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クエリ検索: "日本アロマ環境協会"
77件中 1-20の結果を表示しています
  • 富樫 盛典, 張 紅葉, 三宅 亮
    アロマテラピー学雑誌
    2025年 26 巻 1 号 1-9
    発行日: 2025/02/07
    公開日: 2025/02/07
    ジャーナル フリー

    精油の香りの記憶を助ける観点から,揮発特性を蒸気圧と関連付けたマップ創生を本研究の目的としている。揮発特性計測には,計測チューブの精油リザーバーから15 mmと30 mmに気体センサ1と2を設置した新たなシステムを開発した。本システムでラベンダーの揮発特性を60秒間計測し,センサ1の最大値,センサ1と2の傾き比,およびセンサ1の電圧残存率の3つの指標を抽出した。このうち,センサ1の最大値で,初期香りの到達量に相当するFirstを縦軸に,センサ1と2の傾き比で,遅れてくる香りの揮発特性に相当するDelayを横軸にした揮発特性FirstDelayマップの創生を試みた。さらに,移流拡散シミュレーションにより,FirstDelayマップと蒸気圧について,以下に示す結論が得られた。移流拡散速度が大きい,すなわち蒸気圧が高い成分が多い場合にはマップの上方に,低い成分が多い場合には下方の分布となる。また,初期香りの後に遅れてくる香りの蒸気圧の大きさや量に応じて,マップ横軸の傾き比が変化する。すなわち,遅れてくる香りの蒸気圧が低く,あるいは量が多いほど,マップ右方への分布となる。

  • 熊谷 千津, 川口 光倫, 齋藤 碧
    アロマテラピー学雑誌
    2018年 19 巻 2 号 10-21
    発行日: 2018/05/31
    公開日: 2018/05/31
    ジャーナル フリー

    精油の香りを纏うライフスタイルが人の魅力に与える影響を明らかにするため,二つの実験を行った。

    一つ目の介入実験では,参加者である女子大学生28名が3群に分かれ,精製水,50%希釈ベルガモット精油,0.5%希釈ローズ精油のいずれかを身につけて約5週間生活を行った。介入期間前後で参加者の不安(STAI, State-Trait Anxiety Inventory),対人的行動特性(NTI-II, Nursery Trait Inventory-II),気分・肌状態の実感を測定した。

    二つ目の顔画像評価実験では,介入実験参加者の介入期間前後における顔画像を,大学生の男女20名により評定した。

    介入実験では,ローズ精油群でSTAI特性不安が介入により有意に減少した。また,NTI-IIについては,ローズ精油群で「行動力」,「援助的活動性」,「情緒的受容性」の各平均値が有意に増加した。ベルガモット精油群で気分と肌状態の実感に関する項目,ローズ精油群で肌状態の実感に関する項目が有意に向上した。

    顔画像評価実験では,ベルガモット精油群で一部の評定項目が介入により有意に向上した一方,ローズ精油群ではすべての評定項目が介入により有意に向上した。また,介入後の顔画像の方を良いと選択した割合が対照群48.1%,ベルガモット精油群61.0%,ローズ精油群77.0%となった。

    本研究の結果,参加者が継続的に精油の香りを使用することで,内外面の変化とともに顔の魅力度が高まる可能性が示された。

  • 富樫 盛典, 張 紅葉, 三宅 亮
    アロマテラピー学雑誌
    2025年 26 巻 1 号 10-23
    発行日: 2025/02/07
    公開日: 2025/02/07
    ジャーナル フリー

    アロマテラピー検定精油の香りテストの対象である17種類の精油の揮発特性の計測を試みた。対象精油は,ジュニパーベリー,フランキンセンス,ローズマリー,ユーカリ,レモン,スイートオレンジ,グレープフルーツ,ティートリー,スイートマジョラム,ローマンカモミール,ゼラニウム,ベルガモット,ラベンダー,レモングラス,クラリセージ,ペパーミント,およびイランイランである。計測に先立ち,精油の構成成分と蒸気圧を調査して一覧表にまとめた。精油の揮発特性の計測は,著者らの開発システムで3600秒間を各5回実施した。計測結果から,初期香りの到達量First,遅れてくる香りの揮発特性Delay,および香りの持続性Lastingの3つの指標を用いた2つのマップを創生し,以下の結論が得られた。FirstDelayマップでは,精油の蒸気圧の高低がマップの上下に対応する。また,遅れてくる香りの蒸気圧が低い,あるいは量が多いほど,マップの右方の分布となる。最終的に,FirstDelayFirst–Lastingの2つのマップにより,17種類の精油揮発特性を推測することができることを確認した。

