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クエリ検索: "歯科衛生学科"
408件中 1-20の結果を表示しています
  • ─ 学生評価と教員評価の活用 ─
    酒巻 裕之, 大川 由一, 麻賀 多美代, 金子 潤, 荒川 真, 河野 舞, 鈴鹿 祐子, 山中 紗都
    千葉県立保健医療大学紀要
    2019年 10 巻 1 号 1_119
    発行日: 2019/03/31
    公開日: 2023/03/31
    研究報告書・技術報告書 フリー

    (緒言)

     

    歯科衛生学科
    では併設されている歯科診療室において参加型臨床実習(CC)が行われている.歯科診療室の臨床実習では,個々の症例ごとの評価やフィードバックはなかったのが現状であった.CCにおける実践できるパフォーマンス・レベル(A)の評価には,「診療現場における学習者評価(WBA)」が利用される.WBAとして,Mini-Clinical encounter exerciseを参考に作成されたCC Snapshot評価が報告されている1).われわれは,歯科診療室において
    歯科衛生学科
    用CC Snapshot評価票を作成した.

     本研究では,

    歯科衛生学科
    用CC Snapshot評価の有用性について,平成29年度3年生を対象に,「歯科診療室総合実習」において,
    歯科衛生学科
    用CC Snapshot評価を活用して学生が担当した症例ごとに学生の自己評価,教員評価ならびにフィードバックを行い,「臨床実習開始から終了までの学生の到達度の変化」や,「学生の自己評価と教員評価の関連性」に関する情報を得,加えて臨床実習終了後に学生に対してCC Snapshot評価に関する質問紙調査を実施して検討した.

    (研究方法)

    ⅰ) CC Snapshot評価票に関する検討

     平成29年度

    歯科衛生学科
    3年生19名のうち,研究協力の同意を得られた者のCC Snapshot評価票の評価結果ならびに質問紙調査結果を研究対象とした.調査期間は平成29年11月~平成30年2月であった.症例を担当した学生は,CC Snapshotにて自己評価を行い,次いで教員からCC Snapshotによる評価とフィードバックを受けた.CC Snapshot評価票は,複写式の評価票で,学生用と本研究集計用とに分けた.集計用の評価票は,学生番号と氏名が複写されず,対照表のない匿名化を行った.5段階評価をスコア化し,検討した2)

    ⅱ) 質問紙調査

     「診療室総合実習」終了時にCC Snapshot評価に関する質問紙調査を実施し,学生の評価から今後のCC Snapshot評価票の活用法について検討した.

    統計処理は,JMP®pro 13.2.1を用いて分散分析を行い,危険率 p<0.05として検討した.

    (結果)

     平成29年度

    歯科衛生学科
    3年生19名(100%)ら研究協力の同意を得られた.CC Snapshot評価票に関して,症例数は569症例で,集計・検討できたのは498症例であった.全体で,学生の自己評価は平均2.89076±0.00991,教員の評価平均は2.94831±0.00991で分散分析にて有意差を認めた(p<0.0001).診療内容別では歯周処置において,学生の自己評価(2.88736±0.01901)と教員評価(2.96803±0.01901)間に有意差を認めた(p=0.0030).実習が進むと自己評価ならびに教員の評価に上昇傾向が認められた.

     質問紙調査では,CC Snapshot評価票を用いた教員の評価やフィードバック,自己評価による振り返りは役に立つ結果が得られた.一方,歯科治療後に教員の評価を受けることが困難であったと指摘されていた.

    (考察)

     CC Snapshot評価票を用いることにより,一症例ごとに自己評価,教員評価,フィードバックを行うことができ,学生は次の症例に向けて具体的な目標を立てやすくなっていた.

     歯科治療後のフィーダバックが円滑に行えるようにすることが課題となった.

     以上の結果から,CC Snapshot評価票は活用方法によって,形成的評価に活用できると考えられた.

    (倫理規定)

     本研究は千葉県立保健医療大学研究等倫理委員会の承認(2017-030)を得て行われた.

  • 石川 裕子, 麻賀 多美代, 麻生 智子, 鈴鹿 祐子, 山中 紗都, 大川 由一, 酒巻 裕之
    千葉県立保健医療大学紀要
    2023年 14 巻 1 号 1_97
    発行日: 2023/03/31
    公開日: 2023/08/22
    研究報告書・技術報告書 フリー

    (緒言)

     近年,日本では,誰もがいくつになっても学び直し活躍することができる社会の実現に向けて,主に学校教育を終えた後の社会人が大学等の教育機関を利用した教育であるリカレント教育を推進している1).また,さらなる卒後教育の充実や教育プログラムの開発などのシステム作りの必要性を示す研究報告等が行われている2-3)

     本大学

    歯科衛生学科
    では,これまでリカレント教育にかかわるプログラムの策定や実践は行われていない.本研究は,リカレント教育プログラム策定のための基礎資料とすることを目的とする.

    (研究方法)

     本研究では,以下の2つを実施した.

    1)R2年度卒業生に対し,2021年10月末に卒後研修の希望調査をMicrosoft Forms(Forms)を使用して実施し,希望がある卒業生に対しメール等で連絡をとり,個別に対応を行った.

    2)本大学同窓会

    歯科衛生学科
    分会の協力のもと,分会のメッセンジャーアプリケーション(LINE)に登録している卒業生に対してForms を使用して調査を行った.調査内容は,勤務先,進学の有無,リカレント教育希望の有無,大学への要望(研修・研究支援・就職支援・情報交換・各種相談・資格取得)などであり,分析はリカレント教育の参加と各種要望(研修・研究支援・就職支援・情報交換・各種相談・資格取得)の有無をFisherの正確確率検定,各種要望の有無に影響する事項を多重ロジスティック解析にて行った.

    (結果)

    1)R2年度卒業生(9期生)への卒後研修

     4名から申し込みがあり,来学が可能な3名に対して,歯石除去についての実習指導を2時間/人程度行った.

    2)卒業生の現状とリカレント教育の要望調査

     79名(平均年齢26.9±2.6歳)の回答を得た(回答率37.1%).千葉県内在住者は36名(45.6%)であり,歯科衛生士として勤務している人は61名(77.2%)であった.勤務している人のうち歯科診療所勤務は35名(57.4%)であり,病院勤務は15名(24.6%),県・市町村勤務は8名(13.1%)であった.進学経験有は2名(2.5%)であった.

     リカレント教育については,「内容や開催日等があえば参加する」49名(62.0%),「希望するが今は参加できない」8 名(10.1 %),「希望しない」11 名(13.9%)であった.リカレント教育の参加と各種要望の関係は,研修,情報交換,資格取得,就職支援,各種相談で有意な差がみられた(研修・情報・資格取得 p <0.01, 就職支援,各種相談 p <0.05).さらに,研修支援,研究支援,各種相談では勤務先,就職支援では結婚の有無が影響することが明らかとなった.

