詳細検索結果
以下の条件での結果を表示する: 検索条件を変更
クエリ検索: "木村英輝"
12件中 1-12の結果を表示しています
  • *高橋 裕司, 千葉 慎一, 川口 聡, 及川 雄司
    理学療法学Supplement
    2007年 2006 巻 1318
    発行日: 2007年
    公開日: 2007/05/09
    会議録・要旨集 フリー
    【目的】頚椎の手術後や外傷後には多くの場合に装具での固定が必要とされ、固定中には頚部から肩甲骨にかけての疼痛を訴える症例は多い。これに対し肩甲骨の可動性や周囲筋力の改善を行うと疼痛が軽減することを臨床上経験することがある。本研究の目的は頚部固定の前後で肩甲骨の位置、周囲筋の筋硬度にどのような変化が起きているかを検討することである。
    【対象・方法】対象は実験の主旨を説明し同意を得た健常成人6名(23~36歳 平均27.5歳)とした。方法は頚部をフィラデルフィアカラー(アドフィットUDカラー)にて30分間固定し、その前後で疼痛、肩甲骨の高さ、及び筋硬度を測定した。疼痛はVisual analog scale (VAS)を用いて計測した。肩甲骨の高さは肩甲棘内側縁から脊柱に垂線を引き、その交点とTh3の距離とし、両側を測定した。筋硬度の計測は井元製作所製、筋弾性計PEK-1を用い測定した。測定部位は左右の僧帽筋、肩甲挙筋、菱形筋とし、5回測定し最高値と最低値を除した値の平均値を各部位の硬度とした。統計学的処理は対応のあるt検定を用い固定の前後について比較検討を行った。
    【結果】VASは6名中5名で固定後に高値を示し、頚部から肩にかけての張り、肩こりの訴えがあった。肩甲骨の高さの変化量は、右-1.27±1.08、左-1.40±0.97であった。両側とも固定後にて低置を示す傾向があり、肩甲骨の下制が認められた。筋硬度においては有意な変化は認めなかった。
    【考察】臨床上、頚部固定により肩甲骨周囲に疼痛および、筋の硬化が認められることを経験する。今回の結果では固定時間は短時間であったが、ほぼ全例に疼痛の増強と肩甲骨の下制が認められた。疼痛と肩甲骨の位置との間には何らかの関連性があることが示唆された。しかし、筋硬度に関しては上昇する者、低下する者どちらも認められ、今回の結果からは筋の硬化が疼痛の明らかな原因であると言及するには至らなかった。これらに関しては固定の仕方や固定中の行動などの因子により変動する可能性があり、今後はそれらを考慮し、さらに検討を加え原因の追究を行っていこうと考える。
    【まとめ】頚椎の固定前後において検討を行い、ほぼ全例に疼痛の増強と肩甲骨の下制が認められ、関連性が示唆されたが、筋の硬化が明らかな疼痛因子であることを言及するには至らなかった。
  • *森近 貴幸, 守安 由香, 小川 円, 浪尾 美智子, 木村 英輝, 金谷 親好
    理学療法学Supplement
    2007年 2006 巻 1317
    発行日: 2007年
    公開日: 2007/05/09
    会議録・要旨集 フリー
    【目的】リハビリテーションを行う上で、問題点を認識し、治療の目的を患者自身が理解することは重要である。クリティカルシンキングとは物事を客観的、論理的に考え、それを相手に分かりやすく伝えるための思考方法と定義されている。今回、上腕骨外科頚骨折後に関節機能異常を呈した患者に対して、問題点抽出の際にロジカルシンキングを行い、クリティカルシンキングにて問題点の共有、意思決定、治療への参加を促すことが出来たので報告する。
    【方法】上腕骨外科頚骨折後に肩関節機能異常を呈した症例に対してクリティカルシンキングを用いたアプローチを施行した。理学所見では関節可動域、筋力、ADLと疼痛の変化について評価し、問題点を論理的に導き出した。また、患者に対して、患者自身が考える問題点、治療目的の理解度、自主的に取り組みだした事項や注意している点、治療効果の認識について聴取した。
    【結果】関節可動域、筋力、ADLは向上し復職が可能となった。疼痛については、部位や程度の変化を他の情報とともにロジカルシンキングを行い明確にすることが出来た。患者自身の考える問題点は、状態に応じて認識出来るようになり、治療目的も十分理解することが出来ていた。自主的に取り組みだした事項としては、自己トレーニングでのストレッチや筋力強化を日常生活の中で取り入れ、肩関節周囲の問題だけでなく、全身の調整を意識するようになった。治療効果については、客観的にも主観的にも十分認識出来た。