  • 沢村 正義, 佐藤 彰洋, 芦澤 穂波, 中島 悦子, 石鍋 佳子, 浅野 公人, 東谷 望史
    アロマテラピー学雑誌
    2021年 22 巻 2 号 37-46
    発行日: 2021/06/25
    公開日: 2021/06/25
    ジャーナル フリー

    本研究は,アロマテラピー向けの22種類のキャリアオイルに存在するビタミンEおよびフィトステロール含量を明らかにしたものである。キャリアオイル中のビタミンEの8種類の同族体であるα-, β-, γ-, δ-トコフェロール,α-, β-, γ-, δ-トコトリエノール,およびフィトステロールであるカンペステロール,スチグマステロール,β-シトステロールを選択的イオンモニタリング(SIM)モードを使ったガスクロマトグラフィー-質量分析(GCMS)により分析した。抗酸化能,皮膚の角質化の防止,抗炎症などの機能活性を有しているビタミンEおよびフィトステロールが,多くのキャリアオイルで含量の違いはあるが検出された。22個のオイル試料のうち,トコフェロール含量がもっとも高かったのは有機カレンデュラオイルであり,次いで小麦胚芽オイル,有機アルニカオイルであった。トコトリエノールは13種類のキャリアオイルで検出された。グレープシードオイルは,ビタミンEの8種類の同族体をすべて含有するキャリアオイルであり,また,α-トコトリエノールの含量がもっとも高かった。フィトステロールに関しては,小麦胚芽オイル,ホホバオイル・バージンのみならず,ほとんどのオイルでも顕著に多く含まれていた。本研究の結果から,トリートメントにおけるキャリアオイルの役割は皮膚に対する物理的効果に加えて,ビタミンEおよびフィトステロールによる生理的効果の可能性が示唆された。

  • 諏訪 竜一, 大見謝 恒太, 西原 隆, 高橋 昌弘, 住 秀和, 殿岡 祐樹, 河野 恵美子
    アロマテラピー学雑誌
    2020年 21 巻 3 号 19-23
    発行日: 2020/06/26
    公開日: 2020/06/30
    ジャーナル フリー

    沖縄県における海洋汚染の主たる原因の一つとして,畑地からの赤土流出が挙げられる。これらの赤土流出保全のため沖縄県においてはベチバー(Vetiveria zizanioides)がグリーンベルトとして広い地域に植栽されている。本研究では,このグリーンベルトとして栽培がされているベチバーから精油の採油が可能であるか,また,市販の精油との比較,さらに採取時期による採油率の変化および成分変動の有無について検証を行った。本研究で比較のために用いた二つの市販精油(インドネシア産およびスリランカ産)では精油中の組成成分の構成が異なっていた。採油を行った精油中の特長では,最も主要な成分ではkhusimolやvetiselinolなどのアルコール類が主要であり,この傾向はインドネシア産と同様であった。また,初夏と初冬における採油率(乾物重あたり)を比較した場合,初夏において0.62%であるのに対して初冬においては0.34%であった。一方,精油製造時に季節を問わず,構成成分の変動が比較的小さかった。このため,採油時期に起因する品質の不安定の懸念が少ないことが示された。今後,グリーンベルトを用いた精油の製造が進むことにより,一次産業とアロマ業界が複合することによる環境保全の促進につながることが想定される。

  • 平川 知子, 久米 千広, 木浪 由菜
    におい・かおり環境学会誌
    2020年 51 巻 2 号 116-123
    発行日: 2020/03/25
    公開日: 2021/11/14
    ジャーナル フリー

    私たちの身の回りには様々な空間が存在し,それぞれにおいて,かおりにより快適な空間を作りたいとするニーズがある.例えばパーソナルな空間では,暮らしの中に存在するにおい対策を精油で行いたいとする機能的な需要などがあり,パブリックな空間では,宿泊や商業施設など,各空間において快適に過ごすなどの目的をもって,精油による快適なかおり空間演出を行うニーズがある.生活の木ではこうした空間演出,「環境芳香」を提案している.今後ますます精油の機能性が明らかとなり,様々な環境芳香のニーズに対応していくものと予想される.

