不活性ガスふん囲気において,熱硬化性樹脂を(300~1000)℃の温度域で処理して得られたグラッシーカーボン中間体を,気固クロマトグラフィーの充てん剤として用い,各種有機化合物に対する気固クロマトグラフィー的挙動についての検討を行った.
(300~1000)℃の温度域で得られたグラッシーカーボン中間体は,分子ふるい効果を示し,脂肪族炭化水素,アルコール,アミン,エステル,ケトンにおける直鎖型の化合物を吸着し,その側鎖型の化合物は吸着されず,クロマトグラムピークを与えた.環状化合物において,ベンゼン,トルエン,キシレン,フルフラールは吸着し,シクロヘキサン,シクロペンタン,テトラヒドロフランは吸着されず,クロマトグラムピークを与えた.
被吸着分子の分子径からグラッシーカーボン中間体の表面微細孔は約5オングストロームで,その形状は合成ゼオライトのように円型ではなく,スリット状であると考えられた.
グラッシーカーボン中間体が分子ふるい効果を示す温度域は,その内部表面積,吸湿率,炭素構造化の発達を示す電気比抵抗の変化する温度域と相関性が認められ,分子ふるい効果の最も強く現れる温度は約800℃と考えられた.
多成分系試料に対するグラッシーカーボン中間体と10%PEG-6000(クロモソルブNAW)とのクロマトグラムの比較が行われ,
n-,
iso-,
sec-,
tert-のブチルアルコール混合物において,PEG-6000のカラムでは四つのピークを,グラッシーカーボン中間体のカラムでは三つのピークを与えたことから,
n-ブチルアルコールが選択的に吸着されていることを認めた.
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