ニューキノロン系抗菌薬pazufloxacin (PZFX) をメタンスルホン酸塩とした注射薬pazufloxacinmesilate (PZFXmesilate) の各種実験動物における体内動態について検討した結果, 以下の成績を得た.
1. マウス, ラット, ウサギおよびイヌにPZFXmesilateをPZFX換算で5mg/kg静脈内投与した時のPZFXI血清中半減期はそれぞれ0.23, 0.88, 1.0, 4.5時間であった. また, 投与5分後のPZFX血清中濃度は4.77~6.83μ9/mlで動物種による顕著な差はみられなかった.
2. PZFXmesilateをラットに静脈内投与するとPZFXは脳を除く各組織に速やかに分布した. 組織内濃度は, 特に腎臓で高く, 他の組織では血清中濃度とほぼ同程度であった. また, いずれの組織においてもPZFXの消失は速やかであった.
3. 静脈内投与24時間後までの活性体の尿中排泄率はマウスで44.7%, ラットで74.3%, ウサギで54.9%, イヌで56.6%であった.また, ラットにおける活性体の24時間までの胆汁中排泄率は2.2%であった.
4. ラットにPZFXmesilateをPZFX換算で5, 20および100mg/kg静脈内投与した時, AUC
0 ∞はほぼ投与量に比例して増加した. また, 尿中排泄率はほぼ一定であった.
5.ラットに1日2回6日間連続静脈内投与した結果, 血清中濃度, 尿中排泄率とも単回投与時と有意差はなかった.
6. D-ガラクトサミンで作製した肝障害ラットでは, 血清中濃度が正常ラットより若干持続的に推移したが, 血清中濃度および尿中排泄率に有意な差は認められなかった. 一方, 塩化第二水銀で作製した腎障害ラットでは血清中濃度が有意に高く持続的となり, 尿中排泄率は有意に低値を示した.
7. マウス, ラット, ウサギおよびイヌの尿中活性体をバイオオートグラフィーにより検索した結果, PZFX以外に抗菌活性を示す物質は検出されなかった.
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