  • 沢村 正義, 鈴木 悟, 小原 典子, 佐藤 美夢, 東谷 望史
    アロマテラピー学雑誌
    2016年 17 巻 1 号 39-47
    発行日: 2016/09/30
    公開日: 2016/09/30
    ジャーナル フリー

    本研究は,精油の安全使用に関するアロマテラピー情報を提供することを目的として,光毒性をもつフロクマリンの定量分析を行ったものである。ガスクロマトグラフィー-質量分析(GC-MS)において,内部標準としてp-クロロベンゾフェノンを使用し,また選択イオンモニタリング(SIM)モードで分析を行った。光毒性をもつソラレン,キサントトキシン,ベルガプテン,イソピムピネリン,そしてクマリン類の一種で光毒性のないオーラプテンの正確な一括分析法を確立するために9種類の質量イオンを選択した。分析した116種類の市販精油のうち,フロクマリンはセリ科およびミカン科の精油試料で,それぞれ4種類,9種類検出された。一方,オーラプテンは6種類のミカン科精油で検出された。

  • 沢村 正義, 芦澤 穂波, 浅野 公人, 長野 桃太, 北岡 雄一
    アロマテラピー学雑誌
    2025年 26 巻 1 号 42-49
    発行日: 2025/02/07
    公開日: 2025/02/07
    ジャーナル フリー

    市販のベルガモット(Citrus bergamia Risso)精油に含まれるLinaloolとLinalyl acetateのエナンチオマー分析を行うことによって,ベルガモット精油の純度の検証を行った。市販試料としては,34種類が果皮圧搾油,1種類が果皮水蒸気蒸留油であった。また,ベルガモット果実から実験室レベルの圧搾油およびヘキサン抽出油を調製し試料とした。これらに加えて,長期室温保蔵した3種類の圧搾油およびラセミ体のLinalool標準試薬についても分析した。分析は選択的イオンモニタリング(SIM)モードを使ったガスクロマトグラフィー-質量分析計によりキラルカラムを用いて行った。設定質量はLinalool, Linalyl acetateに共通して,m/z 71.0, 93.0, 80.0, 121.0とした。(S)-(+)-Linaloolに対する(R)-(-)-Linaloolのエナンチオマー割合は,(R)-(-)-Linaloolが多くの市販の圧搾油,蒸留油,そして実験室レベルの調製試料および長期室温保蔵試料においても98.0%ee以上と圧倒的に高いことが明らかとなった。このことはエナンチオマー割合が種々の因子によって影響されず変化しないことを示唆している。結論として,(R)-(-)-Linaloolのエナンチオマー割合から判断して,市販ベルガモット精油にはエナンチオマー純度の高い精油と判断されたものが29種類,残りの9種類の精油は純正な精油とは判断できなかった。

  • 鈴木 克彦
    におい・かおり環境学会誌
    2009年 40 巻 2 号 109-113
    発行日: 2009/03/25
    公開日: 2016/04/01
    ジャーナル フリー
  • 上野 節子, 菱川 望, 松本 菜見子, 林 紗織, 涌谷 陽介, 田所 功, 武本 麻美, 野村 恵美, 佐々木 諒, 森原 隆太, 山下 徹, 高尾 芳樹
    日本頭痛学会誌
    2022年 49 巻 1 号 215-222
    発行日: 2022年
    公開日: 2022/09/30
    ジャーナル フリー

      女性頭痛患者に対するアロマテラピーの臨床的効果について,オープンラベル・クロスオーバー法を行った.対象は片頭痛患者24例で2例は緊張型頭痛を伴っていた.平均年齢は38.3±12.9歳であった.アロマテラピーに用いる精油は,ラベンダーかゼラニウムを自由選択させた.結果,アロマテラピーは月平均頭痛回数を減少させる傾向を示し,急性期頭痛治療薬の使用率を4.4%減少させ,仕事・家事に影響を与えた人数が減少した.月経関連期間における頭痛も日数・回数・程度ともに軽減傾向を示し,睡眠では入眠時間を約5分間短縮するなど不眠スコアの軽減もみられた.アロマテラピーは頭痛の非薬物療法として有効である可能性が示唆された.