    【考察】理学所見の向上は、クリティカルシンキングによって問題点を明確にし、患者自身もそれを理解出来たためと考えられる。また、骨格標本などを用いて患者に説明したため、治療目的の理解をより促せたのではないかと考えた。本症例ではセラピストの考えを批評しながら、更に深く論理的に問題点を考えていく作業を行った。特に関節可動域制限や疼痛に関しては、その原因を特定する際、常に批評して考察を進めた。よって患者自身が意思決定をする手助けとなり、治療を進めていく上でクリティカルシンキングは有効な手段になると考えた。我々セラピストは臨床場面や日々の業務で日常的にロジカルシンキング、クリティカルシンキングを用いているが、それを体系的に理解し実践出来ていないように感じる。今回、クリティカルシンキングによるアプローチを体系化することによって、より効果的に関節機能異常を改善することが可能となった。クリティカルシンキングを行うためには、経験やマニュアルによる先入観をリセットし、対象者に対して常に白紙の状態で臨む必要がある。本症例を通して、この思考方法を体系化することで他の事例に対しても活用出来るスキルとなるのではないかと考えた。

  • *金谷 親好, 浪尾 美智子, 小川 円, 守安 由香, 木村 英輝, 森近 貴幸
    理学療法学Supplement
    2007年 2006 巻 94
    発行日: 2007年
    公開日: 2007/05/09
    会議録・要旨集 フリー
    【目的】脳卒中片麻痺患者の立ち上がり動作では、重心移動が上手く行えず 動作の遂行が困難となりやすい。今回、脳卒中片麻痺患者の立ち上がり動作において、重心移動と離殿のタイミングに対してアプローチを行い、効果が得られたので報告する。
    【対象】左被殻部出血による右片麻痺の50歳代男性。理学療法評価として、Brunnstrom Recovery Stageは上、下肢3、手指2。筋緊張検査は、坐位姿勢において麻痺側の腹部筋群、殿筋群に低緊張を認めた。起居移動動作、ADLは全て自立。歩行は、プラスチック短下肢装具を使用しT字杖にて屋内外ともに自立していた。
    【方法】前方への重心移動の方法として、身体の前方へ置いたボールに両上肢を乗せ、体幹筋群が働きやすい状態を作り、足部支持基底面へ重心を移すよう初回のみ誘導し、その後は自動運動にて反復させた。次に、側方への重心移動の方法として、背面に置いたボールにもたれさせ、左右への重心移動及び体幹の側屈運動を誘導した。運動の方向やタイミングを適時修正しながら立ち上がり動作における重心移動の再学習を行った。
    【結果】アプローチ前の坐位姿勢は、頚椎が過伸展し骨盤が後傾して円背となっていた。アプローチ後は、頚椎の過伸展が軽減し骨盤が中間位となり脊柱の伸展が出現した。アプローチ前の立ち上がり動作では、左前方へ重心移動を行い、足部支持基底面に重心が移動する前に離殿が起こり、左上方への運動軌跡がみられていた。アプローチ後は、正中方向へ重心移動を行い、足部支持基底面に重心が移動するタイミングで離殿が起こり、前方へ弧を描くような運動軌跡がみられた。
    【考察】今回、立ち上がり前の静止坐位姿勢でみられていた骨盤後傾位を前傾位にすることで、背部筋群が働き、体幹の伸展運動が出現しやすくなったと考える。また、坐位でのアプローチにボールを用いたことで、運動の方向を修正し離殿のタイミングを再学習したことにより麻痺側への荷重が行えるようになったと考える。離殿時、体幹筋群が伸展方向へ働きやすくなったことで、骨盤の前傾位が生じ重心を前方へ移動しやすくなったと考える。ボールを用いたことで、動きへの動機づけ、重心移動の方向、離殿のタイミングを患者自身が確認することができたのではないかと考えられる。また、身体がボールへ接触することで、心理的な安心感や姿勢の安定が得られ、麻痺側への重心移動が行いやすくなり、麻痺側体幹、下肢筋群の筋活動に影響したと考える。しかし、片麻痺患者の立ち上がり動作に影響する他の要因として、筋緊張、関節の角度、運動の速度、高次脳機能、環境面なども考えられる。これらの要因も考慮しアプローチをしていくことが必要だと考えられる。
  • ダイナミックタッチによる測定
    *大角 彰宏, 田畑 麻美, 駒場 滋郎, 中島 大輔, 小澤 佑介
    理学療法学Supplement
    2007年 2006 巻 93
    発行日: 2007年
    公開日: 2007/05/09