    (考察)

     卒後研修では,参加者の質問にじっくり答えることができ,参加者には好評であった.今後も要望があれば行う必要があると考えられた.また,リカレント教育の要望調査では,リカレントプログラム策定時に,情報交換や資格取得を考慮することや,内容により勤務先や結婚の有無を配慮する必要があることが示唆された.

    (倫理規定)

     本研究は,千葉県立保健医療大学研究倫理審査委員会の承認を得て実施した(承認番号2021-18).

    (利益相反)

     本研究における開示すべきCOI 関係にある企業等はない.

  • 麻賀 多美代, 佐藤 紀子, 細山田 康恵, 岡村 太郎, 大川 由一
    千葉県立保健医療大学紀要
    2023年 14 巻 1 号 1_103
    発行日: 2023/03/31
    公開日: 2023/08/22
    研究報告書・技術報告書 フリー

    (緒言)

     本学に併設されている歯科診療室は,地域住民のかかりつけ歯科診療所としての役割を担っており,その患者の多くは65歳以上の高齢者である.

     新型コロナウイルス感染症の影響により,高齢者の健康を損ねることが懸念されていることから,本学の社会貢献事業として,歯科診療室を活用した多職種連携による健康教室を実施した.本研究では,各プログラムに対する参加者の反応を調べ,歯科診療室を活用した健康増進プログラムの効果を検討することを目的とした.

    (研究方法)

     参加者募集は歯科診療室内のポスター掲示,本学ホームページ掲載により行った.健康教室は2021年11月から翌年2月まで計4回実施し,各回の担当は,第1回

    歯科衛生学科
    ,第2回栄養学科,第3回リハビリテーション学科(作業療法学専攻,理学療法学専攻),第4回看護学科とした.

     参加者には健康教室終了時に健康教室についての質問紙調査を実施した.調査では各学科専攻で実施したプログラム内容について,「良かった項目」等の回答(複数回答を含む)を依頼した.

    (結果および考察)

     健康教室の参加者は男性3名,女性10名の計13名で,平均年齢は76.9歳であった.参加回数は4回75% ,3回8.3% ,2回16.7%で,質問紙調査の回答件数は,第1回11件,第2回12件,第31回11件,第4回12件であった.

     

    歯科衛生学科
    のプログラムでは,口腔機能の測定,オーラルフレイル予防に関する講話および口腔体操を行った.質問紙調査で参加者が良かったと回答した項目は,口腔機能測定の測定ができたこと(100%),オーラルフレイル予防が学べたこと(91%)であった.

     栄養学科のプログラムでは,「はつらつ生活のための食事について」の講話と絵カードを用いて昨日の食事内容について確認を行った.良かったと回答した項目では,食事内容の確認により食事を考える機会になった(83.3%)が最も多かった.

     作業療法専攻のプログラムでは,「転倒予防について」の講話と低価格で揃えられる転倒予防に繋がる商品の紹介を行った.良かった項目は,転倒予防のための注意点(45.5%),居住する周辺環境を考える機会になった(45.5%)であった.

     理学療法専攻のプログラムでは,「いつまでも自分の足で歩きましょう」をテーマにロコモ度測定とロコモ予防トレーニングを行った.良かった項目は,ロコモ度測定ができたこと(100%),ロコモ予防に関する講義(81.8%)であった.

     看護学科のプログラムでは,「セルフケアでフレイルを予防しよう」をテーマに講話と日常の健康管理について参加者同士で情報交換を行った.良かった項目は,誤嚥性肺炎について学べたこと(83.3%),参加者と話す機会ができたこと(66.8%)であった.

     調査結果より,自分の今の口腔機能や身体機能の状態を知ること,自分自身の生活を振り返る内容,参加者同士の情報交換などが,満足度が高く主体的に学べる内容であったといえる.これらの結果を,今後の歯科診療室を活用した健康増進プログラムの企画に反映させていきたい.

    (倫理的配慮)

     本研究は,本学倫理審査委員会の承認(申請番号2021-24)を得て実施した.

    (利益相反)

     発表に関して申告すべきCOIはない.

    (謝辞)

     本研究を遂行するにあたり,ご協力いただきました,元栄養学科河野公子先生,リハビリテーション学科理学療法専攻江戸優裕先生,同作業療法学専攻成田悠哉先生,そして,

    歯科衛生学科
    の先生方に深く感謝申し上げます.

  • *長谷川 純代, 高阪 利美, 佐藤 厚子, 後藤 君江, 原山 裕子, 武藤 祐子, 岡本 敬予, 犬飼 順子, 向井 正視, 稲垣 幸司, 野口 俊英, 中垣 晴男
    特定非営利活動法人 日本歯周病学会学術大会 プログラムおよび講演抄録集
    2007年 2007s 巻 DHB-2-1110
    発行日: 2007年
    公開日: 2007/05/07
    会議録・要旨集 フリー
  • 酒巻 裕之, 麻賀 多美代, 荒川 真, 麻生 智子, 鈴鹿 祐子, 岡村 太郎
    千葉県立保健医療大学紀要
    2023年 14 巻 1 号 1_104
    発行日: 2023/03/31
    公開日: 2023/08/22
    研究報告書・技術報告書 フリー

    (緒言)

     糖尿病と歯周病の診療における共通点は,両者とも治癒しない慢性疾患で自覚症状に乏しく受診に至らなかったり,受診が継続しなかったりすることである.糖尿病診療ではコーチングが導入されているが,歯科領域ではコーチングに関する報告は少ない.

     われわれは,歯科医療の現場の歯科衛生士を対象に,歯科保健指導においてコーチング手法を活用することを目標とし,第2回千葉県立保健医療大学歯科衛生士研修会(以下,研修会)を実施した.本研究では,研修会終了後に研修会の評価ならびに今後の希望テーマや要望等を明らかにする目的で質問紙調査を行った.質問紙調査結果から,今回実施した歯科衛生士研修会の振返りと,今後開催する研修会の在り方について検討した.

    (研究方法)

     研修会は,千葉県歯科衛生士会と千葉県立保健医療大学

    歯科衛生学科
    同窓会の協力を得て参加者を募集し(32名の参加者),令和3年2~5月に計4回の研修会を実施した.

