脆弱X症候群の診断および治療に資する目的で, 本邦における診断検査の利用状況をアンケート調査した. 全国の知的障害関係 (入所および通所) 施設, 国立療養所を含む基幹病院あわせて1,000施設から517通の回答がよせられた. これまで本症候群の診断検査を利用したことのあるものは全体の18.4%であり, 現在のところ知的障害関係施設といった福祉施設よりも医療施設において多く利用されていた. 検査による診断確定数はのべ56人であり, 検査実施数に対する陽性率は2.2%, 今回の全回答における施設利用者に対する陽性率は0.13%であった. また, 検査の利用経験が今後の検査への要望を強めていたが, これまで検査を行ったことのない施設や医師からも今後の検査を依頼したいとの回答が得られた. 以上より知的障害に関わる多くのスタッフに対して本症候群の関心を高めることが, その検査システムを構築していく上での留意点となると考えられた.
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