症例は25歳男性. 動悸, 気分不快出現後の
既視感
, 意識消失, 強直間代痙攣にて近医を受診した. てんかんによる意識消失が疑われたことからカルバマゼピン (CBZ) を処方され, 精査のため当院紹介受診となった. CBZ内服後は動悸, 意識消失, 痙攣症状は消失していた. 脳波では安静時に陽性棘波を認め, 側頭葉てんかんが疑われた. それ以外の検査では明らかな異常を認めず, 意識消失の原因は側頭葉てんかんによるものと考えられた. CBZ中止後, 再び動悸と
既視感
を自覚するようになり, モニター上, 約9.0秒の心停止と痙攣, 意識消失を認めた. ゾニサミド (ZNS) 内服開始によりいずれの症状も消失した. このことから, 意識消失は側頭葉てんかんに伴う洞停止が原因の可能性が高いと考えられた.
てんかんが一過性意識消失の原因となることは比較的よく知られているものの, 心停止の原因となることに関しては認知が低い.
今回我々はてんかんが心停止および意識消失の原因と考えられた稀な症例を経験したので報告した.
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