     第1回目「糖尿病に関する知識」医師(糖尿病専門医,コーチングインストラクター)により,糖尿病の病態や治療法について

     第2回目「コーチングについて」第1回と同一講師によりコーチングの概要,慢性疾患へのコーチングの活用について

     第3回目「歯周病に関する知識」歯科医師(歯周治療担当)により,日本歯周病学会のガイドラインを基に歯周病の特徴について

     第4回目「行動から認知度を把握する方法」作業療法士(作業療法士養成校教員)により,歯磨き中の対象者の様子からその対象者の認知レベルに合わせた歯科保健指導法についてであった.

     以上の研修会終了後に,参加者に対して郵送法による無記名,一部記入式多肢選択式質問紙調査を行った.質問紙調査項目は,年齢,勤務状況,研修会全体の満足度,各項目の満足度,次回以降の研修会で希望するテーマ,研修会に対する要望とした.

     本研究は千葉県立保健医療大学研究倫理審査委員会の承認(2020-13)を得て実施した.

    (結果)

     令和2年度の本研修会は当初,対面の研修会として,血糖値の簡易測定等の演習やコーチングのロールプレイ等を計画していた.しかし,新型コロナウイルス感染症の感染拡大状況からWeb 開催に変更し,演習やロールプレイを中止した.

     研修会後に実施した質問紙調査の対象は24名で19名(79.2 %)から回答を得た.主な調査結果について研修会の全体的満足度は「とても満足」13名(68.4%),「やや満足」6名(31.5%)で,理由は参加しやすい時間帯だった,興味のあるコーチングについて学ぶことができた等であった.希望するテーマは高齢者歯科,全身疾患,摂食嚥下機能,多職種連携等が挙げられた.

    (考察)

     

    歯科衛生学科
    では大学の社会貢献の一つに,歯科衛生士の人材育成として,令和元年度から勤務する歯科衛生士を対象に研修会を開催している.令和2年度の研修会は,新型コロナウイルス感染症の感染状況により,演習を含む対面形式からWeb 研修会に変更し,3か月遅れで実施することができた.研修会を継続して対象者がより有意義な情報を得るために,質問紙調査結果から研修会の在り方について検討したところ,Web による研修は新型コロナ感染症に対する感染に対して安全であり,内容については,コーチングについて興味ある内容で,歯周病患者等の歯科保健指導や教育に活用でき,有意義な研修会であったと推察された.参加歯科衛生士が臨床の場で実際にコーチングを活用して歯科保健指導を実践することを望むものである.

     今後開催する研修会については,参加者の要望をふまえて,参加者が参加しやすいように日程調整をし,高齢者歯科医療等,順序性を有するテーマで研修会を実施する所存である.

    (利益相反)

    本研究に関連し開示すべき利益相反関係にある企業などははい.

  • 麻賀 多美代, 麻生 智子, 鈴鹿 祐子, 山中 紗都
    千葉県立保健医療大学紀要
    2019年 10 巻 1 号 1_115
    発行日: 2019/03/31
    公開日: 2023/03/31
    研究報告書・技術報告書 フリー

    (緒言)

     スケーラーの基本的把持法は筆記具の把持が基本と なる執筆状変法把持法である.

     先行の

    歯科衛生学科
    学生を対象とした研究結果から1),拇指が示指に被さり,握るような持ち方をしている学生が多く,拇指と示指の押圧の小さい学生は前腕回転運動と手指屈伸運動で,第1背側骨間筋(以下FDI)と短母指屈筋(以下FPB)の筋活動量が小さい傾向が認められた.また,正しい持ち方での書字動作のFDIとFPBの筋活動量は日常の持ち方より大きいことから,筆記具を正しく把持することは,拇指と示指を中心に手指の筋肉を強化するトレーニングとなると考えた.

     本研究は,筆記具の正しい把持動作のトレーニングがスケーラーの把持動作(以下,操作)に及ぼす影響について筋電図を用いて検討した.

    (研究方法)

     対象は,某大学

    歯科衛生学科
    の学生で研究協力の同意の得られた19名とした.

     被験者に対して筆記具を持っている状態の写真撮影を行い,得られた写真により持ち方を分類した.

     筋電図の測定には,EMGマスターKM-104(メディエリアサポート企業組合)を用い,FDIとFPBに電極を筋線維と平行に添付し,双極誘導にて導出した.

     測定の手順は,基準とする拇指と示指の押圧最大値を測定後,筆記具では日常の持ち方と正しい持ち方でマークシートの塗りつぶし動作(縦方向)を計測,スケーラー(太型・細型)は執筆状変法で把持し,前腕回転運動と手指屈伸運動時の計測を行った.

     筆記具の正しい把持によるトレーニングには正しい指の位置にくぼみがあるプニュグリップ(クツワ株式会社)を装着した筆記具を使用し,使用する期間は2ヵ月間で1日の使用時間は記録をさせた.トレーニング終了時には同様に筋電図測定を行った.得られた筋電図はデータ収録・解析システムML846 PowerLab 4/26(バイオリサーチセンター株式会社)を用い,実効値化(RMS)した.

     統計解析には,IBM SPSS 20.0J for Windowsを使用し,トレーニング前後の比較はWilcoxonの符号付順位検定,各測定値の相関についてはPearsonの相関係数を用いて解析した.

    (結果)

     グリップを装着した筆記具の1日の使用時間は最大4時間,最小30分であり,2ヵ月間の1人あたりの平均使用時間は42分であった.

     19名のうち,拇指が筆記具に正しく触れていない学生は12名(63.2%)であり,12名のRMSは,開始時の押圧最大値の平均がFDIは0.304mV±0.109,FPBは0.156mV±0.164であり,終了時は押圧最大値の平均がFDIは0.362mV±0.148,FPBは0.298mV±0.170であった.トレーニング後は,筆記具の日常と正しい把持動作時のFPBのRMSが有意に増加し,細型スケーラー操作時のFDIも有意に増加した.

     また,細型スケーラーの手指屈伸運動時のFPBの筋活動量が開始前の72.3%から2ヵ月後は51.5%に有意に低下し,太型スケーラーにおいても70.9%から 51.8%に有意に低下した.

     また,FRBでは正しい持ち方の把持動作とスケーラー操作(前腕回転運動)に相関がみられ(r=0.587),正しい持ち方の把持動作とスケーラー操作(手指屈伸運動)に強い相関がみられた(r=0.841).

    (考察)

     トレーニングにより,スケーラー操作で重要である拇指と示指を筆記具に正しく触れて動作を行ったことで,スケーラーを把持して操作するために必要な掌側の凹状,背側の凸状のアーチを保つ筋力の向上に繋がったことが示唆された.

     また,トレーニング前は,拇指と示指の指先で常に力を入れてスケーラーを把持し操作していたため,特にFPBの筋活動量が高かったが,日常的にグリップ付き筆記具を使用したことで,器具が安定する指の位置を理解し,把持や操作時に力を入れる,緩めるなどのメリハリができ,活動量の低下に繋がったことが示唆された.