    会議録・要旨集 フリー
    【目的】脳血管障害者(以下CVD)者の非麻痺側機能は筋力・敏捷性についての先行研究はあるが、知覚的側面の検討は充分にされていない。CVD者は非麻痺側上下肢が過緊張を呈した非効率な動作を示すことが多く、ダイナミックタッチに代表されるような探索的な知覚活動が損なわれている印象をうける。そこで、本研究ではダイナミックタッチを知覚的要素の指標とし、CVD者の非麻痺側上肢機能における知覚探索能力を明らかにする事を目的とした。本研究におけるダイナミックタッチとは手に持った物を振ることによって対象の物理的特長が視覚に頼らずとも知覚できる機構とした。
    【方法】対象は、端座位保持が30分以上可能なCVD者10人(左片麻痺5人・右片麻痺5人、平均年齢68.9±7.0歳)、対照群として設定した健常成人10人(平均年齢28.5±4.1歳)である。ダイナミックタッチ課題では1:45cm、2:60cm、3:75cm、4:90cm、5:105cmの長さの棒を用い、棒を視認できない状態で各棒の長さを推定するものとした。測定値(推定した長さ)は対象者の2m前方に設定した目標(板50cm×40cm)を検者が操作し、対象者が棒の長さと一致したと判断した時点の距離とした。課題の順序はランダムとし3試行の各測定値の平均を推定値とした。検査側はCVD群では非麻痺側とし、対照群ではランダムに左右を割り付けた。解析は、各課題の推定値と誤差の平均値を求め、CVD群と対照群の比較を対応のないt検定で行い危険率5%未満を有意水準とした。
    【結果】CVD群の推定値の平均値は、課題1-5に対し順に、53.0±6.0cm、69.3±9.0cm、84.1±7.2cm、103.9±8.7cm、120.0±7.7cmで、対照群では40.4±5.0cm、53.9±4.9cm、69.2±6.7cm、86.1±7.0cm、100.3±9.7cmであった。CVD者の3試行での誤差(棒の長さ-測定値)の絶対値の平均値は順に11.0cm、13.7cm、11.8cm、15.8cm、18.1cmで、対照群では9.4cm、13.1cm、13.6cm、16.7cm、21.6cmであったが、統計上有意差はなかった。
    【考察】ダイナミックタッチ課題においては、CVD群は棒を長く見積もり、対象群では短く見積もるという異なる傾向がみられたが、CVD群と対照群では有意な違いは認められなかった。今回は課題における耐久性を配慮し、端座位保持が30分以上可能な対象に限定したため、非麻痺側上下肢を姿勢制御の代償として用いている重症例や利き手の考慮など、さらに検討していきたい。


  • 千葉 智子, 金沢 善智
    理学療法学Supplement
    2008年 2007 巻 1200
    発行日: 2008年
    公開日: 2008/05/13
    会議録・要旨集 フリー
    【目的】青森県下の訪問リハビリテーション(訪問リハ)について、2004-2005年度、県理学療法士会所属のPT及び県作業療法士会所属のOTを対象に意識調査を実施した結果、その必要性は高いものの、マンパワーや他職種の周知が不十分であり、訪問リハ開始及び拡充の阻害因子となっていた(千葉ら,2006)。2006年度の医療・介護保険制度改訂で、訪問リハでは一部規制緩和や退院後早期の加算増となり、病院でのリハビリから在宅への橋渡しの役割は増すと考える。本研究の目的は、制度改訂の影響を踏まえ訪問リハの現状を明らかにすることである。
    【方法】2007年度に県士会所属のPTが勤務する病院・診療所、介護老人保健施設、訪問看護ステーション96施設を対象に、郵送紙法によるアンケート調査を実施した。調査内容は、 1)制度改訂後の訪問リハ実施状況、2)マンパワーに関する状況、3)医師・ケアマネージャーへの訪問リハ周知のために重要な因子、とした。
    【結果】51施設(53.1%)から回答を得た。1)2006年度以降20施設(39.2%)が訪問リハを実施している。うち、介護保険利用件数が医療保険利用件数より多かったのが15施設であった。現在訪問リハを実施していない施設で訪問リハの要請が増えている場合があり、回答のあった29施設中、医師からは6施設、ケアマネージャーからは9施設で要請が増加していた。2)マンパワー不足の解決策として、81回答中「新卒者増や求人増による人員充足」(23.5%)、「訪問リハ利用の円滑な循環(ゴール到達による終了、新規利用者の開始)」(17.3%)、「地域のニーズについての調査」(16.0%)の順で多かった(重複回答あり)。3)訪問リハの周知・理解を深めるために重要な因子は、医師に対しての48回答中、「効果の提示」(35.4%)、「サービスの存在のアピール」(27.1%)、「対象者からのニーズの増加」(18.8%)であった。ケアマネージャーに対しての55回答中「効果の提示」(27.3%)、「サービスの存在のアピール」(20.0%)、「情報の集約」及び「対象者からのニーズの増加」(各16.4%)の順で多かった(重複回答あり)。
