1.蟇の有髄神経線維 (11~17μ) に対する歯科用知覚麻痺剤Eugenol, Anesthesinの効果を22~25℃の室温において電気生理学的方法により検した。
2.Eugenol, Anesthesin共にその濃度を大とするにつれて神経線維のSpikeの大きさは濃度にほぼ直線的に小さくなつたが, 最大局所応答は却つて濃度にほぼ直線的に大きくなつた。したがつて両者の比Q (すなわちSpikeの大きさと最大局所応答の大きさとの比) はその対数が濃度と共に小さくなつた。
3.Spikeの消失する濃度はEugenolで0.18~0.36mM, Anesthesinで0.42~0.60mMであつた.回復はAnesthesinの方が迅速であつた。
4.試液の濃度と閾値の対数とはほぼ正比例し, 濃度に対する閾値の増加率は大体Anesthesin: Eugenol≒1: 4であつた。
5.これらより蟇有髄神経線維の電気的応答に関する限りEugenolの方がAnesthesinより強力な作用のあることが推定された。
6.Eugenol, Anesthesinの作用機序, それら作用時の“全か無か法則”ならびに興奮伝導の安全率としてのQを論じた。
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