    (倫理規定)

     本研究は千葉県立保健医療大学研究等倫理審査委員会の承認(2014-051)を得て実施した.

  • 細山田 康恵, 東本 恭幸, 河野 公子, 海老原 泰代, 岡田 亜紀子, 峰村 貴央
    千葉県立保健医療大学紀要
    2021年 12 巻 1 号 1_121
    発行日: 2021/03/31
    公開日: 2023/03/31
    研究報告書・技術報告書 フリー

    (緒言)

     本学のカリキュラム変更に伴い,令和元年度の入学生から特色科目に「社会実習(ボランティア活動)」が加わり,2・3・4年生で開講されるが,詳細が決まっていない現状である.そこで,この社会実習の一つとして,本学学生に地域高齢者の方を対象に,体験型学習(昨年までのほい大健康プログラム)を行う.体験型学習への参加が,学生の意識に及ぼす影響を明らかにし,得られた学修効果等を評価し,科目等への活用を考える一助とし,より良いカリキュラム構築に寄与することを目的とする.

    (研究方法)

     体験型学習を2日間で4回実施した.令和元年10月5日(土)午前:①A団地,午後:②B団地と11月2日(土)午前:③C団地,午後:④D団地で行った.テーマは栄養学科「自分の食事を調べてみよう」,

    歯科衛生学科
    「おいしく安全に食べる口の環境づくり」,理学療法学専攻「運動と認知トレーニングで認知症を予防しよう」とした.①②では,栄養学科と
    歯科衛生学科
    のテーマ,③④では栄養学科と理学療法学専攻のテーマで体験型学習を設定した.参加学生には,事前にオリエンテーションで内容を説明し,プログラム実施後にアンケート調査を行った.無記名式で匿名性を担保した.回収したアンケートの解析IBM SPSS Statistics 26による単純集計を行い,ディプロマ・ポリシーと関連させ,学生の学修効果を検証した.

    (結果および考察)

     参加学生41名の学科専攻内訳は,栄養学科22名,

    歯科衛生学科
    4名,理学療法学専攻14名,作業療法学専攻1名で,学年は1年生14名,2年生15名,3年生4名,4年生8名であった.大学入学前に参加しボランティア活動・地域貢献活動は,ないが65.9%となり,ボランティア活動をしてない学生が多いことがわかった.今回参加したきっかけは,学内ポスター46.3%,教員からの誘い36.6%,昨年度までにほい大プログラム参加していた31.7%であった.また,ボランティアに興味があって参加した学生は19.5%,ほい大プログラムに興味があって参加した学生は14.6%に留まった.ボランティアを募集する際に,工夫が必要と考える。「対象者に配慮して適切に対応する方法を学べましたか」について,とてもそう思う,70.7%,そう思う29.3%であったことより,倫理観とプロフェッショナルリズムはほぼ達成できたと考えられる。「これまであなた自身が学んだことを発揮できましたか」について,よくできた29.3%,できた61.0%,あまりできなかった9.8%であった.これは,1年生が学習してない内容があったためと推定される.「今後もボランティア活動・地域貢献活動をしていきたいと思いますか」について,とてもそう思う80.5%,そう思う19.5%となり,生涯にわたる探求心と自己研鑽に繋がると期待される.

    (結論)

     参加した学生のほい大健康プログラムへの関心は高く,社会実習にふさわしい内容で,ディプロマ・ポリシーを達成できることが示唆された.今後,「ほい大健康プログラム」をさらに改良し,千葉県の高齢者の健康寿命の延伸に寄与できるように取り組むことが必要と考える.

    (謝辞)

     本研究を遂行するにあたり,田邊政裕学長,石井邦子学部長,

    歯科衛生学科
    の麻賀多美代先生,麻生智子先生,鈴鹿祐子先生,元理学療法学専攻の竹内弥彦先生,UR都市機構の伊藤公晴氏,小川恵丈氏に多大なご協力をいただきましたことに御礼申し上げます.

    (倫理規定)

     本研究は千葉県立保健医療大学倫理審査委員会の承認(2019-16)得て実施した.

    (利益相反)

     開示すべきCOI関係にある企業等はありません.

  • *高阪 利美, 稲垣 幸司, 長谷川 純代, 山田 和代, 向井 正視, 野口 俊英, 森田 一三, 中垣 晴男, 原田 崇, 大森 みさき, 両角 祐子, 佐藤 聡, 埴岡 隆, 王 宝禮, 花田 祥子
    特定非営利活動法人 日本歯周病学会学術大会 プログラムおよび講演抄録集
    2008年 2008s 巻 DHB-01-0900
    発行日: 2008年
    公開日: 2008/04/03
    会議録・要旨集 フリー
  • -歯科医療者だからこそ,できること,やるべきこと!-
    *稲垣 幸司
    会議録・要旨集 フリー
  • *稲垣 幸司
    会議録・要旨集 フリー
  • 桝本 輝樹, 鈴鹿 祐子, 今井 宏美, 亀井 縁, 浅井 美千代
    千葉県立保健医療大学紀要
    2015年 6 巻 1 号 1_37-1_42
    発行日: 2015/03/20
    公開日: 2023/06/21
    研究報告書・技術報告書 フリー
     保健医療系大学在学生に対して,大規模災害時の安否確認についての意向や行動を調査し,あわせて災害時の対応マニュアル作成のための基礎資料とすることを目的として,千葉県立保健医療大学在学生と教職員を対象に,東日本大震災時の安否確認行動についてのアンケート調査を実施した.
     アンケートは600名に配布し,有効回答率は38.8%(232通)であった.調査の結果,在宅かどうかを問わず,連絡(安否確認)をとりたいと思った対象は母親を中心とした家族が最も多く,使用しようとした連絡手段は携帯電話およびショートメールであった.
     SNSは輻輳がなく,クラウドや海外にサーバを置くものも多いため利用できなかった割合が低く,有効性が裏付けられたものの,活用の度合いは低かった.
     緊急時の連絡手段などについての話し合いが行われているかどうかについては,家族と話し合いをしている割合が55%,大学関係者とは35%,実習先との連絡方法を検討している割合は17%に留まった.
     本研究により,学生,教職員のいずれも家族を中心とした親族の安否を確認,かつ自らの安全を伝達することを望んでいることが明らかとなった.また,大学では安否確認の枠組みは設けられているものの,具体的なマニュアルや安否確認システムの整備の余地があり,防災教育の点では改善の余地が大きいことも明らかとなった.
  • *稲垣 幸司
    会議録・要旨集 フリー
  • *稲垣 幸司
    会議録・要旨集 フリー
  • 大川 由一, 細山田 康恵, 鈴鹿 祐子, 大内 美穂子, 室井 大佑, 松尾 真輔, 佐久間 貴士, 細谷 紀子, 佐伯 恭子, 成 玉恵, 栗田 和紀, 松浦 めぐみ, 松尾 真輔, 峰村 貴央, 酒巻 裕之, 岡村 太郎, 成田 悠哉, 江戸 優裕
    千葉県立保健医療大学紀要
    2024年 15 巻 1 号 1_62
    発行日: 2024/03/31
    公開日: 2024/04/19
    研究報告書・技術報告書 フリー

