
  • 谷藤 悦史
    選挙研究
    1998年 13 巻 189-197,274
    発行日: 1998/02/28
    公開日: 2009/01/22
    ジャーナル フリー
    The British general election in 1997 was an election in which so many record were broken. The Conservative share of the vote, 31.4%, was the lowest since the first modern election after the First Reform Act in 1832. This was the first time the Conservative returned no MPs in Scotland. It was the second time that the Conservative secured no seats in Wales.
    The swing from the Conservative to the Labour was 10.0%. This was a second record after World War II. Blair could not beat the record of the Labour in 1945. But Blair was returned with 419 MPs and an overall majority of 179. This was the biggest in Labour's history. The Liberal Democrats experienced their best election for nearly 70 yeras. Their total, 46 seats, was last higher in 1929.
    This paper analyzes the Labour's landslide victory from three points of view. The first is the analysis of regional voting behavior. The second is the analysis by social demographic factors. The impacts of the election system as well as the boundary changes on election result is finally analyzed. Some reasons for the Conservatives defeat and the Labour victory are explained in final part.
  • ―議員行動と選挙とのつながり―
    築山 宏樹
    年報政治学
    2015年 66 巻 1 号 1_283-1_305
    発行日: 2015年
    公開日: 2018/06/10
    ジャーナル フリー

    This study investigates the effect of legislator behaviors on electoral outcome using the panel data of 47 prefectural assembly elections in Japan from 1975 to 2007. In particular, we focus on two legislator strategies to influence public policy under the institution of the Japanese local government: party control of the local governor through electoral support and bill introduction on their own. Theoretically, legislator behaviors would affect electoral fortune, whereas electoral forecast would affect legislator strategies. To address such an endogeneity problem, we adopt the Arellano–Bond estimator for dynamic panel data. The results controlling the endogeneity indicate that parties increase their electoral margins when affiliating with the governor and that the number of bills introduced by parties has no effect on their electoral margins. Furthermore, we discuss that the difference of the effectiveness between the two legislator strategies is caused by the institutional feature of the Japanese local government, where the governor dominates the policy-making process.

  • ―有権者・政治家・政党の比較可能な位置推定による空間投票の分析―
    勝又 裕斗
    年報政治学
    2016年 67 巻 1 号 1_208-1_232
    発行日: 2016年
    公開日: 2019/06/10
    ジャーナル フリー

    本稿では, 候補者レベルの政策位置を用いた空間投票を分析する。有権者や候補者の自己政策位置を尋ねるサーベイ調査においては, 回答者が回答の際に想定する政策空間が異質であるために回答された自己政策位置を直接に比較できないという問題が生じる。この問題を解決するために, 政党の政策位置の回答をブリッジ観察として自己政策位置をリスケーリングし, 有権者と候補者の政策位置を同一空間上に推定した。推定された政策位置を用いて近接性モデルに基づく空間投票の分析を行った結果, 有権者は政策距離の近い候補者に投票しやすいことが明らかになった。さらに, このような候補者レベルの空間投票のメカニズムを分析したところ, 有権者は候補者の所属政党との政策距離だけではなく, 候補者自身の政策位置との距離による投票選択を行っていることが明らかになった。このように有権者が候補者個人の政策位置を理解して投票を行っているという結果は, 空間投票研究に新たな知見を付け加えるものである。