    【考察】得られた結果から、介護保険利用の訪問リハの比重が高くなっており、介護保険の知識や、関係他職種との連携はより重要になっていると考える。人員が十分でない県下の現状では、設定したゴールに到達できる利用者については理解を得て終了とし、新規利用者に訪問リハを提供できる状況を整えることが必要であると考えた。訪問リハ提供の開始と終了について情報を集約し、リハ職・他職種間で共有することにより、相互理解と提供拡充につながるのではないかと考える。
  • 守安 由香, 木村 英輝, 清水 誠, 田上 育代, 森近 貴幸
    理学療法学Supplement
    2008年 2007 巻 1199
    発行日: 2008年
    公開日: 2008/05/13
    会議録・要旨集 フリー
    【目的】自宅復帰後に十分すぎる環境設定や家族の過剰介護により、可能な動作も行わず活動性が低下してしまった症例を経験した。生活範囲の狭小化が見られた本症例に対して、訪問リハビリテーション(以下訪問リハ)にて現在の動作能力で行える家庭内での役割を持たせる取り組みを行った。家庭内での役割を持つことによって活動性が向上し、社会参加へとつながる結果が得られたので、その取り組みについて考察を交え報告する。

    【対象】80歳代の女性。第4腰椎圧迫骨折を受傷し、約3ヶ月間の入院の後に自宅退院となり、訪問リハ開始となる。現在のADLは屋内歩行器歩行自立、トイレ動作・整容動作・食事動作は自立、入浴動作は昇降機使用により軽度介助レベルである。入院前の家庭内での活動性は高く、洗濯や趣味の園芸、裁縫などをしていた。

    【方法】家庭内で役割を見つけるため機能的なアプローチに加え、家事や趣味活動に対するアプローチを行った。家事動作に対しては洗濯物をたたむなど実際に可能な動作内容について検討した。趣味活動については園芸の作業場所への椅子設置や移動方法について提案した。生活の目標となるような活動をカンファレンスにて検討し、家事の部分的実施や趣味活動再開に対する工夫などを提案した。

    【結果】退院直後は実施可能である動作に対しても不安を訴え行おうとせず、精神的な落ち込みが見られた。アプローチ開始後、家事の部分的実施や趣味活動再開によって、目的のある動作を行う機会ができた。また、「木の剪定をしたので見てください」など、意欲的な発言が多く見られるようになり、通所サービスでも意欲の向上が見られた。自分のペースで趣味活動を行なえるようになったことで退院直後の不安も軽減した。表情が明るくなり、動作に自信が持てるようになった。

    【考察】訪問リハ開始当初は、運動量を低下させないために屋内・外の歩行練習を自主練習として指導していたが、目的のない運動になってしまっていた。入院前と比較して家事や趣味活動の中に困難な動作が増えたことにより、意欲低下や不安感が見られた。可能な範囲で家事動作を実施したことにより、家庭内での移動の機会が増え、運動量の維持も実現できたと考えられる。また、家族に対して家事や趣味活動の援助を指導したことで家庭内の会話が増え、居室外で過ごす機会が多くなったことも考えられる。環境設定を行い、家族が全て介助をして何の役割もなく過ごすということは、利用者にとって閉じこもりや寝たきりにつながりかねない。可能な動作を考えながら家庭内での役割や生きがいを提示し、アプローチをしていくことが訪問リハを行なう上で重要である。家庭という一つの社会の中で自分の役割を見つけて生活することで、今後の社会参加への第一歩となると考える。
  • *大西 康平, 濱田 和範, 河野 博史
    理学療法学Supplement
    2007年 2006 巻 1050
    発行日: 2007年
    公開日: 2007/05/09
    会議録・要旨集 フリー
    【はじめに】
    今回、第一腰椎圧迫骨折により椎体形成術を施行後、腰部痛発生により長時間の座位保持が困難となった症例に対し、応用行動分析学的介入を行った結果、良好な成績が得られたので報告する。