    (緒言)

     高齢化進む千葉県において,「介護予防活動普及展開事業」の取組の推進が重要な課題となっている.本学では多職種連携による地域貢献のための教育研究成果を地域に還元するために「ほい大健康プログラム」を行ってきた.本研究の目的は,介護予防を目指した新たな「ほい大健康プログラム」を地域住民に実践し,介護予防のための生活習慣の獲得に向けた効果を検証することである.

    (研究方法)

     対象は千葉市内UR真砂第一団地において「ほい大健康プログラム」の案内チラシを見て自発的にプログラムへの参加を申し出て,かつ研究協力に同意した者とした. 看護学科,栄養学科,

    歯科衛生学科
    ,リハビリテーション学科の各プログラムは,2022年10月1日(第1回),10月29日(第2回),11月26日(第3回)に実施した.参加者数は,第1回11名(男性3名,女性8名),第2回10名(男性2名,女性8名),第3回12名(男性2名,女性10名)であった.

     第1回は「いきいきと暮らせるためのからだづくり」に向け,体組成測定やフレイル度のチェックを通じ,自分のからだを知ることを目標とした活動を実施した(看護プログラム).さらに運動器の元気度チェック(ロコモ度チェック)と脳と身体の同時エクササイズ(コグニサイズ)を行った(理学プログラム).

     第2回は「オーラルフレイル」の予防や改善をはかるため,口腔機能の測定とお口の体操を実践した(歯科プログラム).また,「バランスの良い食事」をとるために,食事カードを用いての食事チェックなどを実施した(栄養プログラム).

     第3回は「日々の生活から考える介護予防」を目指し,近隣の地図を用いて散歩コース等の情報共有のためグループワークを実施した(作業プログラム).最後に第1回後から記録している「健康がんばりカレンダー」を基に,参加者の取組によるからだの変化について意見交換を行った(看護プログラム).プログラム終了後に本プロムラムに関して質問紙法によるアンケート調査を実施した.

    (結果)

     アンケート調査結果によると,第1回から第3回までの全プログラムの満足度については,参加者の多数が「満足」と回答し,「やや満足」を加えると満足度100%であった.プログラムの内容については,多くの参加者が「理解できた」と回答した.全プログラム終了後の自身の変化について複数回答で質問したところ,「知識が増えた(67%)」「やる気がでた(50%)」「自信がついた(42%)」「物事に前向きなった(42%)」「体調がよくなった(17%)」,「体の動きがよくなった(17%)」等の結果が得られた.「プログラムの内容を自身の生活のなかで活かせるか」との質問に対しては,「そう思う(83%)」「少しそう思う(14%)」との回答であった.「プログラムで学んだことを,まわりの人たちに広めていきたいと思うか」との質問には,58%が「そう思う」,42%が「少しそう思う」と回答していた.「次も『ほい大プログラム』に参加したいと思うか」との質問については,92%が「そう思う」と回答していた.すべての参加者は,「ほい大プログラム」をまわりの人たちに広めていきたいと回答していた.

    (考察)

     「介護予防」に焦点化した「ほい大健康プログラム」の実施により,地域住民の生活習慣の改善のみならず健康に関する意識の向上,住民同士のネットワーク構築といった効果あることが確認された.

    (倫理規定)

     本研究は,千葉県立保健医療大学研究倫理審査委員会の承認を得て実施した(承認番号2021-07).

    (利益相反)

     本研究における開示すべきCOI関係にある企業等はない.

  • 河野 舞, 金子 潤, 島田 美恵子, 荒川 真, 雄賀多 聡
    千葉県立保健医療大学紀要
    2021年 12 巻 1 号 1_98
    発行日: 2021/03/31
    公開日: 2023/03/31
    研究報告書・技術報告書 フリー

    (緒言)

     顎口腔系は歯,顎関節,咀嚼筋と頭頚部の筋群および周辺組織によって構成され,協調して働くことにより顎口腔機能が営まれていることから,咬合異常および咬合の変化が,頭位や全身の姿勢に影響を及ぼすことが報告されており,さらに全身の不定愁訴との関連性も示唆されている.近年,生活習慣等により頭部の前方偏位や猫背などの不良姿勢を呈する若年層が増加しているが,若い頃からの不良姿勢が積み重なることで,咬頭嵌合位が大きな自覚症状もなく徐々に不安定になり,様々な咬合異常や咬合の変化が惹起される可能性が考えられる.そこで本研究では,現状における若年者の咬合関係と姿勢との関連を模索することを目的とした.

    (研究方法)

     対象者は2018および2019年度

    歯科衛生学科
    学生のうち研究協力の承諾が得られた学生とした.

     咬合関係では,咬合接触面積と咬合力を測定した. 咬合圧測定用感圧フィルム(デンタルプレスケールⅡ ®, GC)を用い,咬頭嵌合位における咬合を確認後,座位の状態において感圧フィルムを最大咬合力で3秒間咬ませ試料採得を行い,その後専用解析装置を用いて咬合接触面積と咬合力を解析した.また,咬合検査前後に質問紙調査(悪習癖・身体症状・顎関節症の有無等)を行った.

     姿勢の測定は,矢状面および正面方向より撮影した安静立位写真撮影と,スパイナルマウス®を用い安静立位における矢状面彎曲の測定を行った.姿勢の良否に関しては,安静立位写真とスパイナルマウス®のデータを本研究チームの研究者がそれぞれ観察し,本研究チームの5名中3名以上が「不良姿勢」と判断した対象者を「不良姿勢群」とし,「良姿勢群」も同様に研究者の判断が一致した者とした.

     統計解析は,SPSS. Statistics Ver.25を用い,良姿勢と不良姿勢における2群比較ではt検定を,脊柱アライメントと咬合力の関連性についてはSpearmanの順位相関を求めた.有意水準は5%以下とした.