  • 山本 芳邦
    MEDCHEM NEWS
    2010年 20 巻 4 号 32
    発行日: 2010/11/01
    公開日: 2020/11/25
    ジャーナル フリー
  • ―実施時間の差異によるランダム化比較試験―
    見谷 貴代, 小宮 菜摘, 築田 誠, 細名 水生
    日本看護技術学会誌
    2018年 17 巻 125-130
    発行日: 2018年
    公開日: 2018/12/20
    ジャーナル フリー
     本研究は, 5分間と10分間のハンドマッサージの実施時間の違いによる生理的および心理的効果を明らかにすることを目的として健常成人女子学生23名を対象にランダム化比較試験を行った. 基本属性, ハンドマッサージ実施前後の体温, 脈拍, 血圧, 唾液アミラーゼ, 心拍変動スペクトル解析, 疲労・ストレス・リラックス度 (VAS) , 気分状態 (POMS) について調査した.
     ハンドマッサージの実施前後で, 生理的指標では5分間群で脈拍と収縮期血圧が, 10分間群で脈拍と拡張期血圧が低下したが, いずれも数値の変化はわずかであった. 心理的指標では, 5分間群でVASの疲労度 (身体, 心理面) , ストレス度が低下し, リラックス度が上昇した. POMSの気分状態では, 緊張-不安, 抑うつ-落ち込み, 怒り-敵意, 疲労, 混乱が低下した. また, 10分間群ではPOMSの緊張-不安, 活気, 疲労が低下した.
     本研究では, 5分間というごく短時間の実施でもリラックスなどの心理的効果が得られ, 看護の現場において短時間のハンドマッサージが有用である可能性が示された.
  • 熊谷 千津, 山川 義徳
    アロマテラピー学雑誌
    2017年 18 巻 1 号 1-7
    発行日: 2017/08/23
    公開日: 2017/08/23
    ジャーナル フリー

    われわれは,ゼラニウム精油嗅覚刺激がプレ更年期女性のQOLに与える効果を明らかにする目的で,40代女性30名を対象に実験を行った。ゼラニウム精油は携帯型簡易芳香器を用いて,2月経周期の間,毎日吸入した。介入前後にMRIを撮像し大脳皮質灰白質の量(GM-BHQ),神経線維の異方性(FA-BHQ)を分析した。質問紙はピッツバーグ睡眠調査票,STAI, POMS2, VASを用いて調査した。VASにおいては,若々しさに関する4項目,生活の充足に関する6項目を評価した。解析は,実験開始より前に介入をスタートした2例を除外し28例で行った。介入によって,若々しさが増加したと感じた女性ほどGM-BHQが増加し,アンチエイジング効果が脳構造に反映している可能性が示唆された。さらに,食事が美味しくとれるなどの生活の充足度が低いと感じている女性ほど,ゼラニウム精油の嗅覚刺激によるFA-BHQの改善効果が表れやすいことが示唆された。今後は例数を増やし対照群を設けてプレ更年期のQOLに与えるゼラニウム精油嗅覚刺激の効果を追究していきたい。