    【症例紹介】
    症例は、72歳男性でシングルケースデザインを用い実施した。既往歴として平成16年2月、転倒より第1腰椎圧迫骨折のためギプス固定を施行。同年7月下肢麻痺症状が出現したためA病院にて第1椎体形成術を施行するも、術後後遺症により長時間の座位保持が腰痛のため困難となる。平成17年6月、介護が必要となったため当施設入所となった。入所時、食事はベッドに腰をかけてとられるが、疼痛のため座位、臥床を数分おきに繰り返すといったようにADLが大きく障害されていた。痛みの程度はVASで10とのことで、連続座位保持時間も10~15分が限界であり、日中臥床生活を余儀なくされていた。
    【方法】
    腰痛の原因は、固定術後、腰椎のアライメント不良により軟部組織、骨組織に過剰なストレスが生じるためであると仮定した。そこで、クッション等を使用し圧分散を図るなどの環境設定を行い座位保持訓練を実施したが、5分程度の座位時間の延長であった。そこで、座位時間のさらなる延長のため行動分析学的介入を行った。介入目標は、食事時間の目安である『連続50分の座位保持』とした。内容は、座位時間をセルフ・モニタリング法で自己記入すると同時に座位時間について即時フィードバックを行い、時間の延長や前向きな発言が見られた場合には注目・賞賛し、強化刺激となるよう配慮した。その後、条件交替デザインを用い行動分析学的介入の有用性を確認した。
    【結果】
    介入開始時、目標時間を40分に設定したところ、10日経過後には連続40分の座位保持が可能となった。次月より、目標時間を50分に延長したところ、介入後3ヶ月経過時には、随時50分の座位保持が可能となった。腰痛もVAS8となり、疼痛の軽減も認められた。条件交替後において、行動分析学的介入時が非介入時よりも有意(p<0.05)に長時間の座位保持が可能であった。
    【まとめ】
    今回、疼痛により座位保持が困難な症例に応用行動分析学的介入を実施したところ、長時間の座位保持が可能となった一症例を経験した。このことは、具体的な数値目標を提示する(先行刺激)ことや、座位時間の延長が確認できた際に後続刺激として注目・賞賛、記録表の数値、痛みの軽減などの強化刺激が出現したことで、座位保持行動が強化されたと考えられる。今後も患者の行動を観察し、身体機能と共に環境や動機づけにも配慮した理学療法を進めていきたいと考える。
  • *小川 円, 守安 由香, 浪尾 美智子, 木村 英輝, 金谷 親好, 森近 貴幸
    理学療法学Supplement
    2007年 2006 巻 1049
    発行日: 2007年
    公開日: 2007/05/09
    会議録・要旨集 フリー
    【はじめに】癌性疼痛の原因は、二次的疼痛も含まれているため、その性質も多種多様である。治療は、第一に薬物療法が位置し、理学療法はそれを補助する非薬物療法として位置づけられている。今回、終末期肺癌患者を担当する機会を得た為、疼痛ケアと理学療法士としての役割について報告する。
    【対象】肺癌と診断された65歳女性。本人には診断時に、余命1ヶ月であることが医師から告知されていた。告知されてから3週間後に理学療法が開始となる。主訴は「右脚が痛い」で、特に体動時の痛みが強かった。理学療法場面では、練習内容や口頭指示に対して的確に応対してくれていた。介護の必要な母親がいるので、自分がまた介護をしたいという想いが強いようであった。
    【方法】体動時の痛みに対して、体位変換と自主トレーニングの指導を行った。運動療法として、下肢エルゴメーター、ギャッジアップを行い、ADL練習として、起き上がりまでの反復練習を行った。以上の理学療法において、痛みが出現しない範囲で運動量、運動方向を誘導した。運動療法施行後、結果に対する原因と対策を本人が納得できる説明をするように心掛けた。
    【経過及び経過】体位変換の指導と自主トレーニングの継続により、体動時の疼痛が軽減した。ギャッジアップでは、安静時の痛みは消失し、体動時の痛みは軽減していった。下肢エルゴメーターは、ペダルを自力で漕ぐことが困難でアシスト機能を使用していたが、アシスト機能なしで自力駆動が可能となった。また、起き上がり時に出現していた右下肢痛は消失し、端坐位が可能となった。心理面の経過として、ニードに変化が認められ、「自分で何かできるようになりたい」から、最終的には「車椅子で外出したい」に変化した。ニードが変化していくにつれて、結果に対する原因を自ら考察するようになった。また、理学療法開始時は、治療内容以外のことを話すことはなかったが、経過とともに家族のことを話すようになった。