  • 西川 美砂
    選挙研究
    2003年 18 巻 12-25,254
    発行日: 2003/02/28
    公開日: 2009/01/22
    ジャーナル フリー
    1990年代に入り,日本の衆議院および旧ソ連諸国で小選挙区比例代表並立制が使用され始めた。それにあわせ,政治学の分野でも並立制に関する研究が多く進められ,日本の衆議院における並立制にも大きな注目が払われてきた。日本では衆議院の他に,参議院においても二つの選挙制度を並存させた選挙が行われている。しかし,両院の制度は並立制という点で類似しているにもかかわらず,参議院をケースとした研究はまだ比較的少ないように思われる。これまでの衆院選に注目した並立制の研究では,政党の得票率が小選挙区部分と比例区部分でいかに連動しているかなどの研究が発表されている。しかしながら,参院選での非拘束名簿式のもとでは二つの選挙制度が連動するのかどうかは明らかにされていない。そこで,本稿では2001年参院選の結果を用いて,どのように二つの選挙制度間で連動が起きるのかを明らかにする。
  • *小島 健太郎
    経営情報学会 全国研究発表大会要旨集
    2013年 2013f 巻 E3-1
    発行日: 2013年
    公開日: 2014/02/03
    会議録・要旨集 フリー
    本稿の目的は,提携形成状況を表現するモデルであるヘドニックゲームの戦略形ゲーム表現を与え,提携形成状況に対する戦略的分析を可能にさせることである。ヘドニックゲームから戦略形ゲーム表現を与える方法として,ヘドニックゲームにおける各主体の持つ提携に対する選好を戦略として捉える。また,全ての主体の戦略の組に対して,一つの提携構造を与えることにより,戦略形ゲームの結果を定義する。さらに,あるヘドニックゲームにおける安定性概念とそのヘドニックゲームの戦略形ゲーム表現における安定性概念の間にどのような関係が成り立つかを考察する。
  • 今井 亮佑
    年報政治学
    2011年 62 巻 2 号 2_11-2_32
    発行日: 2011年
    公開日: 2016/02/24
    ジャーナル フリー
      On average, each of two major parties’ candidates spends about ten to twenty million Yen for electoral campaign in Japan. Does this campaign spending really change their electoral fortunes? This paper examines the relationship between money and votes after electoral reform in Japan. It is predicted that the effects of campaign spending on vote share are getting smaller because of the ‘nationalization’ of voting behavior. However, the results of statistical analysis show that the size of effects has been almost constant over the four consecutive elections, 2000 to 2009. In this regard, we cannot find any indications of the effects of electoral reform.
  • 富山 慶典, Yoshinori TOMIYAMA
    行動計量学
    1988年 16 巻 1 号 30-38
    発行日: 1988/09/30
    公開日: 2010/06/28
    ジャーナル フリー
    In order to win the election, a politician has to appeal himself to a number of different voters in the electorate. As a means to do so, the use of ambiguity may be effective. In this paper two notions of ambiguity are introduced. One notion of ambiguity is equated with voter uncertainty: a politician takes an ambiguous stance on an issue by announcing to the voters a lottery over the positions he might take on that issue. The other notion of ambiguity is equated with multiple meanings: a politician takes an ambiguous stance on an issue if his rhetoric admits of different meanings in different contexts. These notions of ambiguity are formalized, and their effects on the decision problems of voter and politician are formally analyzed. Some further problems are also discussed.
  • 谷口 将紀
    年報政治学
    2005年 56 巻 2 号 11-24,249
    発行日: 2005年
    公開日: 2010/04/30
    ジャーナル フリー
    以上本稿は, 2003年の総選挙時点での衆議院議員各候補者の政策位置を, 東京大学・朝日新聞社共同政治家調査データを用いて推定, 分析した。カテゴリカル主成分分析に投入した20種類の争点態度は, ひとつの「保守-リベラル」対立軸に要約できる。各党候補は, 保守からリベラルに向かって, 自民党, 民主党, 公明党, 社民党, 共産党という順番に並んでいる。同一選挙区内における自民, 民主候補の相対的位置についても, 自民=保守, 民主=リベラルという差が認められる。確かに民主党のオブジェクトスコアの分散は大きく, 冷戦下のような世界観に至る違いを自民-民主両党に期待するのは無理だが, さりとて自民党と民主党を双子の兄弟に準えるのは過言であろう。
    各候補者の政策位置を決定する要因としては, 前述の所属政党に加えて, 有権者の選好や候補者の属性が影響力を持っている。選挙結果に対する政策位置の影響に関しては, とくに民主党候補について, 政策位置が保守的 (リベラル) になるほど, 得票率が高く (低く) なることが明らかになった。候補者が所属政党による政策の違いを保ちながら, 個人的信条や選挙民の選好に合わせて自らの政策位置を調整することによって, 同一党内でもある程度の政策の多元性が存在する「輪ゴム効果」が, 日本の政党にも観察され始めたようだ。
  • 加藤 淳子, 境家 史郎, 武居 寛史
    年報政治学
    2017年 68 巻 2 号 2_173-2_203
    発行日: 2017年
    公開日: 2020/12/26
    ジャーナル フリー

    本稿では, 筆者らが最近行った脳神経科学実験を題材とし, 政治学における脳神経科学の方法の意義を考える。社会科学や哲学ではこれまで, 「無知のヴェール」 下で社会的平等につながる選択を行う動機付けとして, 「社会における正義の実現」 と 「個人のリスク回避」 という, 2つの相対立する想定がなされてきた。筆者らは, 平等の選択の背後にある神経基盤を解明することにより, この2つの動機付けが, 「今まで経験したことのない心理状態―他者の心理状態や将来の心理状態―に自身を置き想像する」 という神経過程を共有していることを明らかにした。このように脳神経科学実験の方法は人の行動の理解に資する一方, 政治学の行動分析の知見が神経科学実験に貢献することもわかった。特に, より現実社会の文脈に即した実験デザインや感情温度計などの行動指標による心理的態度の計測は, 神経科学実験に新たな視点を加えるものであり, 政治学の方法の有効性を示している。政治学の方法と脳神経科学の方法の融合により, 政治現象の理解がさらに深まる可能性が示された。

  • ―選挙制度と執政制度による説明―
    曽我 謙悟
    年報政治学
    2011年 62 巻 2 号 2_122-2_146
    発行日: 2011年
    公開日: 2016/02/24
    ジャーナル フリー
      This chapter analyzes the determinants of party systems in Japanese prefectural legislatures. We can classify four types of prefectural legislatures. The first is one-party dominant type. The effective-number of parties in such prefectures has been constantly under two. The second type resembles the party system of national diet before 1994. Their ENP has been stable between two and three. Some prefectural legislatures have been highly fragmented so that their ENP goes up more than three. In the fourth type, we see that party systems are highly disunited after late 1990s. We explain these differences among prefectures and time-series changes by electoral institutions, relations between legislators and governors, and relations between national and local party members. Statistical analyses on time-series cross sectional data of postwar 47 prefectures reveal that large magnitude of electoral districts, independent governors, non-concurrent elections of legislators and governors, and fragmented national level party systems in the prefecture cause the fragmentation of party systems in the prefectural legislatures.
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