  • 小谷 泰子, 神保 太樹
    アロマテラピー学雑誌
    2016年 16 巻 2 号 37-41
    発行日: 2016/03/31
    公開日: 2016/03/31
    ジャーナル フリー
    口腔不快感,嚥下障害,構音障害,齲蝕や歯肉炎の多発などを引き起こすドライマウスの治療は保湿剤の使用など対症療法が多いものの,唾液の役割を考えると唾液分泌量を増加させる方法が望まれる。唾液量の増加効果を持つ精油を用いたアロマテラピーにてドライマウスが軽減するかどうかを,9例のシェーグレン症候群症例を含む20症例(64.3±10.8)を対象に検討した。その結果,アロマテラピー後に唾液分泌量が増加した症例,口腔不快感およびストレスの指標となる唾液中のアミラーゼが減少している症例が認められた。今後,アロマテラピーの適応や長期的な使用に伴う効果を検討する必要があると考えられた。
  • 佐藤 苑子, 渡部 誠二, 柳本 憲作, 宍戸 道明
    科学・技術研究
    2017年 6 巻 1 号 25-30
    発行日: 2017年
    公開日: 2017/06/30
    ジャーナル フリー
    現代社会において過度なストレスを抱え、心身に影響を及ぼす人が増加している。ストレスを緩和させる方法としては、音楽鑑賞やアロマテラピーが挙げられる。これらの方法は、手軽に行えることから、補完代替医療への応用が期待されている。しかし、その効果は官能評価に依存している。本研究では、近赤外線分光法によって、安静時およびストレス負荷時から聴覚・嗅覚刺激を生体に与え、前頭前皮質のOxy-Hb濃度を計測し、生体への影響の評価を行った。被験者10名(男性6名、女性4名)に対し、①安静と刺激を交互に与える実験、②ストレスと刺激を交互に与える実験を行った。安静時間は1から10の数を繰り返し数えることを求めた。刺激時間では、聴覚刺激は1/fゆらぎをもつ3種類の音楽を聴取させ、嗅覚刺激はリラックス効果を有するとされる3種類の精油を吸入させた。ストレス時間は百マス計算を行わせた。Oxy-Hb濃度変化は、実験①の聴覚刺激および実験②の全刺激において、時間の経過と共にその濃度が減少していた。さらに、各時間におけるOxy-Hb濃度の平均値を求め、その差を比較し各刺激の評価を行った。実験①では、聴覚刺激時は安静時よりもOxy-Hb濃度が減少した。実験②では、Oxy-Hb濃度はストレス時よりも全刺激において減少が確認された。また、両実験におけるOxy-Hb濃度差を、t検定を用いて比較した結果、全刺激における左前頭前皮質においてOxy-Hb濃度の有意差が確認された(p < 0.05)。よって、本実験で使用した刺激は、ストレス緩和において有効性があることが示唆される。
  • 鈴木 克彦
    におい・かおり環境学会誌
    2010年 41 巻 2 号 120-124
    発行日: 2010/03/25
    公開日: 2016/04/01
    ジャーナル フリー
  • 伊藤 仁久, 大西 雄己, 三澤 紅, 藤阪 芽以, 友廣 教道, 松川 哲也, 遠藤 雄一, 梶山 慎一郎, 重岡 成
    アロマテラピー学雑誌
    2023年 24 巻 2 号 14-20
    発行日: 2023/07/15
    公開日: 2023/07/18
    ジャーナル フリー

    精油の皮膚の健康と美に関する機能性を探索することを目的に,アロマテラピーの分野で汎用される精油30種の終末糖化産物(Advanced Glycation End Products : AGEs)産生抑制およびチロシナーゼ阻害効果を評価した。その結果,ローズマリー(Rosmarinus officinalis)精油にAGEs産生抑制効果を見いだした(IC50:124 µg/mL)。また,メリッサ(Melissa officinalis)精油にチロシナーゼ阻害効果が認められた(IC50:276 µg/mL)。ローズマリー精油はAGEs産生抑制に基づくアンチエイジング効果,メリッサ精油はチロシナーゼ阻害に基づくメラニン産生抑制効果をもつ可能性があり,今後の香粧品あるいは機能性食品の分野での活用が期待される。

  • 水上 勝義, 熊谷 千津
    アロマテラピー学雑誌
    2024年 25 巻 1 号 12-18
    発行日: 2024/03/31
    公開日: 2024/03/31
    ジャーナル フリー

    本研究では,日常生活における精油の使用頻度と認知機能との関連を明らかにすることを目的として調査解析を行った。10~80代までの男女,精油使用群602名(平均48.0±9.9歳),非使用群559名(平均50.9±14.8歳)を対象に,健康状態と精油の使用状況に関するアンケート,認知機能テスト「のうKNOW®」(エーザイ株式会社)を実施した。解析は,精油の使用頻度により精油使用群を高頻度群と低頻度群に分け,高頻度群,低頻度群,非使用群と,脳年齢,意欲・活動性との関係を一元配置分散分析,多重比較,重回帰分析により年代ごとに解析した。結果,脳年齢において,使用頻度と年代に有意差を認め(F=1.851, p=0.048),60代において,高頻度群は非使用群に比して脳年齢が有意に若かった(p=0.006)。また,意欲・活動性も同様に3群間で有意差を認め(F=5.022, p=0.008),高頻度群は非使用群に比して有意に意欲的・活動的であった(p=0.005)。重回帰分析の結果,60代の脳年齢を従属変数として,精油の使用頻度が有意な独立変数として認められた(β=-0.169, p=0.046)。本研究により,精油を取り入れた日常生活が中高年の脳の機能に有効である可能性が示唆された。