    【考察】余命を告知された本症例において、継続的に理学療法士が関わることで、臥床状態を防ぎ、体動時の疼痛が軽減したと考えられる。疼痛が出現しない範囲で、運動療法とADL練習を継続して行なったことが、疼痛ケアにつながったと思われる。疼痛軽減により、できるADLが拡大し行動範囲が拡大した。終末期における「死」は避けては通れないものであるが、痛みを軽減しコントロールすることで、残された時間がより充実したものになったと思われる。終末期における疼痛ケアは重要課題であり、理学療法士としての役割は、身体機能面のみならず、心理面にも大きく影響していくものと思われる。各症例において理学療法による心理面への影響はそれぞれ異なってくるが、理学療法士の関わり方でQOLが大きく変化していくのではないかと考えられた。
  • *守安 由香, 小川 円, 浪尾 美智子, 木村 英輝, 金谷 親好, 森近 貴幸
    理学療法学Supplement
    2007年 2006 巻 788
    発行日: 2007年
    公開日: 2007/05/09
    会議録・要旨集 フリー
    【はじめに】長期臥床による廃用症候群では、関節可動域制限や筋力低下といった身体機能面の問題のみを重視して捉えられることが多い。しかし、それらの問題の背景には身体認知の低下が生じており、そのために様々な問題が起こってくるのではないかと考えた。今回、廃用症候群を呈した患者に認知運動療法を用いたアプローチを行い、その結果を検討したので報告する。
    【対象及び方法】脳梗塞左片麻痺の74歳の女性。入院してから約1ヵ月後より徐々にADLが低下し、Barthel Indexは80点から5点まで低下した。起居動作は近位監視から、ほぼ全介助となった。また、「左足は力が入らない。どこが動いているのか分からない。」といった訴えがあった。そこで、左下肢に対して認知課題を中心にアプローチを行った。膝周囲と足底に対するスポンジ接触課題は、背臥位にて下肢前面または後面にスポンジを接触させ、左右差や順序、感じ方を答える課題と、端坐位にて足底でスポンジを踏み、足底がスポンジに接触していることを感じる課題を行った。位置認識課題は、背臥位又は端坐位にて膝関節屈曲角度を2から3段階に設定し、どの位置に足部があるのかを閉眼にて答える課題を行った。
    【結果】開始時は、質問の理解不足や集中力、注意力の低下からエラーが多く見られた。左右で違う硬さのスポンジを接触させていても差異が分からず同じものと認識していた。また、麻痺側の方が柔らかく感じる傾向があり、左右逆の返答をしていた。課題を進めていく中で、徐々に下肢へ注意が向くようになった。立ち上がり動作時には、足底で床をしっかりと支持するということが意識できた。立位時には、「左足に力が入らない」という訴えがあったが、「少しずつ力が入るようになった」という発言に変わった。立ち上がり動作時には、膝関節の伸展が出現し、全介助から軽度介助に向上した。
    【考察】関節可動域制限や筋力低下は長期臥床による局所的な問題ではなく、身体認知の低下から生じた全身的な問題と捉えることができる。認知運動療法を実施することで注意や知覚などの認知過程を使用し、自分の身体の動きを意識することができたと考えられる。また、動作を行う際の身体の動かし方や力の入れ方を再学習することで、運動機能やADL能力の向上につながったのではないかと考えた。課題を進めていく中で、下肢に対する気付きや感じ方の記述が変化したことも効果の一つである。
    【まとめ】廃用症候群に対して、認知過程にアプローチを行うことが有効であると示唆された。認知運動療法により身体認知が向上し、それにより動作の改善が図れると考えられた。
  • 東京都北西部における一施設での検討
    *志村 圭太, 小林 修二, 佐藤 広之, 啓利 英樹
    理学療法学Supplement
    2007年 2006 巻 787
    発行日: 2007年
    公開日: 2007/05/09
    会議録・要旨集 フリー