    (結果)

     同意が得られた64名のうち28名(良姿勢群15名・不良姿勢群13名)を対象者とした.対象者全体における咬合力の平均値は1089.3±483.2N,咬合接触面積は30.7±11.9mm2であった.また仙骨傾斜角は8.9±8.8°,胸椎後弯角は33.1±9.1°,腰椎前弯角は-23.2±9.0°であった.咬合接触面積において良姿勢群(24.9±9.7mm2)と不良姿勢群(37.4±10.9mm2)の間に,咬合力において良姿勢群(864.7±333.7N)と不良姿勢群(1348.3±509.6N)との間に有意差が認められた.また,スパイナルマウス ®における脊柱アライメントと咬合力と咬合接触面積の関連性では,仙骨傾斜角と咬合力との間に有意な正の相関(r=0.60)が,咬合接触面積との間に有意な正の相関(r=0.50)が認められた.腰椎前弯角と咬合力との間には有意な負の相関(r=-0.55)が,咬合接触面積との間には有意な負の相関(r=-0.50)が認められた.ブラキシズムの有無と姿勢の良否に関して独立性の検定を行ったところ,カイ二乗値5.04,有意差0.03であり,ブラキシズムの有無と姿勢の良否の間に関連性が認められた.

    (考察)

     本結果より,姿勢の良否と咬合接触面積,咬合力,ブラキシズムには関係があることが示唆された.適切な噛みしめは姿勢制御に良い影響を与えるが,ブラキシズムは顎関節や頭頚部の筋群に負の影響を与え,頭位や全身の姿勢に影響を及ぼすことが報告されており,ブラキシズムの有無は姿勢にも影響を及ぼす可能性が示唆された.また,日常生活において過度に強い咬合力は,歯や歯周組織,歯槽骨の破壊にもつながることから注意が必要とされている.しかし若年成人女性の咬合力の標準値は文献により大きく異なる(1087~2170N).本結果における不良姿勢の咬合力が過度に強いのかどうかも含め,咬合と姿勢の関連性について今後更なる検討が必要であると思われる.

    (倫理規定)

     本研究は,千葉県保健医療大学研究等倫理委員会の承認を得て実施した(承認番号2018-18).

    (利益相反)

     演題発表に関連し,開示すべきCOI関係にある企業等はない.

  • ─ ほい大ごはんカフェの地域への発展と他学科連携の試み ─
    渡邊 智子, 河野 公子, 田村 友峰子, 梶谷 節子, 麻生 智子, 峰村 貴央
    千葉県立保健医療大学紀要
    2020年 11 巻 1 号 1_84
    発行日: 2020/03/31
    公開日: 2023/03/31
    研究報告書・技術報告書 フリー

    (緒言)

     本学の健康診断時に実施している食習慣調査結果をみると,栄養学科では野菜摂取量が多く,

    歯科衛生学科
    ではジュースの摂取量が少ないなど学科による食習慣の相違がある.また,学年別の食習慣では,2年および3年次の食習慣の乱れがあることが分かった.

     そこで,平成28年度から,本学では喫食を伴う食育プログラム「ほい大ごはんカフェ(以下,ほい大カフェ):大学生による大学生のためのランチ提供を伴う食育プログラム)」を実施している.提供する大学生は,『ちば食育応援隊(千葉県民の健康を食の面から応援する目的で活動をしている栄養学科の学生が中心の食育ボランティアサークル)』であり,教員が支援している.対象者は,主に本学の男子学生や一人暮らしの学生である.プログラムの内容は,簡単でおいしく健康づくりに役立つ食事の提供と,リーフレットによる食育活動を実施するものである.なお,平成30年度では歯科衛生に関するリーフレットも加え食育活動を行った.

     本研究は,ほい大カフェのPDCAサイクルにつなげる基礎資料や本学学生の食環境の現状評価,千葉県民の健康づくりにつながる可能性を検討することなどを目的に,提供する学生および参加者へのアンケート調査を実施してきた.平成30年度の結果を報告する.

    (研究方法)

     対象者は,ほい大カフェでアンケートに回答した喫食学生計89名(第1回:36名,第2回:29名,第3回:24名)とした.

     まず,ほい大カフェの開催通知は,幕張キャンパスの掲示板及び本学SNSに掲示,掲載したポスターで行った.アンケートは,喫食した学生本人の意思で自由に参加有無を決定できるようにするため,アンケート用紙を提出した時点で,同意が得られたと判断した.また,アンケート実施の強制力が働かないように,喫食者募集のポスターに,アンケート協力のお願いを明記して実施した.アンケートの主な項目は,学科,学年,性別,居住形態,ほい大カフェの満足度,自炊の頻度等とした.

    (結果及び考察)

     学科別割合は,「看護学科」66%,「栄養学科」1%,「

    歯科衛生学科
    」8%,「理学療法学専攻」16%,「作業療法学専攻」8%ありで,看護学科の割合が高かった.学年別割合は,「1年生」63%,「2年生」31%,「3年生」4%,「4年生」3%であった.栄養学科の喫食者が少なかったことは,本学の食育のターゲットである栄養学科以外の学生を優先しているためであり,1年生の割合が高くなった背景は,ほい大カフェの開催日時を,男子の学生の割合が多く食育を推進したいリハビリテーション学科(主に仁戸名校舎で就学)の1年生が幕張校舎で受講する日に設定したためである.

     ほい大カフェの満足度の回答割合は,「とても満足」67%,「満足」30%,「普通」3%で,ほとんどの学生が満足したと回答した.ほい大カフェで配布したリーフレットの内容及び喫食時に調理工程や栄養成分等をまとめて映し出したスライドの内容についての回答割合は,「とてもわかりやすい」「わかりやすい」の回答割合を合わせて,共に100%であった.しかし,第2回,第3回で前回のカフェに参加した学生に対し,ほい大カフェのメニューを作ったかを質問したところ,約80%の学生が「いいえ」と回答した.

     自炊に対する考え方の回答割合は,「作るのが面倒」24%,「時間がない」22%,「食材が高い」16%であった.このような自炊に対する考え方があるから,ほい大カフェのメニューを作らないのではないかと考えられた.

     なお,第3回のカフェでは,口腔の健康づくりに関するリーフレットを配布し食事と口腔の健康づくりの関連を周知でき,大学祭では千葉市および千葉市食生活改善推進員にも参加いただき,他職種連携ができた.

    (倫理規定)

     千葉県立保健医療大学の倫理審査委員会の承認(2018-16)を受け実施した.

    (利益相反)

     開示すべきCOIはありません.

