ロジスティクスも物流も顧客サービス・ミックスの重要な要素である。サービスである以上、サービス性 (Serviceability) が問題となってくる。しかし、未だサービス性について科学的に広く認められた定義は存在しない。一方、サービス性と関連のある保全性 (Maintainability) については、信頼性工学と関連して、保全性工学がある。そして、このサービス性、保全性および、広義の信頼性を支援するものがロジスティクス・リソースである。
この様な観点からすると、サービス性、保全性、信頼性は、ロジスティクス・リソースのアベィラビリティに大きく影響されるものと考えられる。従って、製品又はシステムのアベィラビリティも又ロジスティクスアベィラビリティに依存する (Depend) ことになる。この意味で、ロジスティクスは、信頼性、保全性、サービス性、アベイラビリティを含む総合的な概念としての「デペンダビリティ」の重要な要素である。すなわち、ロジスティクス・リソースによる支援性が確保されない限り、製品、又はシステムのデベンダビリティは保証されないからである。このデベンダビリティとは、広義の信頼性概念として、IEC (国際電気標準会議) が「IEC300」なる文書で次のように定義している。
デベンダビリティ : アベイラビリティ特性とそれに影響を与える要素、すなわち信頼度特性、保全度特性および保全支援特性 (メンテナンス・ロジスティクス) を記述するに用いる統括的用語である。
以上のような観点から、顧客に対するロジスティクス支援性 (Logistics Supportability) は、顧客サービスの最も重要な要業と考えられる。したがって物流ロジスティクスにおけるデベンダビリティとは「ロジスティクス・アベイラビリティ特性」とそれに影響を与える要業、すなわちアイテムの需要度特性、在庫サービス支援度特性、配送サービスの信頼度・保全度特性などを記述するに用いる統括的用語として認識できる。そこで、物流ロジスティクスデベンダビリティ概念を、物流ロジスティックサービスとそのシステム有効性 (System Effectiveness) から構成され、測定・評価するものとし、次のように定義してみた。
〈物流ロジスティクス・デベンダビリティ〉
物流ロジスティックサービス :
顧客の需要アイテムを、与えられた条件において、規定の期間内に利用可能な状態で納入完了し、顧客の需要を満足させるすべての処置および活動。
物流ロジスティックサービスのシステム有効性 :
顧客の需要アイテムを、与えられた条件において、規定の期間中、利用可能な状態に維持し、顧客の需要を充足する確率。
本研究は、このような視点から広義のロジスティクにおける重要な側面としての支援機能に着目し、支援性 (需要の充足性) を、信頼性、保全性との関係において研究し、新たに支援性の尺度として支援度、支援率を定式化し、支援性理論モデルを発明した。そして、その考え方を導入し、上記ロジスティクデベンダビリティにおけるロジスティクス・アベイラビリティ決定の要素である伝統的な「在庫サービス率」に、新しい解釈を加え、伝統的な在庫サービスモデルと支援性モデルを、確率論的に統一したモデルで定式化した。又、この概念の拡張によって新しいサービス率とロジスティクス・デベングビリティを定式化し、その最適化技法を提案するものである。
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