    【目的】当院は慈誠会グループ最初のリハビリテーション(以下リハ)専門病院として1984年に開院し、その後総合リハ承認施設として、主に脳血管障害(以下CVA)患者のリハを担い、2002年7月には回復期リハ病棟45床を開設し、より集中的なリハサービスを提供してきた。回復期リハ病棟入院患者のADLについては多くの報告があるが、回復期リハ病棟開設前と開設後でリハ効果を比較した例は少ない。本研究の目的は、回復期リハ病棟のコンセプトである「発症早期に集中的リハを提供する」ことの効果を実証するために、回復期リハ病棟開設前と開設後における対象者の発症から入院までの期間(以下POA)とリハ実施時間の2要因の変化に着目し、ADLに与える効果を明らかにすることである。
    【方法】対象は初発のCVA患者で入院から3ヵ月後までを追跡可能であった316例で、回復期リハ病棟開設前の1999年3月から2002年6月までに入院した158名を一般群、開設後の2002年7月から2004年6月までに入院した158名を回復期群とした。基本属性として、性別、年齢、診断名、脳損傷側を群間比較した。そのうえで、開設前後の入院から1ヶ月間および3ヶ月間のリハ実施時間(分)とPOA、Berthel Index(以下BI)の入院時、1、2、3ヵ月経過時の機能的帰結および機能的回復の伸びを示す入院から3ヶ月間の機能的利得を比較した。統計処理はStatview ver.5.0を用い、危険率5%未満を有意水準とした。
    【結果】基本属性の比較では2群間で有意差は認められなかった。POAは一般群が2.7±1.9ヶ月、回復期群が1.6±0.8ヶ月、リハ実施時間では入院1ヵ月間(一般群1539.0±605.3、回復期群2081.8±425.3)、3ヶ月間(一般群4433.8±1591.4、回復期群6083.8±1111.8)とそれぞれ有意差が認められた(p<0.0001)。BIにおける機能的帰結の中央値は、入院時(一般群30、回復期群30)、1ヶ月後(一般群50、回復期群50)2ヶ月後(一般群55、回復期群60)、3ヶ月後(一般群65、回復期群65)で有意差が認められなかったが、入院から1ヶ月間の機能的利得(一般群5、回復期群10)には有意差が認められた(p<0.05)。
    【考察】対象者における回復期リハ病棟開設前後の基本属性には違いが認められず、両群は等質と考えられた。本研究結果では、回復期リハ病棟開設後のPOAは有意に短縮し、リハ実施時間は有意に増加した。他方ADLにおいては機能的帰結には変化が無く、入院から1ヶ月間の機能的利得だけが有意に増加した。この結果は、因果関係については言及できないが、回復期リハ病棟において発症早期に集中的リハを実施する効果は、ADLの機能的帰結ではなく入院1ヶ月までの機能的利得の増大に現れると考えられ、入院期間短縮につながる可能性が示唆された。
    【まとめ】CVA患者が回復期リハ病棟において発症早期に集中的リハを受ける効果は、入院1ヶ月までの機能的利得の増大に現れ、入院期間短縮につながる可能性が示唆された。
  • *浪尾 美智子, 守安 由香, 小川 円, 木村 英輝, 金谷 親好, 森近 貴幸
    理学療法学Supplement
    2007年 2006 巻 714
    発行日: 2007年
    公開日: 2007/05/09
    会議録・要旨集 フリー
    【はじめに】足底は手掌部よりも知覚神経分布が優勢で、姿勢制御に影響を及ぼすと言われている。今回、感覚障害を呈した脳卒中片麻痺患者の足底感覚に着目したアプローチを行った結果、坐位姿勢に変化がみられたので報告する。

    【対象】左右頭頂葉と左放線冠領域の脳梗塞両片麻痺患者の女性。触覚は右足底重度鈍麻、左足底中等度鈍麻で四肢重度鈍麻、運動覚は全て重度鈍麻であった。ラップボードを用いることで車椅子坐位を保持していた。また、端坐位保持は不可能で全介助であった。食事動作では坐位が安定しておらずリーチ動作が困難であった為、ほぼ全介助であった。
    【方法】端坐位の安定化を図るため机上に両前腕部を置き、足底は床面に接地させた。より多くの刺激を与える為に、感覚受容器が多数存在する母趾に様々な素材の板を接触させ刺激に変化を加えた。深部感覚受容器を刺激するには圧変化や関節運動が関与してくる為、足底で床面を押す寝返り動作を行った。また背臥位にて足底と壁の間に枕やボールを置き、壁に対して垂直方向に、足底で踏むことを繰り返し行った。