  • 島田 美恵子, 佐藤 紀子, 渡邊 智子, 麻賀 多美代, 竹内 弥彦, 岡村 太郎
    千葉県立保健医療大学紀要
    2019年 10 巻 1 号 1_130
    発行日: 2019/03/31
    公開日: 2023/03/31
    研究報告書・技術報告書 フリー

    (緒言)

     「サービスラーニング」は,学生が地域に出向き,学んできた知識・技能を活かしたサービズ活動(ボランティア)を実施することにより,自らの学びの再構築や市民としての責任を感じとる実践教育である.1990年以降,アメリカ各地の大学で実践され,わが国では国際基督教大学が先駆的・体系的に科目を充実させているとの報告がある.サービスラーニングの定義や評価は未だ統一されていないものの,近年,力を入れる大学が増加している(櫻井正成 立命館高等教育研究第7号).

     「健康づくりのプロフェッショナル」育成を目的とする本学の学生は,「生活者としての住民を支援する」考え方や健康支援の手法を学んでいく.健康教育の方法論は,指導・操作型から,人々の自由意思の尊重とエンパワーメント型へと転換している.それは,専門家が判断する「最も望ましい姿」を指導したり強要したりすることではなく,住民自身が自主的で主体的に参加することの大切さと,好ましい健康習慣を維持する大切さを自覚する「支援」である.本研究では,この住民の健康支援を学修している学生に対し,学びを実践的に活かす地域でのフィールドを設定する.

     本研究の目的は,本学でまだ実施されていない,地域に出向く「多学科連携によるサービスラーニングプログラム」を試作し,そのプログラムがもたらす学生の学修状況やプログラム(運営含む)の問題点を明らかにすることである.また,数年後の本学カリキュラム改正において「自由科目」として取り入れられることを目指した.

    (研究方法)

     多学科で構成された学生グループ(支援者 以下学生)に,協力施設の高齢者(被支援者 以下対象者 継続的に健康調査に参加している者)の健康調査の結果をもとに,個別のカンファレンスを実施させた.後日,対象者個々の意識化を促す,グループ形式での健康支援を施した.健康支援の主な内容は,対象者の日ごろの健康意識や健康行動を傾聴することとした.健康支援後の,対象者個々の感想と学生の学び・感想を,自由記述を含めたアンケートで調査した.

    (結果)

     対象者は学生12名(看護学科2年4名 栄養学科3年3名 

    歯科衛生学科
    3年2名 理学療法学2年1名 作業療法学3年2名)と高齢者19名(男性11名 平均年齢75.6±4.0歳)であった.高齢者の17名が服薬治療中であった.「対話」は,多学科で構成される学生3名と高齢者5名で構成されるグループ形式とした.事後のアンケートで,学生・高齢者の3名を除き,プログラムは「満足,やや満足できるもの」と答えた.高齢者全員が「話し合いの中で自分にとって役に立つことはあった,ややあった」と答え,学生全員が「今回のプログラムで,対象者への理解が深まった,やや深まった」と答えた.しかし,自由記述において,高齢者は学生からの話を聴きたい要望が多く(6名),学生からは「話すことで意識化させる健康支援と話を聴き引出す医療従事者の姿勢の養成」といったプログラムの目的が把握できていない感想が多かった(6名).高齢者は全員が「このプログラムはぜひあったほうがいい,あった方がいい」と返答したが,学生4名は「あまりなくてもよい」と答えた.

    (考察)

     健康支援の手法とした,「対象者の話を聴く」ことの重要性は,本プロプログラム内のレクチャーのみでは,学生に十分に理解させることができなかった.本プログラムの目的を,学生・教員とも確認理解するために,事前学習にかける時間と工夫が必要であることが示唆された.なお,本研究の取組をもとに,平成31年度より特色科目の自由科目として「社会実習(ボランティア活動)」を設置することとなった.

    (倫理規定)

     本研究は千葉県立保健医療大学研究等倫理委員会の 承認(申請番号2017-033)を得て実施された.

  • *数野 太一, 福島 忠男, 井上 勇介, 早川 徹, 上西 秀則, 宮崎 光治
    日本歯科理工学会学術講演会要旨集
    2004年 2004s 巻 P-22
    発行日: 2004年
    公開日: 2004/04/21
    会議録・要旨集 フリー
    n-アルキル(デシルおよびラウリル)アルコールとL-アラニンから合成した人工脂質(L-アラニン n-アルキルエステル/パラトルエンスルホン酸塩)をMMAに0.5から2.0mol%溶解させた。そして、このMMA溶液とPMMA粉末の混合物をTBBで硬化させたレジンの抗菌性および酸処理エナメル質への接着性を検討した。
  • 酒巻 裕之, 石川 裕子, 鈴鹿 祐子, 山中 紗都, 鈴木 英明
    千葉県立保健医療大学紀要
    2024年 15 巻 1 号 1_66
    発行日: 2024/03/31
    公開日: 2024/04/19
    研究報告書・技術報告書 フリー

    (緒言)

     2020年の千葉県の高齢化率は27.0%であり,75歳以上の入院患者や要介護高齢者の認定率および認知症高齢者は増加すると推計されている.これらの対象者は,口腔のセルフケアが十分できず,専門的な口腔健康管理が必要となる場合が多い.

     我々は,2019年から地域包括ケアシステムの理解と高齢者介護予防の実践をするリカレント教育を目的とし,歯科衛生士を対象に千葉県立保健医療大学歯科衛生士研修会を開催してきた.2021年度に開催した第3回研修会後の質問紙調査において「今後希望するテーマ」として,口腔粘膜の観察方法,口腔粘膜病変に関するテーマの希望が多く挙げられていた.

     また,担当歯科衛生士によるメンテナンスにおいて口腔内観察の際に口腔粘膜の異常が認められ,歯科医師による検査を実施し早期扁平上皮癌等を含む口腔粘膜病変として診断・治療に至った症例が報告されている.

     そこで第4回研修会では,テーマを「口腔粘膜について」とし,口腔内の観察方法を習得し,口腔粘膜の異常所見について共有することを目標としたリカレント教育プログラムを実施した.

     本報告では,本研修会の概要ならびに,研修会終了後に本研修会参加者自身の振返りからの理解度等を検討する目的で実施した質問調査結果について報告した.

    (研究方法)

     対象は千葉県歯科衛生士会,千葉県立保健医療大学

    歯科衛生学科
    同窓会の協力を得て募集し,参加した13名を対象に計3回の研修会を開催した.

     研修会の内容は1回目(2022年11月)「口腔内の観察の目的,口腔内の観察方法について」は,歯科医師(口腔外科)による講義,2回目(2022年12月)「口腔粘膜の代表的な病変の知識」は,歯科医師(口腔病理)による講義,3回目(2023年3月)「口腔内の観察法の演習,擦過細胞診について」は,歯科医師(口腔外科,口腔病理)による講義,実習とした.実習では常に定められた手技での口腔粘膜を含めた口腔内観察と擦過細胞診の細胞採取を体験し,その後,感想や意見交換をした.

