大腸がん(colorectal cancer: CRC)は,世界中でがんによる死亡原因の上位に挙げられ,高齢化に伴い患者数は増加傾向にある.日本では新規患者のうち,約6割が70歳以上と高齢者の割合が高くなっている.切除不能転移性大腸がん(metastatic colorectal cancer: MCRC)に対する治療として,フッ化ピリミジン系抗がん剤(fluoropyrimidine: FP)をベースとし,オキサリプラチン(oxaliplatin: OX)やイリノテカンに分子標的薬であるベバシズマブ(bevacizumab: BEV)などを組み合わせた多剤併用療法が広く用いられているが,高齢者に対してOXを併用することの意義については,明確なエビデンスが不足している.そこで,OX追加の有効性と安全性を検討した,
日本臨床腫瘍研究グループ
による多施設共同無作為化第Ⅲ相試験(JCOG1018試験)を紹介する.
なお,本稿は下記の文献に基づいて,その研究成果を紹介するものである.
1) Takashima A. et al., J. Clin. Oncol., 42, 3967-3976(2024).
2) Seymour M. T. et al., Lancet, 377, 1749-1759(2011).
3) Lonardi S. et al., J. Clin. Oncol., 41, 5263-5273(2023).
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