    【結果】触覚は右足底中等度鈍麻、左足底軽度鈍麻となり、運動覚は足、膝関節は中等度鈍麻となった。坐位姿勢は右足底全面接地が行えず、左下肢で床面を押すため骨盤は後傾し、右殿部後方に荷重していた。アプローチ後は右足底全面接地が可能となり、左下肢で床面を押さなくなった為、左殿部にも荷重が行えるようになった。また机上に両前腕部を置き坐位を保っていたが、アプローチ後は端坐位保持が1分程度可能となった。車椅子坐位は左下肢でフットプレートを押すため骨盤が右に後退し、殿部が前方に滑っていたが、アプローチ後はフットプレートを押す動作が見られなくなり、坐面上に殿部を保持することが可能となった。また坐位が安定してきたため、リーチ動作が行いやすくなり、食事動作は中等度介助になった。

    【考察】足底に様々な素材の板を接触させ刺激に変化を与えたことで、能動的感覚受容器が活性化され、足底感覚が改善し、右足底全面接地が可能となったと考えられる。寝返り動作や足底で枕やボールに圧をかけることで、足底の圧受容器が刺激され深部感覚が改善したと考えられる。足底からの感覚情報が増加し、自己のボディーイメージが確立され始めたことで、左下肢の過剰努力が軽減し、骨盤帯の後傾や後退も改善した。また体幹を支持基底面内で保持させることが可能となった為、坐位保持も可能となったと考える。

    【まとめ】足底感覚は脳卒中患者の姿勢制御に影響を与える感覚であることが示唆された。本症例では足底感覚へのアプローチにより坐位姿勢に変化が認められ、食事動作の改善にもつながった。

  • *春名 弘一, 伊藤 麻美, 須田 亙, 山崎 貴央, 塚田 鉄平, 稲田 亨, 田中 敏明, 杉原 俊一, 白銀 暁, 大山 陽平, 前田 佑輔, 泉 隆, 武田 秀勝
    理学療法学Supplement
    2007年 2006 巻 713
    発行日: 2007年
    公開日: 2007/05/09
    会議録・要旨集 フリー
    【目的】ヒトのバランス保持には身体位置変化についての感覚系からの継続的情報が重要である。バランス能力の評価・トレーニングとしては、支持基底面の状況を判断し、その改善を図る事が必要な要素である。開発された新型バランス機器(共和電業製、PCD-300A)は目標とする前後左右の重心位置を振動で対象者に自覚させる事が可能なシステムを有する。本研究では足底・腰部への振動刺激を用いて、自覚困難な重心位置の変化をリアルタイムで注意を促し、効率的にバランストレーニングを行うための本機器の有益性を検討した。
    【対象】対象は脳血管障害後遺症による片麻痺患者で直立位が自立しており、本トレーニングを4週間以上継続可能であった4名(平均年齢63±2.6歳)とした。発症から本トレーニング開始までの平均日数は88±58.9日であった。対象者には実験内容について十分に説明し、同意を得た。
    【方法】評価として(1)重心動揺計によるロンベルグ肢位での静止立位20秒間保持(2)重心動揺計によるロンベルグ肢位保持での前後左右への最大重心変位での20秒間直立保持(以下クロステスト:mm)(3)Timed Up and Go test(以下TUG:秒)、以上3項目とした。また(1)の分析項目としては軌跡長(mm)、実効値面積(mm2)とし評価を週1回実施した。バランストレーニングの内容は(2)により評価した各4方向の最大値以上まで重心移動すると振動が生ずるよう設定し、振動が生じる位置まで各方向に重心移動するトレーニングを1回につき15分間、頻度は週に3回以上実施した。分析項目としては最大重心変位値(mm)とした。更に、バランストレーニングの振動刺激による影響を分析する目的で、最大変位での3秒間保持データ(平均最大変位値)と、検者が設定した最大値への近似性、平均最大変位値の変動係数(CV:%)をそれぞれ振動有無で比較した。
    【結果】開始時から訓練4週経過した時点での4名の分析項目平均値は(1)による軌跡長で839.6 mmから801.6 mmへ、実効値面積で173.8 mm2から140.0 mm2へ、(2)によるクロステスト合計値では242.5 mmから315.0 mmへ、(3)TUGは11.1秒から10.0秒へと、3分析項目とも改善傾向を認めた。最大変位での3秒間保持での平均最大変位値は振動刺激有りで最大値が大きく、検者が設定した最大値に近似したのは振動刺激を用いて注意喚起した条件であり、その平均最大変位値の変動係数(CV:%)は2~6%と高い精度を維持した。
    【考察】本機器による検査から直立位でのバランス能力の改善傾向が確認できた。また、振動刺激による持続的注意喚起を用いることにより自身の重心位置を正確に確認・制御が可能となり、動的条件下での支持基底面を改善するための効率的なバランストレーニング方法の本機器の有用性が示唆された。
feedback
Top