  • 熊谷 千津, 永山 香織
    アロマテラピー学雑誌
    2015年 16 巻 1 号 7-14
    発行日: 2015/10/08
    公開日: 2015/10/08
    ジャーナル フリー
    小学校高学年児童の計算力と気分に与える精油の影響を明らかにする目的で,ペパーミント油とオレンジ・スイート油を用いてランダム化クロスオーバー比較試験を行った。対象は小学6年生(11,12歳)の男子女子,合計38名であった。対象児童をランダムに2群に分け,ペパーミント油の検証を行う群,オレンジ・スイート油の検証を行う群とした。また,各群ともさらに2群に分け,実験順序による影響を消去するため,ウォッシュアウトの休憩時間を挟み,対照とする精製水と精油の実験順序をクロスオーバーさせた。気分の変化は二次元気分尺度(TDMS-ST),および,VASで評価し,計算力は10分間の百ます計算(1桁,加法)の作業数と誤答数を評価した。さらに,語彙検索力の評価として語想起課題を行った。精油の香り刺激は,精油を滴下したプレートを鼻に近づけ30秒間吸入した後,机上にプレートを置いて芳香浴を持続した。ペパーミント油は,精製水の場合と比較して,集中している,頭がスッキリする,元気がある,の3項目でVASスコアが有意に向上した。オレンジ・スイート油では,精製水の場合と比較して,イライラしていない,やる気がある,不安でない,きびきびしている,頭がスッキリしている,の5項目でVASスコアが有意に向上した。また,TDMS-STでは,オレンジ・スイート油において,活性度,安定度,快適度で有意な向上が確認された。計算力では,百ます計算作業数の平均値は,精製水,ペパーミント油,オレンジ・スイート油の場合ともに変化は見られなかった。誤答数の平均値は,有意差は認められなかったが,ペパーミント油では,精製水の場合の4.2から3.2に24%減少し,オレンジ・スイート油では精製水の場合の4.4から3.2に27%減少した。誤想起課題では,ペパーミント油,オレンジ・スイート油ともに有意な変化は見られなかった。
    以上のことから,ペパーミント油,オレンジ・スイート油ともに,頭がスッキリするなど,小学生の気分に好影響を与え,計算ミスが減少する傾向があることが明らかとなった。
  • 鈴木 龍一郎, 山下 息吹, 佐野 愛子
    アロマテラピー学雑誌
    2024年 25 巻 2 号 19-24
    発行日: 2024/07/30
    公開日: 2024/07/30
    ジャーナル フリー

    本研究では,肌荒れや脱毛の原因の一つとして考えられている5α-リダクターゼの働きを阻害する精油の探索を行った。精油は市販されている30種類を評価した。その結果,サンダルウッド(Santalum album),ジャーマンカモミール(Matricaria recutita),パチュリ(Pogostemon cablin),ローズ(アブソリュート)(Rosa × damascena)に5α-リダクターゼの阻害効果が認められた。そこで活性の認められた精油に含まれている主要成分を確認するため,GC-MS分析を実施したところ,ジャーマンカモミールにはbisabolol oxide A,ローズ(アブソリュート)には2-phenylethyl alcohol,パチュリにはpatchouli alcoholが主要成分として検出された。次にこれらの成分の5α-リダクターゼ阻害活性を評価したところ,patchouli alcoholのみが活性を示し,その50%阻害濃度は29.8 µg/mL(133 µM)であった。このことからパチュリの5α-リダクターゼ阻害活性の一部はpatchouli alcoholが担っていると考えられるが,精油が示す生物活性は含まれているさまざまな成分の複合的な作用も考えられるため,精油の品質評価においては,その他の成分についても着目する必要がある。

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