     3回目研修会終了後に,Microsoft Formsにて無記名設定の質問調査を実施した.質問項目は,一部自記式多肢選択式とし,質問項目は,年齢,勤務状況,研修会全体の満足度,研修会前後の理解度,今後の研修会のテーマ,研修会に対する要望とした.

    (結果)

     3回の研修会では,それぞれ13名の参加者があった.実習後の感想には,「口腔外科に大変興味がある」,「口腔観察の際,口腔粘膜がすごく気になる」,「細胞診の結果まで知りたい」等が挙がった.

     研修会後の質問調査では,7名から回答を得た.本研修会全体の満足度は「とても満足」「満足」を合わせて100%であった.研修会前後の理解度については,口腔粘膜の正常所見,異常所見,観察方法,主訴の確認方法の理解度が向上していた.また,口腔粘膜病変の診療補助について,研修会前は「十分知っていた」「やや知っていた」を合わせて3名(42.9%),「あまり知らない」2名(28.6%)であったが,研修会後は「十分理解できた」「やや理解できた」の回答が7名(100%)となった.さらに,参加者全員において本研修会内容が今後の口腔粘膜病変に対する診療補助保持に活用できると回答した.

    (考察)

     研修会の講義と実習を通して,対象者は口腔粘膜の正常所見や異常所見,口腔内の観察法,主訴の確認方法,口腔粘膜の診断方法,口腔粘膜病変の診療における診療補助の理解度が向上したと考えられた.したがって,対象者はさらに口腔粘膜病変に対し興味を持ち,診療補助の知識や技術の再確認ができたと思われた.

     歯科衛生士は今後,さまざまな環境において口腔観察を行う機会を持ち,口腔粘膜病変を発見する機会の増加が予想されることからも,今回の研修会は,歯科衛生士にとって有意義であったと考えられた.

     参加者の意見をふまえて,今後の歯科衛生士研修会について,開催内容と開催方法から,多くの参加者を得て継続開催を企画していく所存である.

    (倫理規定)

     本研究は,千葉県立保健医療大学研究倫理審査委員会の承認(2022-17)を得て実施した.

  • 酒巻 裕之, 麻賀 多美代, 麻生 智子, 鈴鹿 祐子, 山中 紗都, 石川 裕子
    千葉県立保健医療大学紀要
    2023年 14 巻 1 号 1_101
    発行日: 2023/03/31
    公開日: 2023/08/22
    研究報告書・技術報告書 フリー

    (緒言)

     令和2年の千葉県における高齢化率は27.0 % であり,歯科診療では医科疾患に罹患し服薬している高齢者の受診が多く,その情報をふまえて安全な歯科治療を行う必要がある.「高齢者の医薬品適正使用指針(各論編 療養環境別,2019年)」では,ポリファーマシーに対する多職種連携における歯科衛生士の役割は「口腔内環境や嚥下機能を確認し,薬剤を内服できるかどうか(剤形,服用方法),また薬物有害事象としての嚥下機能低下等の確認」と示されている.

     千葉県立保健医療大学歯科衛生士研修会は,歯科衛生士の人材育成として,令和元年度から

    歯科衛生学科
    主催で開催している.第3回目の研修会として,医科疾患を有する高齢者の歯科診療補助に携わる歯科衛生士の人材育成を目的に2021年11月から4回開催した.

     本研究では,研修会終了後に研修会の評価ならびに今後の希望テーマや要望等を明らかにする目的で質問紙調査を行った.質問紙調査結果から,今回実施した歯科衛生士研修会の振返りと,今後開催する研修会の在り方について検討した.

    (研究方法)

     研修会は,千葉県歯科衛生士会と千葉県立保健医療大学

    歯科衛生学科
    同窓会の協力を得て募集し(38名の参加者),計4回の研修会を開催した.研修会の内容は以下のとおりである.

     第1回(2021年11月)「高齢者の歯科医療と摂食嚥下機能について」は,歯科医師(障害者歯科専門医)による高齢者歯科医療と高齢者の摂食嚥下機能の特徴についての講義

     第2回(2021年12月)「歯科診療と薬剤,嚥下機能と医薬品との関連について」は,管理薬剤師による高齢者におけるポリファーマシーと嚥下機能と薬剤の関連についての講義

     第3回(2022年1月)「病院歯科口腔外科における高齢者の歯科治療について ―歯科衛生士の役割―」は,病院歯科勤務歯科衛生士による高齢者に特化した病院歯科口腔外科における歯科診療補助と歯科衛生士の役割についての講義

     第4回(2022年2月)「訪問診療における高齢者歯科診療について ―歯科衛生士の役割―」は,訪問診療所勤務歯科衛生士による高齢者の訪問歯科診療における歯科衛生士の役割についての講義

     第4回目の研修会終了後に,参加者に対して郵送法による無記名,一部自記式多肢選択式質問紙調査を行った.質問紙調査項目は,年齢,勤務状況,研修会全体の満足度,研修会前後の振返り,今後の研修会で希望するテーマ,研修会に対する要望について調査した.

    (結果)

     本研修会はWeb 開催で実施し,各研修会の参加者数は23~26名であった.

     質問紙調査では16名の回答を得た.本研修会全体の満足度は「とても満足」10名(62.5 %),「やや満足」4名(25.0 %)であった.研修会前後の変化について,「高齢者歯科医療の特徴」「高齢者の嚥下機能の特徴」「嚥下機能を低下する医薬品」「嚥下機能を改善する医薬品」「高齢者の医薬品適正使用に係る歯科衛生士の役割」の項目,特に後者2項目で研修会後の理解度が向上していた.また回答者すべてが次回の研修会への参加を希望していた.

     本研究は千葉県立保健医療大学研究倫理審査委員会の承認(2021-22)を得て実施した.

    (考察)

     医科疾患を有する高齢者は複数の薬剤を服用していることが多い.本研修会では,歯科医師の講演で高齢者の摂食嚥下機能の特徴が述べられ,管理薬剤師から摂食嚥下機能に影響する薬剤について講義があり,高齢者に特化した病院歯科口腔外科部や訪問診療所に勤務の歯科衛生士から高齢者歯科医療の実践について解説された.質問紙調査から,「高齢者の嚥下機能の特徴」「嚥下機能に影響を及ぼす医薬品」の項目で,研修会により理解度が向上し,歯科治療に来院する高齢者の嚥下機能の問題を内服状況からも考えるきっかけとなったことが推察された.本研究の実施で,高齢者の医薬品適正使用に係る歯科衛生士の役割に関する情報を提供できたと考えられた.

    (利益相反)

     本研究に関連し開示すべき利益相反関係にある企業などははい.

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